小説『ハイスクールD×D 黒と赤』
作者:shimo()

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グレモリー眷属vs英雄派

 木場とゼノヴィアの二人は九尾のもとから少し離れた場所で、ジークフリートと対峙していた。木場は手に聖魔剣を構え、ゼノヴィアはエクス・デュランダルを構えている。ジークフリートは片手に魔剣帝グラム、もう片手にはバルムンクを構え、ジークフリートの背中から(・・・)腕が一本生えていた。ジークフリートの持つ神器は『龍の手』(トゥワイス・クリティカル)の亜種のため背中から腕が出てきた。その生えた腕にノートゥングを持っていた。ジークフリートの持っている剣はすべて魔剣である。
 二人が剣で斬りかかるがジークフリートは最小限の動きでさばいていく。しかしジークフリートには神器の腕がある為、木場とゼノヴィアの方が少しずつだが切り傷が出来ていた。ゼノヴィアがデュランダルは鞘に収まっている状態なのでゼノヴィアが

「一本だとどうにもな!」

 そういうとエクス・デュランダルを鞘の一部に手をかけると、カシャッと仕掛けが動いて握りの部分が出てきた。それを手にして引き出すとエクス・デュランダルから取り出した。取り出したのは柄と握りの部分しかなかったがそこから刃が出てきて二刀流となった。
 二刀流となったゼノヴィアの剣筋のスピードが上がったのを見てジークフリードは笑い

「面白くなりそうだね。よし、大サービスだ」

 ジークフリードが大振りに魔剣を振るった。木場とゼノヴィアがよけて後ろに下がった。ぞくり・・・。二人が下がるとジークフリートから背筋が凍るような殺気が放たれた。

「―――禁手化ッ」

 ジークフリートがそういうと背中から腕が新たに三本の銀色の腕が出現した。全部で六本の腕になった。ジークフリートは持っていた剣を抜いて六刀流になった。

「魔剣のディルヴィングとダインスレイヴ。それに悪魔対策に光の剣もあるんだ。これでも元教会の戦士だったからね。それとこれは僕の禁手『阿修羅と魔龍の宴』(カオス・アスラ・レヴィッチ)。『龍の手』の亜種たる神器の禁手もまた亜種だったわけだね。能力は単純だ、腕の分だけ力が倍増するだけさ。技量と魔剣だけで戦える僕には十分すぎる能力だね。さて、君たちはどこまで戦えるかな?」

 それからジークフリートの攻撃を木場とゼノヴィアは防ぐのに精一杯だった。
 木場とゼノヴィアがジークフリードと戦っているころイリナもジャンヌと戦っていた。

「光よ! はっ!」

 イリナが純白の翼を羽ばたかせ空から光の槍をジャンヌめがけて幾重にも放った。太さも鋭くよけるのは難しそうだが、ジャンヌは軽々よけていく。そのスピードは木場と同じくらいだった。

「いいね! 天使ちゃんは攻撃も素直でお姉さん感激」

 喜びながら細い剣でイリナが放った光の槍をはじいていく。

「じゃあ、これなら!」

 イリナは滑空し、一気に距離を詰めて光の剣でジャンヌに斬りかかった。ジャンヌは真正面から受けた。

キィィィンッ!

 金属音が鳴り響き二人はつばぜり合う。均衡しているがジャンヌが薄く笑い。

「――聖剣よ!」

 叫ぶとジャンヌの足下から剣が生えてきた。イリナは驚きながらも身をねじりながら避けていたるが、さらに剣がイリナを襲う。イリナは翼をだし上空に退避した。イリナが肩で息をしているのを見てジャンヌはおかしそうに笑った。

「やるやる! へぇ。見くびっていたな。さすが天使ちゃん」
「こ、これでも天使長ミカエル様のA(エース)なんだから! 舐めないで!」
「そっかー。ミカエルさんのねー。ならお姉さんもジー君みたいに大サービスで見せちゃう」

 ジャンヌはそういいながらウィンクをした。

「お姉さんの能力はね。『聖剣創造』(ブレード・ブラックスミス)。そっちの聖魔剣の人が持つ神器の聖剣バージョン。どんな属性の聖剣でも創れるのよ? でもこのままだと本場の聖剣には勝てないわ。でも例外もあるの」

 にっこりとジャンヌが笑い

「―――禁手化♪」

 ジャンヌがそういうと足下から大量の剣―――聖剣が出てきてすごい勢いで重なっていき大きな物に形作ろうとしていた。
 ジャンヌの背後に創られたのは聖剣が重なってできたドラゴンだった。

「この子は私の禁手。『断罪の聖龍』(ステイク・ビクティム・ドラグーン)。ジー君と同様、亜種よ」

 微笑んでいるジャンヌに対しイリナは険しい表情をしていた。

「・・・聖ジャンヌ・ダルク・・・。聖人の魂を引き継ぐ者と戦うなんて、天使としては複雑だけどこれもミカエル様とみんなのため! 平和のため!」

 光の剣を掲げて気合を入れなおしジャンヌと戦い始めた。
 さらに場所は変わりロスヴァイセとヘラクレスと戦っている。

ドゴォォンッ! ドオオォォォォンッ!

