。。。chapter1
目が覚めた。
ボンヤリしていた頭の中が、少しずつはっきりとしてきた。
――― なんだったんだ? 今の夢は・・・・・・。
俺って、自分でも知らずに、ああいう趣味があったんだろ―か・・・・。まさかね?
でも、なんとなく柔らかくって、いい気分なのは、なぜだろう・・・・・・。
ふと気づくと、夢の中と同じピアノの音色が、どこからか聞こえてくる。
隣からだ・・・・・・。
隣・・・・・・?
――― あ ――――っ!!
さっきの女の子・・・・。
あれ、どっかで見たことあると思えば、隣の曲礼さや(きょくらいさや)だ。
あいつのピアノのせいか?! まったくぅ・・・・・・。
曲礼さやってのは、1ヶ月前に隣に越してきたヤツで、同い年。どうやら高校も一緒みたいだ。
隣に住んでるわけだから、顔なんかはよく見かけるけど、話したことなんてないし、
別に気にしたこともなかった。
そのくらいのヤツだぜっ?
な―んであんな夢見なきゃなんねぇんだ?
わけ わっかんねっ。
「直――ッ。起きなさ―い」
急に、母の声が聞こえる。
机の上の時計に目をやると、7時45分をさしてる。
やべっ。起きよっ。
今までの変な気分をふっきるように、俺はベッドから飛び起きた。