小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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ごめんなさい、修兄さん・・・・。

本当は嫌なくらいはっきり、原因がわかってるんだ。
けど、この理由を聞いたら、兄さん、幻滅してしまうだろうから・・・・、言えないよな。

「あ・・・・、あの、せっかく呼んで頂いたんですけど、今日はもう帰ります。
スーパーバイザーがお忙しいのは、承知しておりますから・・・・・・。私一人に構っているような時間はないでしょう? 
他の方から恨まれてしまいます」

俺は修兄さんに、もう退室することを告げた。
俺のことを気遣って、音声をOffにしているが、先ほどから何度も呼び出しのライトが点滅しているのを知っていたからだ。

「・・・・・・バレてたか・・・・。すまんな、ゆっくり話す暇もないなんてなぁ・・・・。まぁ、また今度。
・・・・・・頑張れよ、直。もうすぐだからな」

修兄さんは、親指を立てて俺の方にエールを送ってくれたあと、すぐに通信パネルに向かって行った。


・・・・・・ありがとうございます、修兄さん。
ホントは俺なんか気にかけてる暇なんてないのに、無理しちゃって・・・・・・。

仕事に戻った修兄さんを見て、俺もエールを送りながら、そっと部屋を出た。

修兄さんと話をしていて、少し気が晴れた感じがしたが、廊下に出て一人に戻ると、何だかまた、気が滅入ってきた。


――――― あ ――――――っ、だめだっ!!


俺は思いっきり首を横に振ると、前を見据えて歩き始めたのだが、5〜6歩ほど進んだ時、後ろから声をかける人がいた。

「高橋君、ねぇ、帰るんだったら、ちょっと頼まれてくれない?」
裡縞(くりしま)さんの声だ。

振り返ると、
「今から病院の方に用事があるの。通り道でしょ? お願い、送ってもらえないかしら・・・・?」
そう言いながら、裡縞さんはかけて来て、俺の隣に並んだ。

「・・・・・・いいですよ。裡縞さんの運転手ができるんなら、喜んで・・・・。バッチリ安全運転で遅らせていただきますよ」

・・・・・・ホッ、よかった。
誰か話す相手がいた方が、気が紛れるしな・・・・。

俺と裡縞女史は、地下駐車場へと並んで歩いて行った。

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