 爆裂音があたり一帯に大きな穴が開いていた。

「くっ! 魔術を受けてもビクともしないなんて」

 ロスヴァイセが縦横無尽に魔法を放つが、それをものともしないヘラクレス狂喜して迫りくる魔法の中を突っ込んでいく。

「ハッハッハーッ! いいねぇ! いい塩梅の魔法攻撃だ!」

 笑いながら、ロスヴァイセが放った北欧魔術フルバーストを受けてもそのまま突っ込んでいく。よく見ると首元に多少の傷があるがロスヴァイセのフルバーストをくらってもそれしか傷がつかないほどヘラクレスの体が頑丈だった。

ドオオォォォンッ!

 ヘラクレスが拳を放つたびに地面にクレーターが出来ている。まるで手にミサイルがついているような威力があった。ロスヴァイセも軽く避けて、ヘラクレスの拳が後ろにあった樹木に当たった瞬間――爆発音とともに木が木端微塵に爆発した。

「俺の神器は攻撃と同時に相手を爆破させる『巨人の悪戯』(バリアント・デトネイション)ッ! このままあんたの魔法を拳で攻撃して爆発ショーでもいいんだが他の奴らが禁手になったら、流れ的にも俺もなんなきゃいけねぇと後でうるさそうだな! 悪いが一気に禁手になって吹き飛ばしてやるぜ! 禁手化ゥゥゥゥッ!」

 ヘラクレスが叫ぶと体が光だし男の腕、足、背中に何かごつごつした肉厚のものに形成される。光が止んだとき、ヘラクレスの全身から突起物を生やしていた。

「これが俺の禁手ッ! 『超人による悪意の波動』(デトネイション・マイティ・コメット)だァァァァァッ!」

 ヘラクレスの突起物がロスヴァイセに照準した。ロスヴァイセがそれに気づき

「このままだと、この場が・・・ッ!」

 苦渋の顔をしたロスヴァイセが本丸御殿から離れようと足を速めた。

「ハッハーッ! いい女だぜ! 仲間に被害が出ないようにこの場から離れるのか! いいぜ! 乗ってやるよぉぉぉぉッ!」

 ヘラクレスが嬉々として高笑いしていた。ロスヴァイセが振り向き様、魔法陣を無数に展開した。ヘラクレスのミサイルが発射の態勢になり、一気にミサイルが発射された。

ドゴォォォォォォンッ!

 無数のミサイルがロスヴァイセが展開した魔法陣に当たった瞬間空中で大きな爆発が起きた。爆煙からロスヴァイセが落ちてきて地面に着地したがボロボロの状態だった。『戦車』の特性のおかげで防御力が上がったがそれでもかなりダメージがあった。
 その時緑色のオーラがロスヴァイセを包み込んだ。オーラに包み込まれるとロスヴァイセの傷が治っていく。ロスヴァイセがオーラのもとを見るとアーシアが神器のオーラを飛ばしていたのを見て親指を上げ感謝をした。

「はっ! 回復か! まあ、それもいいわな」

 ロスヴァイセが回復したのを見て楽しそうに受け入れていた。それからもヘラクレスはミサイルを放ちロスヴァイセに攻撃を続けた。
 イッセーも曹操と対峙していた。

「アーシア。『女王』にプロモーションだ」
「はい」

 アーシアが返事をした瞬間にイッセーは『女王』に昇格した。

「お前も禁手化するのか?」
「いや。そこまでしなくても君は倒せるよ。でも、今回は赤龍帝の力を堪能するつもいだよ」

 曹操が首を振り答えたさらに続け

「それに兵藤一誠。君には弱点が二つある。それは龍殺し(ドラゴンスレイヤー)と光だ。ドラゴン、悪魔の二つの特性を有する君は強力な分、自然と弱点が増えてしまう。俺はこの弱点に注目していてね。この世界に無敵の存在がいないことを証明する。さて、始めようか」

 曹操が槍の切っ先をイッセーに向けて戦闘態勢に入った。

『JET!』(ジェット)

 イッセーの背中の噴射口からオーラがでて一瞬で曹操に近づき殴ろうとするが曹操は槍を起用に回し拳を躱した。イッセーは瞬時に方向を変えて曹操の方に向かった。それと同時に両手に魔力を溜めた。曹操がよけると同時にドラゴンショットを放とうとするが曹操はイッセーの右手を足で蹴り上げ、左手を槍の払いで横にはじかれたためドラゴンショットはあらぬ方向に放った。曹操はそのまま槍をイッセーの腹に突き刺した。

