小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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。。。chapter20




8月12日、木曜日・・・・か。

俺とさやがこの2004年にやって来て、ふと気づくと2週間が経っていた。
することや考えることが多過ぎて、今まで振り返るなんてことなんかなかったが、
昨日無事にAMコアの打ち上げも終了し、少しは余裕が出てきたのだろう。

この2週間を思い返して、ホントいろんなことがあって大変だったな・・・・、と今更ながら思う。
それでも、今こうやって思い返せるってことは、順調にことが進んでるってわけだ。

昨日、朝早くから夜遅くまで働いた分、今日は午前中ゆっくりと過ごして、昼からラボにやってきた。
久しぶりに、机上の仕事だけで済みそうだ。

少し離れたところで、史生がコンピュータの操作をしている。
俺は書類に目を通す振りをして、Bluesを呼び出した。


Blues、2週間 あっという間だったよ・・・・・・。
君も働き詰めで大変だっただろうけど・・・・、俺、どうかな。20’sとしてやれてるかな?

<ご心配なく、Teen’s。あなたはもしかしたら、20’s以上のことをしているかもしれませんよ・・・・>

え・・・・? ホントに・・・・・・?

<まぁ、それは言い過ぎかもしれませんが・・・・>

ちぇ――っ、なんだよ、それ。
・・・・まぁいいや、落第はしてないってことだもんな・・・・。
それよりさ、俺たちあとどのくらいで元の世界に帰れるんだ?

<さぁ、それは私にもわかりかねます。その時が来れば、20’sのMPから連絡が入ることになってますから・・・・・・>

え――――っ? 20’sのMPからっ?
君たちって、時間を超えて連絡できんの?

<情報を交わすことはできませんが、あらかじめ信号を決めていれば、その信号だけなら、通信として交わすことができます>

ふ―ん、そっかぁ・・・・。
じゃあ、まだいつ帰るかってのは、わかんないのか・・・・・・。

<・・・・・・早く帰りたいですか?>

えっ?
う―ん・・・・。よくわかんないや・・・・・・。
この世界も住み心地いいし・・・・、けど、やっぱ早く帰りたいかな・・・・。

<さやさんのことですか?>

―――――な、なんでそんなことっ・・・・。

俺が慌てているのをBluesは楽しそうに笑っていた。
<図星でしょう?>

・・・・・・あのな―、Blues。おまえコンピュータのクセに、何で笑ったり、人をからかったりするんだよ・・・・っ。
・・・・・・ったく・・・・。

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