小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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ふみはその間ずっと黙っていた。

やっぱり、悪いことをしたな・・・・という思いと、けど自分の非を認めたくないという思いがグルグル渦巻いているのだろう。
どうも、謝罪する気にはなれないでいるらしい。

俺は必ずさやに謝らせる気でいたし、根負けはしないつもりでいた。

それに、これ以上待つ必要もないと思い、
「おまえたちがそう意地を張るなら、仕方ないな・・・・、さよならだ。じゃあ、切るからな」
そう言って、Offスイッチに手を伸ばした。

スイッチに手が届く寸前、それまで押し黙っていたふみが、声を上げた。

「待ってっ! 直兄、切らないで・・・・・・。わかったよ、俺たちが悪かったよ。ホントはすごく後味が悪かったんだ・・・・・・。
ごめんなさいっ! 俺、謝るから、絶交なんて言わないで・・・・。お願い・・・・、そうじゃないと、俺どうしたらいいか・・・・・・」

ふみはすずの肩をギュッと抱きしめながら、そう訴えてきた。

ようやく自分の気持ちに気がついたみたいだな・・・・。

そうなんだ。
さやに謝らせると言うより、こいつらの心の中にある、後味の悪さを残したままにしないためにも、厳しく言う必要があったんだ。
やっとわかってくれたか・・・・・・。
わかったヤツをもう叱る必要はない。


俺は穏やかに話し始めた。

「二人とも俺に謝る必要はない。俺はおまえたちに何かされたわけじゃないからな。謝らなきゃいけない相手は・・・・、わかるな?」

二人が同時にコクンとうなずいた。

「まずは、散らかした部屋の中をきれいに片づけて、元通り以上にしろ。
あのお姉さんがおまえたちをちゃんと許してくれたら、絶交はなしだ。
、お姉さんが許さないって言ったら、俺は知らないからな・・・・。わかったか?」

「わかった・・・・」
「うん・・・・・・」

二人は口々にそう言って、俺を見つめながらうなずいた。

俺はそんな二人に、最後まで笑顔は見せず、
「じゃあ、すぐ行ってこい」
そう指図してアルフのスイッチをOffにし、深く息を吸い込んでから、天井に向かって大きな溜息をフ―――ッと吹き上げたのだった。

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