小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>


――――――――前書き――――――――

という訳で萌将伝編です。萌将伝編を読むにあたって本編といくつか変更点があります。

1つは台本書きをやめて執筆しています。

もう1つは萌将伝編は本編から3年という年月が経過しています。その為、一部キャラが成長という理由で別人化しています。

これらを踏まえて読了下さい。

―――――――――――――――――――















昴side

和平の調印式後の酒宴が行われた夜。俺はこの外史を去った。俺は、他の外史を回りながら皆の居る外史への帰還方法を探した。通常、1度旅立った外史に守り手が戻る事は出来ない。方法探せど帰る方法が見つからない。何度も絶望にかられた。それでも俺は帰る方法を探し続けた。そして旅立ちから3年後、ようやく帰還方法を見つけ、この外史に帰ってきた。皆がいるこの外史に・・。





















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


この外史に帰還して3ヶ月が経った。満開の向日葵畑で桃香を見つけ、それから蜀の皆と再会し、和平の締結3周年を祝う酒宴で他の国の皆と再会した。再会した時、何も言わずに旅立った事をすごく怒られた。・・でも、俺の帰りを喜んでくれた。同盟は現在も継続中で、今でも三国・・、今は五胡の国もあるから四国が仲良くやっているようだ。

「昴! 次はあの店に行こう!」

「ん?そうだな」

俺は彼女に腕を引かれ、成都の街を巡っている。

「次はあっちだよ!」

彼女に腕を引かれ、次の店へと向かっている。ちなみにこの彼女ってのは誰だか分からないだろうな・・。この娘・・。





















鈴々だぜ?




















この外史に帰ってきて1番驚いたのは3年という年月により成長した彼女達の姿だ。これには少々驚いた。俺の知る鈴々は背丈は俺の胸ぐらいで、俺を見つけると『お兄ちゃん!』って言って俺の腰にダイブしてくる元気な女の子だった。だけど今の鈴々は背丈は愛紗とほとんど同じで、赤いチャイナドレスに身を包み、短かった髪は今では背中に届く程に伸び、それを1つに束ね、ポニーテールにしている。俺とお揃いだ。鈴々は確実に子供から大人へと成長していた。他にも、今の鈴々の武は大陸でも指折りの強さを誇り、鈴々とまともに戦える将は今や恋と凪くらいらしく、愛紗でも10本勝負をして1〜2本取れれば良い方らしい。ちなみに恋との最近の成績は20勝、20敗、30分けとほぼ互角。凪には若干負け越しているらしい。俺が鈴々を見つめながら歩いていると・・。

「どうしたの? 身体の調子でも悪い?」

鈴々が心配そうに俺の顔を覗いてきた。

「大丈夫だよ。至って健康だ」

「そう? なら良かった」

鈴々は安堵の表情を浮かべ、再び俺の腕を引いた。するとそこに・・。

「おや? 主と鈴々ではないか」

「よう、星」

「あっ、星!」

とある屋台の一角にラーメンを啜ってる星が居た。

「2人供仲が宜しいようで・・」

「ふふっ、羨ましい?」

「いやなに、昨夜は興奮して、遅くまで何を着ていくか自問自答一喜一憂しながら悩んでいた鈴々の姿が初々しいと思ってな」

「っ// そんな事してないのだ! ・・あっ」

「ハッハッハッ! 相変わらずからかい甲斐があるな」

「もう! 星の馬鹿!」

どうやら興奮すると昔の口調に戻っちゃうみたいだな。

「あんまりからかってやるな、星」

「はっはっはっ! 気を悪くするな、鈴々」

「もう! 行こう、昴!」

鈴々が俺の腕を強引に引っ張り、歩き出した。

「おい、鈴々・・。星、またな!」

俺は星に手を振り、その場を後にした。




















・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


「もう! 星ったら!」

鈴々はプンプンしている。こういう所はまだまだ子供だな。とりあえず鈴々を宥めようとしたその時・・。

「ひったくりだー!」

「ん?」

声のした方に視線を向けると、叫んだ男が倒れており、ひったくりをしたと思われる男が何かを抱えて逃走している。

「成都で狼藉を働く奴がまだ居るのか・・」

戦乱は終わってもこの手の輩は少なからず出てくる。見たところ、まだ警備隊は駆けつけてはいないようだ。

「さて、一働き・・ん?」

ひったくりの走る方向の先に陽光に照らされ、金髪を携えた美少女が進行方向に立っていた。

「どけー!」

ひったくりが懐から小剣を取りだし、美少女に襲いかかった。

「ふっ!」

ガキン!!!

その美少女は腰に携えた剣を一振りし、小剣を弾き飛ばし、更に足払いをしてひったくりを転倒させた。

「がっ! ・・てめ・・っ!?」

ひったくりはすぐに起き上がったが、眼前に突き付けられた剣に恐怖した。

「街で騒ぎを起こす不逞の輩よ。大人しく縛につくのじゃ」

「・・くそっ!」

ひったくりは美少女の迫力に押され、抵抗を諦めた。やがて警備隊がやってきてひったくりを連行していった。

「ご協力感謝致します!」

「うむ。街の治安の為に精一杯励むが良い」

「はっ!」

美少女は自身の金髪を一払いし、警備隊員に激励をした。俺はそれを確認し、その美少女に歩み寄った。

「ご苦労様、美羽」

「おー、昴ではないか! それに鈴々も」

「お疲れ美羽。また腕を上げたね」

「妾も日々精進しておるからのう」

金髪美少女の正体は美羽だ。俺が最後に見た美羽はまだまだあどけない幼女だったが、今の美羽は背はすっかり伸び、大人の女性へと成長を遂げていた。

「そういえば、今日は七乃と一緒じゃないのか?」

「七乃は所用があっての。・・別に妾はいつも七乃と居るわけではないぞ?」

「まあ、それはそうだろうが、そう言ってやるなよ」

美羽はどうやら思春期に入ったらしく。七乃にあれこれ世話されるのが気恥ずかしくなったらしく、七乃と少し距離を置くようになっていた。七乃は『美羽様に嫌われてしまったようです〜(ToT)』とか嘆いていたな。別に嫌ってる訳じゃないんだけどな。

