小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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砂浜をしばらく歩いていると、夜の闇にも次第に目が慣れて、打ち寄せてくる波の動きもよく見えるようになってきた。

「・・・・止めなよ、直・・・・。まったく・・・・・・。子供みたいだよ・・・・?」

そんな風に史生が咎めるのが楽しくて、俺は余計にふざけて見せながら、引き際を攻めて遊んだ。

一頻り走り回ったあと、ちょっと休憩しながら、
「おまえもやってみろよ。おもしろいからさぁ・・・・」
と、史生を誘ったが、

「やだよ。直ってばなんでそんな大人気ないことできるのさ・・・・」
そう言って笑っているばかりだった。


俺と史生は、その後もずっと並んで浜辺を進んで行った。
史生はゆっくりと歩きながら、そして俺は相も変わらずふざけながら・・・・・・。


と・・・・、急に大きな波が打ち寄せてきた。

波を避けようとして身を翻すと、今度は史生にぶつかりそうになった。
慌ててかわそうとしたが、・・・・・・失敗。
俺は砂浜に転んでしまった。

――――っ、いってぇ――・・・・。

バツ悪く、起き上がろうとした俺の目の前に、史生が手を差し出してきた。

くっそ――。
思いっきり笑ってやがる・・・・。

一瞬、ムッとしたが、仕方なく俺は手を伸ばして、史生の助けを借りることにした。


・・・・・・!

史生の手を握ってみて、びっくりした。

異常なほど、手が冷たいんだ。
俺の手が熱過ぎんのかな・・・・? 走り回った後だし・・・・・・。

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