小説『フェアリーテイル〜虹の滅竜魔道士〜』
作者:冒険ファンタジー()

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前書き
ここからはオリジナルな展開です。
ギアスがコブラとバトルして、意外な結末に!?


『デッドグランプリ〜追憶のジェラール』


ワース樹海


俺とナツとイヴは、ウェンディちゃんとハッピーとルシアとシャルルを抱えて、エルザの所に走っていた。
ちなみに俺はウェンディちゃんをお姫様だっこしています。後ドサクサに紛れてウェンディちゃんの魔法を覚えました。

「ん…あきゅ…」
「大丈夫かハッピー」
「ナツ…ここどこ?」
「喋るな、しばらくそのまま休んでろ」
「でも、ジェラールが…」
「ジェラール…あの野郎、何でこんな所にいやがるんだ!」
「!?ジェラールだと!?」
「ああ」
「誰の事?そのジュラルミンってのは?」
「ジュラルミンじゃなくて、ジェラールな」

良かった。原作通りな展開になってるな。

「何故ジェラールが?あいつは確か、俺が踏み潰した筈だけど」
「よく解らねぇけど、ピンピンしてたぜ」
「…なあナツ」
「何だ?」
「ウェンディちゃんを頼めるか?」
「あ?何でだよ?」
「ジェラールを探す」
「!?ギアス、お前…」
「エルザの事もある、あいつが何でいるかも含めて問いただすつもりだ」

あいつの今の状態が気になるしな。

「…分かった。ウェンディは任せろ!」
「ああ。ルシア、辛いだろうが、行くぞ」
「らう!」

俺はナツ達と別れた後、ジェラールを探しに向かった。
すると、

ドカーン

激しい爆音が聞こえた。

「何、この爆音は!?」

多分、グレイとリオンがレーサーを倒した後、レーサーが自爆した音だろう。
早くジェラールを探さないと、え〜っと…ジェラールの匂いはっと…良し、こっちだ!
ギアスは匂いを頼りに走って行った。


ワース樹海最深部、コブラサイド


俺はジェラールの足音を聴いて追いかけてきたが、それにしてもこいつ…心の声が聴こえねえ。心の声さえ聴こえれば、後をつける必要もねえのn…ん?何だ?誰かが近づいて来る足音が聴こえる!?
コブラは直ぐに足音が聴こえる方に向いた。

「(誰だ、誰が近づいてやがる!?心の声が聴こえねえ、一体誰が!?ジェラールの後をつけなきゃならねえって時によ!)」

コブラは警戒した。
すると、誰かが近づいて来るのが見えた。

「(あいつは!?)」

フェアリーテイル最強の男、虹竜のギアセルシアが来やがった!?

サイドエンド


ジェラールの匂いを辿って来たけど、途中変な匂いが邪魔してるな。
すると、誰かが道を妨げた。

「お前は!?」

毒蛇を連れた魔導士、コブラが現れた。

「テメェ、何でここにいやがる?」
「ジェラールの匂いを辿って来たんだ」
「なるほど。だが、ジェラールには近づけさせねえぞ!」
「邪魔する気か!」
「ニルヴァーナを手に入れる為だ!」

お互いが臨戦態勢を取った。

「ルシア、お前は少し離れてろ」
「うん、分かった」

そう言ってルシアは離れた。

「行くぞ、コブラ!」

俺とコブラの戦闘が始まった。
ある程度の攻防戦だったが、隙をついて頭突きをかまし、コブラの魔法を覚えた。
すると、コブラの声が聴こえてきた。

「(くそ、フェアリーテイル最強だけあって、中々強ぇ…それに、段々押され始めてきたか…)」

相当焦ってる様だなコブラ。

「中々強ぇじゃねぇか、聖十の称号は伊達じゃねえみてえだな(それにさっきから奴の声が全然聴こえねえ、こんな奴初めてだ…)」

コブラって、心の声が聴こえなくなると呆気ないのかな?

「(こうなったら奥の手だ!)」

コブラは突っ込んで来た。
ギアスは咄嗟に受け止めたが、

「(今だ!)」

コブラの手が変わっていき、赤黒い瘴気が吹き出ていた。
コブラの魔法を覚えてるからそんなには効かないけど、一応喰らったフリをしないと、

「ぐあっ、熱ぃ〜!?(やや棒読み)」

コブラの両腕が変わり、ドラゴンの腕になった。

「毒竜のコブラ、本気で行くぜ!」
「お前まさか…」
「「ドラゴンスレイヤー!?」」

ルシアと一緒に叫んだ。

「かーーーーーっ!!」

コブラの猛攻に怯むギアス。
毒の事を一応言った方が良いかな?