「それより昴、街を巡っておるなら妾も一緒しても良いかの?」

美羽が俺に尋ねる。チラッと鈴々の方を見ると・・。

「美羽! 昴は私と2人で街をまわるんだから邪魔しないでよ!」

「良いではないか! 昴はお主のものではないぞ!」

「「む〜・・!」」

2人が顔を寄せてその場で喧嘩を始めた。

「こらこら、喧嘩なんてするなって。ほら、仲良く、なっ?」

俺は2人の頭を撫でながら宥めた。

「・・もう、昴は子供扱いして・・」

「鈴々の言う通りじゃ・・」

2人が顔をうつ向ける。

あれ? 怒らせちゃったかな?

すると鈴々が俺の手を取り・・。

「私はもう子供じゃないんだよ?」

自分の胸に手を押し当てた。

「・・妾だってもう子供ではないのじゃ」

すると美羽も俺のもう片方の手を取り、自分の胸に手を押し当てた。

「っ// 鈴々!? 美羽!?」

俺の両手に柔らかい胸の感触が伝わる。それは子供から大人へと成長している証だった。

「ふふっ、どう? 愛紗程じゃないけど、私も大きくなったんだよ?」

「妾もまだまだ大きくなるぞ? そのうち麗羽姉様のように・・」

「っ//」

2人は尚も俺の手を胸に押し当てている。俺が困っていると・・。

「ふふっ、昴のそんな顔、初めて。・・しょうがない、こうしてる時間ももったいないし、3人で回ろっか?」

「うむ! 感謝なのじゃ!」

鈴々と美羽がそれぞれ俺の腕を抱いた。そしてその日、俺と鈴々と美羽は夕暮れ時まで街を巡った。その日、鈴々と美羽が、俺の中で、娘から女性に変わったのだった。






















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


やがて鈴々と美羽と別れ、俺は自室へと戻った。

「ただいま」

「あっ、おかえりなさいませ、ご主人様」

1人の侍女が俺を出迎えてくれた。その侍女とは・・。

「ただいま、月」

その侍女とは月だ。月も3年の間に著しい成長を遂げ、今の月の姿を一言で言うなら深窓の令嬢であり。そう思わせる出で立ちと雰囲気を醸し出していた。現在では俺専属のメイド及びメイド長である。俺の居ない間も、俺の部屋の掃除や手入れをしていてくれたようだ。月自身、元は太守であるし、政務の処理能力に長けている。それに、もう董卓の名もあまり意味をなさないだろうから太守として働いてみてはどうかと以前に月に聞いてみた所・・。

『今の私はご主人様のお世話をするのが生き甲斐ですから♪』

と、月は断った。以上の事から月は今でもメイドを続けている。

「ご主人様、お疲れ様です。これよりお食事になさいますか? それともお風呂になさいますか?」

「ははっ、まるで結婚したての新妻みたいだな」

俺は笑いながら月に言った。

「新妻!? ・・へぅ〜//」

月は顔を真っ赤に赤らめた。少しからかい過ぎたかな・・。

「あ、あの、ご主人様・・」

「ん?」

月は意を決して・・。

「お、お食事になさいますか? それともお風呂になさいますか? そ、それとも、わ、私を・・!」

もしかして言うのか!? あの伝説の台詞を!?

俺がドキドキしながら待っていると・・。

「こらー! ボクの月に何言わせようとしてんのよー!#」

良い所にツン子が現れた。

「誰がツン子よ#」

口に出してないのに・・。

そういえば詠は昔とそれほど変化はないな。少し大人っぽくはなったけどそれ以外は変化がない。詠は今では軍師の仕事が主で、メイドの仕事はほとんどない。

「まったく! 専属メイドなのを良い事に月にいやらしい真似をして!」

「詠ちゃん。私は別に・・」

「ほら月ももうここでの仕事は終わったんでしょ? なら早く行くわよ!」

詠が月の手を引いて俺の部屋から出ようとした。すると詠が部屋の扉の前で足を止め、おもむろに俺の傍まで寄ってきて。

「ボクで良いならいつでも好きにしていいから・・(ボソッ)」

「えっ?」

詠の方を見ると、顔を真っ赤にして俺から視線を反らしている。

「ふん//」

詠は鼻を鳴らすと、再び俺の部屋から出ていった。

「詠ちゃんずるい・・」

月も、何かボソッと言って詠の後をついていった。

「ふぅ」

俺は一息付くと、寝台に横になった。

「皆、俺の知らない皆だったな・・」

鈴々も美羽も、もうすっかり大人の女性へと成長しようとしていた。月も詠も、前より積極的になったな。

「3年か・・」

国の発展や成長もそうだけど、何より皆の成長が見れなかったのは悔しいな。

「でも、これからゆっくり見守っていけば良いか」

時間はたくさんあるんだ。ゆっくり・・、ゆっくり見守っていこう。

その後、俺は一眠りした後食事を取り、軽く政務をこなした後もう一度眠った。

俺の今日の1日はこんな感じだった。












続く

-99-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




真・恋姫†無双 萌将伝 〜乙女満漢全席〜 (4コマKINGSぱれっとコミックス)
新品 \840
中古 \1
(参考価格:\840)