俺は、釈迦堂さんに狙いを付けて10発程気弾を放つ。
大してスピードがあるわけではないので普通に避けられる。
しかし、この気弾は普通の気弾とは違い、俺の意思で操ることができる。
すべての気弾を釈迦堂さんの周囲で止めて、一気に放つ。
「!!」
大きな音を立てて釈迦堂さんの周りは煙で包まれる。
結構な量の気を込めたからダメージはでかいと思う。
「ハァッ!!ハァ」
思った通り釈迦堂さんはかなりのダメージを負っていて、きつそうだ。
俺は距離を詰めて、拳のラッシュを繰り出す。
釈迦堂さんは防御で精一杯だ。
そこで俺は蹴りを放つ。
足は腕の力の3倍なので力が全然違う。
蹴りを受けて釈迦堂さんは一瞬ひるんだ。
俺は気を使って移動し、釈迦堂さんの背後を取る。
「疾きこと風の如く」
「ッ!!」
声に反応して釈迦堂さんが振り向こうとするが、その前に首に手刀をして気絶させる。
重力に沿って倒れる釈迦堂さんの体を支える。
「勝負あり!!」
「嘘だろ・・・師匠が負けるなんて」
「とんだ化け物だねぇ」
「大丈夫か!師匠!!」
「zzz」
親父が俺の勝ちを宣言すると、タトゥーの男とツインテールの少女が釈迦堂さんへ向かって行った。
加減はしたからすぐに目が覚めるだろう。
その後・・・・・・
「お前だったら百代にも勝てるんじゃねえか?」
あれから少しして、目が覚めた釈迦堂さんがこんなことを言ってきた。
百代とは、川神鉄心の孫で武神と呼ばれている戦闘狂だ。
俺の従姉弟は武道4四天王の一人なんだが、その人も負けたらしい。
あの人落ち込んでたなぁ。
武神は、俺と同じ川神学園に通っており、クラスは2−Fだ。
「俺じゃあ無理ですよ。できたとしても、面倒事は嫌いですから」
「そういう所は全然変わらないね」
「親父!いつの間に・・・」
「釈迦堂君が喋り始めた辺りからだよ」
「「最初からじゃねえか!!」」
「蛙の子は蛙ってことさね」
「全然気づかなかったぜ」
「zzz」
質問に答えていたら急に親父が現れた。
実は最初から居たらしい。
相変わらず人外だなぁ。
「それはそうと。君たち、此処に住まないか?」
「「「「ハァ!?」」」」
「zzz」
意味解んねえ。
ってか青髪の人何時まで寝てるつもりだよ・・・
「そろそろ起きてください」
「んにゃ?だれ君?可愛いね〜、一緒に寝よ〜」
「お断りです」
青髪の人を起こしたはいいが、俺に抱き着いて再び睡眠に入ろうとしやがった。
抱き着く前に、力ずくで阻止する。
胸?男のロマン?知らんな。
ってかこの人力強いんだけど。
「じゃあ家に来ない?」
てんだ
「むしろレベルアップしてますから」
「辰、そろそろ止めてやんな。身支度があるから帰るよ」
馬鹿な発言をする青髪さんを抑えていると、Sっぽい人が止めてくれた。
そうだそうだ、身支度あるから早く帰ってくれ。
・・・・・・身支度?何所へ?
「亜巳姉〜何所に引っ越すの〜?」
「今日からあたし達の家は此処だよ」
「本当に?やったぁ〜これで君とも一緒だね〜」
・・・どうやらこの人に構っている内に決まってしまったようだ。
見ず知らずの人間を住まわせるなんて、何考えてんだ家の親父は。
俺の素朴な疑問は、夕焼けへと消えて行った。