小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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――― ホッ、よかった。
『何するの?』って、しつこく聞かれたら、どうしようって思ってたんだ。


さ・・・・、ぐずぐずしてたら、5分なんてすぐ経っちまうからな・・・・。
Blues、“A(アー)”の音、わかったよ。あとはどうするのさ。

<Aの音を4つ、一緒に弾いてみてください>

・・・・・・? ラの音を4つ?

<一番左の鍵盤がAの音なのです。それから、1オコターブずつ上のAの音を、順番に押さえていってください>

1オクターブずつ・・・・ね。

<一番低い音が、一番波長が長いので、その音を利用します。そして、その音を重ねることで、波長を増幅させるのです>

俺は両手で4つのラの音を押さえていった。

これでいいの?

バーン・・・・・・。
ラの音が音楽室に響く。

・・・・・・?
けど、ちょっと変だな。

<Teen’sもお気づきですか? 1つ、音が狂っているようで、きれいに増幅されていないようです。
このピアノは、きちんと調律されていないのでしょうね・・・・>

確かに、不協和音って感じだった。

<仕方ありませんね。中央のピアノに移動しましょう>

Bluesに言われた通り、俺はまた中央のグランドピアノの方へと移動して、さっきと同じように、ラの音を低い方から押さえていった。

これだったよな・・・・。
もう一度確かめてから、バーン・・・・と鍵盤を叩いた。

低い方の音しか押さえてないのに、弾いた音よりも高いラの音が聞こえてくる気がした。

<それが、きれいに増幅されている証拠です。さぁ、デモンストレーションはこのくらいにして、本番と参りますか?>

うん・・・・・・、そうしよう。

<では、先程のタイムトラベライザーのコードを引き出してください。2本ありましたよね? 
コードの1方は、ピアノの弦の近くにつけてください>

弦の近く・・・・?

コードの先を楽譜立ての後ろへ持っていき、近づけると、それは吸い寄せられるように、ピタッとくっついた。

<そうです。では、もう一方のコードは私、MPにつけてください。
そうすれば、私がタイム・トラベルの時間と場所の設定を行います>

俺は、Bluesの言うとおりにした。


これで、セットOK?

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