「何だこりゃ?喰らう度に痺れが…」
「毒竜の一撃は、全てを腐敗させ、滅ぼす」
「だったら、その毒ごと吹き飛ばしてやるよ!」
「腐れ落ちろ!毒竜(どくりゅう)、突牙(とつが)!!」

コブラの魔法陣から毒蛇のごとく形をしたエネルギー波を飛ばしてきた。

「何の!?カベカベの、一点防壁(ポイントフィールド)!!」

毒竜突牙を防ぐギアス。

「やるな。だが、俺に近づけなきゃ意味無ぇぞ!」
「そうかい、ならやってやんよー!」

コブラに近づいた。

「虹竜の、鉤爪(かぎづめ)!!」
「毒竜、螺旋撃(らせんげき)!!」

互いに足技を繰り出し、吹き飛んだ。

「ったく、やりにくい奴だぜ」
「お前ぇもな、毒竜、鱗牙(りんが)!!」

コブラは無数のウロコ状に弾丸を放ってきた。

「そんなモン!セリャリャリャリャリャーーーーー!!」

ギアスは飛んでくる弾丸を全て弾いた。

「やるな」
「次はこっちだ!」

ギアスはレーサーの体感時間低下魔法を使った。

「ゴムゴムの…」
「な、早い!?」
「回転銃(ライフル)!!」
「ブファアァッ!?」

ギアスの姿を捕え切れず、攻撃を喰らって吹き飛んだコブラ。
すると、キュベリオスがコブラに近づいた。

「おお…キュベリオス…毒を吐いてくれ…」

キュベリオスは毒の霧を吐いた。

「毒の霧?やばい!?」

するとコブラは、毒の霧を吸い込み、食べた。
やっぱ体に悪そうだな…。

「ふぅ〜、食ったら力が湧いて来た!」
「真似すんな!」

つい言っちまった…。

「これで朽ち果てろ!毒竜の…」
「しまった、ブレスか!?」
「まずいよ!?」
「咆哮!!!」

赤黒い毒のブレスがギアスとルシアを襲った。
ギアスはコブラの魔法を覚えてるからたいして効かないが、ルシアは毒を受けた。

「何だ、たいして効いてn…あれ?」

ギアスは片膝を付くフリをした。

「ギアス〜…僕…体が…うまく…動かなくて…」
「どうなっていやがる…」
「ハッハッハッハッ!毒竜のブレスは、ウイルスを体に染み込ませる。そして徐々に体の自由とその命を奪う!」
「くそっ、せめてルシアだけでも…」

ギアスは、ルシアに天空魔法を掛けて毒を治療した。

「!?天空魔法だと!?」
「言っとくが、自分自身に天空魔法は掛けられねぇ。テメェの毒をテメェで食えねぇのと同じだ」
「なるほど、その猫だけでも毒を治したかったって訳か。随分と甘い奴だな」
「お前だって自分の相棒が怪我したら治してぇだろ?」
「………まぁ、そうだな…」

コブラはキュベリオスを撫でながら言った。

「だが、俺のブレスを喰らった瞬間、テメェの敗北は決まっt「ウラアァー!」どわっ!?」
「毒なんかいちいち気にしてられっか!」
「(人の話聞いてんのかこいつは!?)」

本当に毒は効いてないからな。

「テリャー!」
「グアッ!?」
「ちっ、しぶてえな」
「そりゃテメェだろ!しかし、俺の毒を喰らってまだこれほど動けるとはな、旧世代のドラゴンスレイヤーにしてはやるじゃねーか」
「あん?旧世代だぁ?」

あの台詞が来るのか?

「俺は自らの体内に、竜のラクリマを埋め込む事によって、竜殺しの力を手に入れた、新世代のドラゴンスレイヤー!」
「マスターの言ってた、滅竜魔法のラクリマの事か?」
「ラクサスと同じだ!あいつ、本物のドラゴンスレイヤーじゃないよ!」
「本物?元々ドラゴンのみが習得しているという滅竜魔法を、人間が習得する術は無え!俺から言わせれば、テメェの方が怪しいぜ!この世界にドラゴンなんていねえんだからな!!」

ブチッ

こいつ、今なんて言いやがった?
俺の記憶は確かにプリズレイヤーと過ごした記憶はあるんだ!それをこいつは…否定しやがった!

