小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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やっとめまいが治まった頃、もう一人の俺が言った。

「じゃあ、僕がおにいちゃんにできることはここまでだから、僕行くよ。
後のことは、またおにいちゃんのMP(マイクロ・プロセッサー)に聞いてよね。
僕、ちゃんとおにいちゃんの役目果たして、待ってるよ・・・・」

なんだか、さっきまでと随分イメージが変わったな。
まだちょっと、弱々しい感じはするけど、少しはしっかりしてきたじゃん。


俺が感心していると、

<あなたの記憶が少し入ったからですよ>

MPが教えてくれた。

ふ―ん、そうかぁ・・・・・・。
んじゃ、俺は10年後の記憶が入るの?

<10年後に移動してから、本格的に20’sの記憶が入ります>

へぇ、へぇ・・・・、そうかぁ・・・・・・。

感心している俺をよそに、もう一人の俺は、
「じゃあね、僕は家に帰るから・・・・、カバン貸して・・・・・・。
じゃ、おにいちゃんもがんばってね」

そう言って、出て行ってしまった。
全く、そっけないヤツだよな・・・・・・。


そうして、俺とMPのやりとりが始まったわけだけど、俺がまず聞きたかったことは、
なんでこんなことになったか・・・・・・、ってこと。

MPは、長々と教えてくれたが、簡単に言うと、こういうことだった。


まず、ことの始まりは8歳の俺・・・・・・。

俺は覚えてないんだけど、8歳のときに、俺はオクテクス星人っていう異星人と遭遇したんだってさ。
オクテクス星人はそのとき危機に直面してたんだけど、8歳の俺は、助けられずに困ったらしい。
けど、その後、どういうわけか彼等は俺に助けられ、そのため彼等も、地球の危機をそのずっと後に助けてくれることになるんだ。

彼等は優れた科学力を有している。
特に、コンピュータや物質変換機、タイム・トラベライザーなどの研究に取り組んでいて、その試乗(?)を俺に頼んだらしい。

そして、その時になって彼等も理解できたそうだ。
20年前に彼等を助けたのは、彼等のタイム・トラベライザーでやってきた俺だということを・・・・・・。

そういうわけで、今、28歳の俺は、8歳の俺になって、オクテクス星人を救いに行ってるということだった。


普通さ、タイム・トラベルってのは、移動する人間はそのままの年齢で移動してしまうんだと思ってたけど、
オクテクス星人のつくったものは、移動した分の年齢の変化を行ってしまう物質変換機も一緒についてるんだ。

タイム・トラベライザーの方は、試作品の段階なんで、10年単位の移動しかできないから、
タイム・トラベルして、1週間そこで過ごせば、戻ってきたときに、元の世界でも1週間経っているとのことだった。
だから、本人のいないその1週間を埋めるために、移動先の自分(今の場合、8歳と18歳の俺)まで、
移動しなきゃなんないそうだ。

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