「ごふっ」

 イッセーは口から大量の血を吐き出した。

「弱くないんだけどね。真っ正面からの戦いだと隙が多いな」

ズルリッ。

 曹操がイッセーに突き刺さった槍を抜いた。槍には光が持っているためイッセーの傷口から煙が上がっていた。

「イッセーさん!」

 アーシアが叫びオーラをイッセーに向けて放った。イッセーは回復するがまだ傷口から煙が上がっていたので懐からフェニックスの涙をだし腹にかけてようやくふさがった。

「いま死にかけたのがわかったかい? 聖槍に貫かれて消滅しかけたんだ。案外すんなり逝くだろ」

 軽く笑う曹操。イッセーが消滅しかけたとわかり体が震えた。

「よく覚えておくといい。いまのが聖槍の力だ。どんなに強かろうとこれだけは克服できない。たとえヴァーリだろうと悪魔である限り聖槍ダメージは絶対だ」

 イッセーは槍の対策を考えていると曹操が

「あらら、ビビらないな。もっと怖がるところを見たかったが」
「あ? そんなもん怖いに決まっているだろ? だけどビビッてばかりいるとお前の顔面に一発入れないとみんなに怒られそうなんだよ。赤龍帝やってんのも結構つらいんだぜ?」

 それを聞いた曹操が

「アハハ! いいな、それ。ヴァーリが君を気に入ったのがわかる気がするよ。なるほど、ヴァーリはいいものを見つけたな」

 大笑いした。そのあと目から出た涙を指で拭い。槍の先端を開かせて光の刃を作り出した。

「―――やろう」
ピリッ・・・

 曹操からのプレッシャーが増した。イッセーがドラゴンショットを最大で放とうと

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
ドンッ!

 デカい一発を曹操に放つが

「それを生身で受けるのはまずいな」

 曹操は槍ではじこうとするが、イッセーはそれを予想したのかドラゴンショットを放った瞬間に背中のブーストを噴出して曹操がはじいた瞬間に横殴りをしようとした。曹操はドラゴンショットを真っ二つに両断した。イッセーは驚いたがそのまま拳を握り

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』

 増大した力で殴ろうとした。

「パワーのなかのパワーを感じるな」

 曹操は嬉々としながら、槍を素早く戻して払おうするが、イッセーは右の拳はフェイントで直前で拳を止めたため曹操の槍は空を切った。イッセーは左手を前出し籠手に収納していたアスカロンに力を譲渡した。

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
『Transfer!!』

 アスカロンの刃を籠手から出現させてイッセーはその場から飛び退いた。飛び退く間際にアスカロンから波動を繰り出した。
 
バシュッ!

 アスカロンのオーラが曹操に向かった。曹操も予想外だったらしく避けるそぶりを見せなかった。

ズシュッ! 

 鈍い音がしたあと、曹操の左腕が斬れて宙をまった。曹操は地面に槍を刺し落ちてくる左腕をとり、捕った腕をわきに抱え右腕で懐から瓶を取り出した。取り出した瓶を左腕の切り口にふりかけて、とれた左腕を切断面につけると煙を上がり何事もなかったかのように左腕が治った。それを見たイッセーが驚き

「まさか!? それ、フェニックスの涙か!? どうしてお前がそれを持っているんだ!?」

 イッセーが問い詰めると曹操は笑み。

「これは裏ルート手に入れたんだ。ルートを確保し、金を払えば手に入るのさ。フェニックスの者はこれがテロリストのもとに回っているとは思ってないだろうがな」
「お前たちがそれを持っているから! それがあれば助かる人がいるっていうのに!」

 イッセーは怒ると体から赤いオーラが上がった。それを見た曹操が

「ほう、怒りでオーラが増した、か。感情でオーラが上下するのは時と場合によっては破滅をうむぞ? 君の場合それで『覇龍』になって暴走したのを忘れたのか」
「大きなお世話だ! お前を殴れればいい」

 イッセーがそういい動こうとしたら

ガシャッ!

 イッセーの鎧が崩れた。イッセーが驚いていると曹操が

「君が飛び退くときにいくつか斬った。多少時差があったが、ちょっとした槍の攻撃で君の『赤龍帝の鎧』は壊せるようだ」

 イッセーはドライグに鎧の修復を頼むと

『・・・わかっている。だが、聖槍の効果のせいか修復に時間がかかるぞ』

 ドライグがそういうとイッセーは改めて聖槍の厄介さを感じた。

「いい攻撃だった。こちらもギアを上げないといけないかな」

 曹操が嬉しそうに笑った。イッセーが槍の対応を考えていると

「イリナさん!」

 アーシアの悲鳴じみた叫びが聞こえイッセーはそっちを向くと

「あら? まだやっていたんだ?」

 イリナと戦っていたジャンヌが血だらけのイリナを抱えていこっちに歩いていた。

「ま、赤龍帝だからさ。彼らよりは強いんじゃないの?」

 そこにジークフリートの声が聞こえイッセーが向くと六本の腕に血だらけの木場とゼノヴィアを抱えていた。

「俺が赤龍帝とやればよかったな」

 今度はヘラクレスの声が聞こえてイッセーの前に何かが放られた。イッセーがそれを見ると―――銀髪を血に濡らしたロスヴァイセだった。

「う、うそだろ? みんなやられたのか?」

 イッセーがつぶやくと

オオォォォォォォンッ!

 九尾が泣く声が聞こえた。

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