「テメェ…それ以上言ってみろ…ブチのめしてやるぞコラァ!!」

ギアスは怒りでハートフィールドを解いてしまった。

「(プリズレイヤーは…母さんはいるんだ!!)」
「(やっと奴の声が聴こえてきたな)いねえよ!ドラゴンは絶滅したんだぁ!!」
「勝手に殺してんじゃねー!」
「聴こえるぞ、テメェの動きが!毒竜、双牙(そうが)!!」
「グハァッ!?」

ギアスは毒の二閃を喰らった。

「(くそっ!?何かあいつ、急に動きが良くなった様な…あっ!?ハートフィールドが解かれてる!?)」
「(ハートフィールド?そうか、それで奴の声が聴こえなかったのか)」

ギアスは再びハートフィールドを張った。

「(ちっ、また奴の声が聴こえなくなったな。だが、あれだけの毒を喰らったんだ、もうじき奴の身体は朽ち果てる!)」

だから毒はもう大丈夫だっての。

「ギアス、早くあいつを倒さないと、ギアスの身体がもたないよ!?」
「分かってる」
「無駄だ!天空魔法も自分に効かないんじゃどうしようもないな!」
「だったら…」

ギアスは一瞬でコブラを掴んだ。

「何!?」
「テメェの毒竜の力、覚えさせて貰うぜ!」

ギアスはもう一回頭突きをした。

「ガハッ!?」
「覚えた!」
「やったぁ!」

とっくに覚えてるけどね。

「良し、毒は俺の栄養になったな」
「バカな!?」
「さぁて、判決の時だ!」
「くっ!?」

コブラは距離を取った。

「毒竜の咆哮!!」

コブラは再び毒のブレスを吐いた。

「ギアス!?」
「毒は…もう効かねえ!!」

ギアスは毒竜の咆哮を吸い込んで、食った。

「なっ!?俺のブレスが!?」
「ぷは〜、食ったら力が湧いて来た。テメェの毒の滅竜魔法を覚えたから、毒も好物には言っちまったからな」
「バ、バケモノかお前は!?」

失礼だな。

「隙あり、ネ拘束チューブ!」

ギアスの放ったチューブがコブラの身体に纏わり付いた。

「何だこりゃ!?こんな物、俺の毒で腐らせてやる!………ってあれ?魔法が使えねぇ!?」
「ネ拘束チューブに絡まれた物は、そいつの魔法を封じる事が出来るんだよ」
「何!?」
「さぁ泣き叫べ!判決の時間だ!」

ギアスがコブラに仕掛けようとしたら、ギアスの左腕に何かが噛み付いてきた。

「ん?」

キュベリオスだった。

「キュベリオス!?」
「なかなか主人思いの蛇だな。もう少し前だったら終わってたが、毒竜の力を持ってる今の俺に、毒は効かねえよ!」

ギアスは右手に炎を溜めた。

「キュベリオス!?止めろぉぉぉぉぉーーーーーっ!!?」

コブラは泣き叫んだ。
攻撃しようとした瞬間、ギアスはある事を思い出した。
そういやこの蛇って、呪われてこうなってるんじゃなかったっけ?
取り合えず確認をとる為にコブラの方に向いた。

「なあコブラ」
「な、何だ!?」
「この蛇、呪われてるぞ」
「何ぃ!?(キュベリオスが呪われてるだと!?)」

驚いた様子のコブラ。

「取り合えず呪いを解いてみるか」
「えっ!?」

ギアスはキュベリオスの掛けた呪いを解いた。
すると、紫の毒蛇はみるみる人間の女性に変わっていった。
女性は気を失ったようだ。

「えっ、女の子!?」
「キュベリオスが…女に…!?」
「あれま」

蛇から元に戻った女性は…全裸だった。
全裸の女性なのに何落ち着いてるのかって?愚問だな、少女幼女以外の裸見たって面白くもなんともないからな。

「どわっ!?と、取り合えず、これ着させねーと!?」

コブラは咄嗟に、自分の着てたコートを女性に着させた。

「どゆ事コレ?」
「いやこっちが聞きたいよ!?」
「キュベリオスが…人間の女に…なったなんて…」
「どちらかと言うと、元々人間だったが、呪われて蛇になったんじゃないのかな?」
「ん…」

女性が起きた。

「……きゃあああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!?あなた達、誰キナ!?」
「えっと…どこから話せばいいかな?」

唖然としているコブラはスルーして、自己紹介をした。

「俺はギアセルシア。こっちは相棒のルシア」
「よろしく」
「よ、よろしくキナ」
「んで君は?」
「私は…キナナですキナ」
「キナナ…」

コブラがキナナの名前を呟いていた。

「でキナナ、何で蛇の姿になってたんだ?」
「えっ、蛇に!?嫌ですキナ!蛇は嫌ですキナ!」

何か、コブラがショックを受けてる様な…。

「えっと、覚えてる範囲で良い、何か思い出せるか?」
「えっと…キナナは楽園の塔で奴隷にされてたキナ」
「「楽園の塔!?」」
「キナナも…楽園の塔に…」
「そこから逃げようとしたら見つかって、魔導士達に呪いを掛けられた後、気が付いたらあなた達がいたキナ」
「!?なあ、俺は…覚えてないのか!?」

