小説『俺はとんでもない人に好きになられたかもしれない!』
作者:72マヨ()

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1話「何事モ知ッテル彼女ニ警戒セヨ」




「先輩」


ある日、俺は校舎裏に呼ばれた。


「大好きです」



しかもかなりの美少女。
長い漆黒(しっこく)の髪をなびかせて俺の瞳に潤いを与え、
濡れた瞳で俺を見つめる。



「付き合ってください」



俺がこんな美少女の願いを断れるわけがない!



「いいよ」


俺は即答した。

そう答えるとその美少女の濡れた瞳は、輝きを持ち、


「ありがとうございます!では、失礼します!」


そう言って、走り去っていった。



「可愛いな〜」

「おい、(たすく)、お前あの子と付き合うのか?」

「うん」

「ずりー!俺に分けろ―」

「バーカ。魁人(かいと)になんかわけるかー!」


そんな馬鹿な言い合いをしてると後ろから江島(えとう)がやってきた。


「この高校の一年の咲間真登(さくままさと)だな。今年に入ってもう5回は告白されてるぞ」


俺は、高校二年生の六条丞。現在彼女いない歴=17年だったのだが、たった今だ、彼女ができた!



「お前は裏切り者だ。彼女ができたんだから、お前はもう歴同会(れきどうかい)を抜けてもらう」


「あぁ。俺はもう歴同じゃねー!」


歴同会。俺や江島や魁人、同じクラスの伊藤や賢木などの彼女いない歴=年齢のやつらが組んだ同盟。
つまり、彼女いない(歴)と年齢が(同)じ奴らが集まる(会)というわけだ。







「いーなー」


「俺も、歴同会抜けて―よ」


「なんで丞なんだよ」


授業が終わって歴同会のやつらが俺に話しかけてくる。



「先輩!」


そこに、俺の彼女がやってくる。


「一緒に帰りませんか?」


咲間ちゃんの提案。もちろん受けないわけがない。


「うん」

そう言って、俺は歴同会のやつらを見下して教室を出た。





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「彼女、なんであんなに美少女なんだよ!」

「丞にはもったいねー」

「なんであいつにあんな子が…」

「なに、直に別れるよ」

「え、江島どういうこと?」

「あいつには言ってないけどな…」


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「咲間ちゃん」



「真登で良いです」

そう言って真登ちゃんはうつむく。

可愛い…。


「真登ちゃん。どっか行きたい場所行こうか?」


デートというものを誘ってみる。


「えっ!いいんですか?」


OKでた―――!

これは、デートだよな!デートでいいんだよな!



「どっか行きたい場所ある?」

「あの…」

「ん?」


「アイスクリーム屋さん」

そう言って真登ちゃんはまたうつむく。





可愛い……。
仕草がいちいち可愛いよ。



「先輩の家、こっちですよね」


えっ、真登ちゃんなんで知ってるの?


「先輩のいきつけのアイスクリーム屋さんあるじゃないですか、そこ行きましょう」


えっ、えっ?



「うん」





―アイスクリーム屋さん―


「あたし、ベリーショートにしますけど先輩はいつものでいいですか?」

「うん。いーよ」


…………。



あれ?




「はい。どうぞ。カフェモカです」


あ、あってる…。
俺がいつも食べるやつ……。



えっ、えっ、えぇぇ!



「正直、先輩が付き合ってくれるんなんて意外でした」



吃驚(びっくり)してる俺の事を無視して真登ちゃんは一人で語りだす。


「だって、先輩三年生の天久(あまく)先輩に憧れてたし、スタイル抜群な人だったし、しかも、先輩、歴同会のメンバーと結構仲良かったから彼女なんかいらないのかなって思ったり、しかも、家でもお姉さんの風呂覗きが習慣でしたし、部屋でもエロげーとかギャルげーしてたし、それなのに意外と少女漫画も好きで、ベタな展開とか好きだし、しかも先輩の友達チャラい友達結構いるし、そっち方面の人かなって思ったりしてたから…」



「ちょっ、チョット待って!」


俺のその一言で真登ちゃんのマシンガントークを止めた。



「なんで、そんな、俺の家の事情とか知ってるの?」



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「江島、それ本当か?」


「あぁ。あいつは、丞のストーカーだ」


「でも、なんでお前がそれを知ってるんだ?」


「まぁ、俺情報屋だし、情報網の広げ方にもコツがあるんだよ」


「大丈夫なのか?丞」


「多分な。そろそろ彼女もボロをだすころさ……」

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