――――― 原因ははっきりしている。さやのことなんだ。
ADIからこちらへ到着した時、すぐにさやのことが気になって仕方がなかった。
自分の意に反して、半分喧嘩のように別れてしまったのが、どうも気にかかっていた。
この週末の休みに、さやが一人で寂しく過ごしていたんじゃないかと思うと、
すごくさやに対して、悪かったなと素直に思うことができた。
・・・・・・で、とりあえず史生の部屋に着くと、すぐにさやへとアルフで連絡を入れたんだ。
さやは思ったより機嫌良さそうだった。
それどころか、俺の方が疲れただろうから・・・・と、いろいろ気遣ってくれてるのが良くわかって、
俺は何だか拍子抜けさせられてしまったほどだった。
それでやっと胸のつかえも取れて、ホッとしたのだが・・・・・・。
俺の思ってもみないことに、展開は運んでいたのだった。
ADIから帰った翌日は、これまた忙しくて、とてもさやのところへ寄る暇などなかった。
ラボに泊まり込んだくらいだからね。
そして、その次の日、つまり昨日・・・・、プレゼンの準備も整ってから、俺はさやを訪ねた。
さやは機嫌良く俺を迎えてくれた。
俺は勘違いしていた。
週末、俺がいなくて寂しかったのかな・・・・?って、俺に会えて、こんなに喜んでくれてるのかな・・・・?って・・・・・・。
俺は気を良くしていたんだ。
しかし・・・・・・。
「ごめんな、さや・・・・。土日は、俺、一緒にいてやれなくてさ・・・・・・。一人で寂しくなかったか?」
俺は、『うん、寂しかったな・・・・』 な―んていう答えを期待していたのだが、実際に返ってきた返事は、
「ううん、結構楽しかったよ」
だった。
・・・・・・?
なんか、おもしろいことでもあったんだろ―か・・・・。
不思議に思って尋ねると、
「初めはね、ふみくんとすずちゃんと一緒に遊んだし・・・・・・」
そう、さやは言った。
そっか、あいつらが相手してくれてたんだ・・・・。ふん、ふん・・・・。
そうして頷いている俺に、さやは続けた。
「あとはね、二日とも、天宮先生とデートしちゃったんだ・・・・」
??? 天宮・・・・先生・・・・・・?
・・・・・・って、征生のことか――――っ?
「あ・・・・、天宮・・って・・・・?」
驚いている俺に、
「征生さんだよ。決まってるでしょ?」
さやは、にっこりと笑って答えた。