コブラはキナナに詰め寄った。

「えっと…すみません、どなたですかキナ?」
「!?……………そうか……」

何か…コブラからものすごい哀愁感が漂って来てる様な…。

「(まさかキュベリオスが…いやキナナが、俺を覚えていないなんてな…だが…キュベr…キナナの声が聴けただけでも良いか…)」

何か…泣けてくるんだけど…。

「とにかく、ここにいたら被害に遭うな。ルシア、キナナを安全な所に」
「ら〜う〜!」

ルシアはキナナを連れて飛んで行った。

「さてと…コブラ、お前はどうする?まだやるか?」
「……………」
「コブラ?」
「いや、もう戦う気はしない。それに…」

コブラはキナナの方を見ながら、

「俺の祈りは…達成されたからな」
「何が達成されたんだ?」
「オラシオンセイスは二つの目的があって行動していたんだ」
「二つの目的?」
「一つはオラシオンセイスとして、二つ目は…自分にとって叶えたい何かの為に行動してたんだ」
「叶えたい何か?」
「俺の祈り、それは…たった一人の友の声を聴く事だった。それが叶えられた今、俺はどうしたらいいか分からないんだ」

こいつ…悩んでるのか。

「正直お前がこれからどうしようが知った事じゃないが、俺はニルヴァーナを止める為にジェラールを追う」
「……………」
「俺を倒してジェラールを追うか、あのキナナって子の側にいたいのか。決めるのはお前だからな」
「……俺は………」

コブラは何かを決めた様だ。

「俺はキュベリオスを…いや、キナナが平和に暮らせるようにする為に、ニルヴァーナを止める!」

おいおい、いいのかよ!?

「いいのか?それじゃお前はオラシオンセイスを裏切る事になるぞ?」
「構わねえさ。それでキナナの笑顔が見れるのなら、俺はそれで良い!」

マジかよ!?

「惚れたのか?」
「なっ!?(今まで友だと思ってたのが、実は人間の女だった思ったら、ドキドキしちまってな)」
「な〜るほど〜。お前の本音、聴いたぜ〜」
「げっ!?今聴いた事全部忘れろ!?すぐ忘れろ!?今忘れろ!!」

むっちゃ焦ってるなコブラ。

「ったく、テメェと話してるとバカバカしくなるな」
「ほっとけ、それよりも、早くジェラールを探さねーとな。行くぞコブラ」
「…エリックだ」
「はっ?」
「俺の本当の名だ。それより急ぐぞ!」
「……俺の事はギアスって呼んでくれよな」

ギアスはハートフィールドを解いた。
よろしくな、エリック。

「!?ああ!」

俺とアレックスは、ジェラールを追いかける為に、樹海の奥へと進んだ。


ワース樹海最深部、ニルヴァーナ封印場所


※ギアス達は小声で話してると思って下さい。

「やっと追い付いたなエリック」
「あいつの心の声がまったく聴こえねえから、探すのに苦労しちまったがな」
「俺の嗅覚とお前の聴覚のおかげで何とか辿り着いたな」

そう、ようやくジェラールの所に辿り着いたのだ。
そしてジェラールは、鎖で繋がれた光る大樹の前で立ち止まった。

「止まったな」
「ああ」
「まさか、ここがニルヴァーナが封印してある場所か?」
「多分な」

そしてジェラールは大樹に手を付けた瞬間、大樹から強烈な黒い光が飛び出た。

「う…うあぁぁ…ああ…」
「!?エリック!?」

まさか、ニルヴァーナの影響で…エリックが!?この場合、善と悪、どっちに傾くんだ!?
幸いジェラールの方は、ニルヴァーナが復活してる音でエリックの呻き声は聴こえてないみたいだ。
するとアレックスは、

「…俺は…愛の為に生きる!」
「……………はぁっ!?」
「正直、俺は今の今まで迷っていた。だが、何が一番大事かと考えたら、キナナへの愛が一番大事だと気が付いたんだ!」
「はぁ…」

