小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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「さぁ、そろそろいいだろ? 俺は土台になるからさ、思い切って来いよ」

そう言って、田畑は身体がふらつかないように、地面から突き出ているポールをしっかりとつかまえた。

そう、ツリージャンプってのは、人を跳び越えるんだ。
普通、人を跳び越えるときには、ジャンプ台を使ったりするんだけど、それだけじゃスリルがないから、
俺たち最近は、ジャンプ台を使わずに馬跳びみたいな要領で、人を跳び越えてる。
けど、このツリージャンプは土台のヤツが直立したままで、そいつの肩に手をついてオープンジャンプするから、
身が軽くないとなかなか出来ないんだ。
すごく高いジャンプだから、着地なんかも難しいけど、成功したらめちゃくちゃ気持ちいいんだっ!!


「じゃあ。いくぜ―っ!」

気合をを入れると、田畑も後ろ向きのまま、
「お―っ!!」
片手を挙げて、答えた。

その場で2回、小さなサークルを描いたあと、田畑の背中に向かって突っ込んで行った。

よしっ、跳べるっ!!

俺は、ヤツの右肩に自分の右手をつき、足を開いて、ヤツの頭上をふわっと跳び越えた。


・・・・そう、これ・・・・。
これが、いいんだよな・・・・・・。

そして、着地と同時に、背後に向かって叫ぶ。

「田畑ぁ―! まだ動くなよっ。じっとしてろよ―!!」

言い終わるが早いか、俺はすぐさまターンして、今度はヤツの真正面から走り込んだ。
もう一度、ヤツの左肩に自分の右手をついて、オープンジャンプ!!

着地のあとは、ターンしてバックで滑りながら、田畑に手を振った。
スピードが落ちてきたところで、トゥ・ストップ・・・・、両手を挙げて見せた。

「やるじゃん、直。まだ動くなって言われたときは、何するのかと思ったけど、連続でくるとはね・・・・、参ったよ・・・・」

田畑が笑って言ったのと、ほぼ同時に拍手が聞こえてきた。

カウンターから身を乗り出して、オーナーが手を叩いてくれてる。

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