どうやら善の方に向いたみたいだね。目がとても澄んだ目をしてるし。
その時、エルザが現れた。

「エルザ!?いつの間に!?」
「この俺が接近に気付かないなんて!?」

とにかく、様子を見るか。

「ジェラール…」
「エルザ…」
「お…お前…どうして…ここに…」
「分からない…」

しばらく沈黙が進んだ。

「エルザ…エル…ザ…」
「…?」
「その言葉しか…覚えていないんだ…」
「え?」
「「!?」」
「教えてくれないか?俺は誰なんだ?君は俺を知っているのか?エルザとは誰なんだ?何も…思い出せないんだ…」
「ジェラール…」

それを聞いてたギアス達は、

「ジェラールの奴…」
「記憶が無えのか!?」

するとエルザは、ジェラールに近づいた。

「ジェラール」
「く、来るな!?」

ジェラールはエルザに光弾を放った。

「く…来る…な…」
「ならばお前が来い!私がエルザだ!ここまで来い!」

エルザ…記憶が無い相手にそんな強く言ったら怯えるぞ普通。

「同感だな」

エリック…今は空気を呼んでくれ…。

「スマン…」

エルザの方は、

「お前の名はジェラール、私のかつての仲間だ」
「…仲間?」
「だが、乱心したお前は、死者を冒涜し、仲間を傷付け、評議員さえも破壊した」

涙を流すジェラール。

「それを…それを忘れたと言うつもりなら、心に剣を突き立てて、刻み込んでやる!ここに来い!私の前に来い!!」
「…俺が…仲間を…そんな…俺は…何という事を…俺は…俺はどうしたら…」

泣き崩れるジェラール。

「(これが…あのジェラール…)」

エルザはそう感じていた。
でも、記憶が無くなったからって、同情は出来ない。あいつの仕出かした事は、とても重いからな。

「それは…俺にも言える事だな」

エリック…。
すると、ニルヴァーナの光が白くなった。

「だが腑に落ちないな…」
「どうしたエリック?」
「奴は記憶が無いんだろ?どうやってここが分かったんだ?それに、何故ニルヴァーナの封印を解いたんだろうか?」
「そういやそうだな。んじゃ聞いてみるか」

俺とエリックはエルザの近くに寄った。

「エルザ!」
「ん?その声はギアス…とオラシオンセイス!?」

剣を取り出すエルザ。

「待ったエルザ!?エリックはもう敵じゃない!」
「!?どう言う事だ?」
「かくかくしかじかという訳だ」
「全然解らないが?」

やっぱそう都合良くいかないか…。

「こいつはさっき、ニルヴァーナの影響で良い奴になっちまってよ」
「ますます解らんが?」
「言ってみりゃ、良い奴と悪い奴の性格を入れ替える魔法なんだよ、そのニルヴァーナは」
「何!?そうか、そうゆう事か」

一応理解したみたいだな。

「それでジェラール、お前は何でニルヴァーナの封印を解いたんだ?」
「眠っている時に、誰かの声が聞こえた。「ニルヴァーナを手に入れる」と。微かにその魔法と、隠し場所は覚えていた。これは危険な魔法だ、誰の手にも渡してはいけない。だから、完全に破壊する為に、封印を解いた」
「「何!?」」
「ニルヴァーナを破壊する…だと?」
「自律崩壊魔法陣(じりつほうかいまほうじん)を既に組み込んだ。ニルヴァーナは間もなく、自ら消滅するだろう」

自律崩壊魔法陣、組み込まれたモノを自壊させる魔法。

「すげー高度な魔法陣だな」
「これで…ニルヴァーナが破壊できる」

その時、ジェラールは倒れそうになった。

「「「!?」」」
「エルザ…その名前からは、優しさを感じる…優しくて、明るくて、温かさを感じる…」
「「「………」」」
「きっと君は俺を憎み続ける…それは仕方ない…当然の事だ。しかし憎しみは…心の自由を奪い…君自身を蝕む…ゴホッ、ゴホッ…」
「お前…はっ!?」

エルザはジェラールの胸に刻まれてるモノを見た。

「俺はそこまで行けない…君の前には、行けない…」
「ジェラール、お前!?」
「ジェラールから、解放…され…るんだ…君の憎しみも…悲しみも…俺が…連れて行く…」

ジェラールは倒れかかる。

「自らの身体にも、自律崩壊魔法陣を!?」
「ジェラール…お前という奴は…」

そして、

「君は…自由だ…」

ジェラールは倒れた。

「ジェラァァァルーーーーー!!!」

エルザの悲痛な叫びを上げた。



後書き

初登場の能力
虹竜の鉤爪(かぎづめ)
 各属性を脚に纏って攻撃する。


後から覚えた魔法
ウェンディの天の滅竜魔法
コブラの毒の滅竜魔法と心を聴く魔法

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