小説『理不尽な交差点』
作者:たまちゃん(たまちゃんの日常サタン事)

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自己の証明をする時に

何を判断基準にすればいいのだろうか?


例えば此処に『太郎』が二人いるとしよう。

この二人、果たして同一人物か?


…違う!


名前が同じ別人なのだ。

つまり、名前とは単なる〈記号〉であり、本人特定基準に成り得ない。

では、顔が同じ

『太郎』は、どうか?


…これも違う!


双子の可能性もあり、全くの他人の可能性も有り得るのだ。

顔が同じでも中身が違うので確定基準としては不十分である。


すると、これはどうだろうか。


顔も性格も同じ…


北海道生まれの『太郎』


沖縄生まれの『太郎』


残念ながら、違うのだ…

環境が全くの他人を形成するのである。


ならば、こういったケースを考えてみてはどうか…


…この広大な銀河系に、

もうひとつの全く同じ地球があるとしよう。


『地球の太郎』と、


『地球‘の太郎』である。


同じ環境で育ち、

同じ顔、同じ体型、なのだが…


実はこの二人も同一人物とはいえないのだ。


つまり、どうあがいてみた所で自分を証明する事など不可能。


しかしである、

他の人間が記憶の中で

『太郎』を認識したとしたら…

 「確かにこいつぁ、おらの村の太郎だぁ」


等と言ってしまったら、

どうなってしまうんだ?



と…






しかし、

人の記憶ほど曖昧なものはないではないか!


つまり、


『太郎』だと認識していたはずの男が実は・・・


『地球‘の太郎』かもしれないのだ。





そう、この私すらも…



もちろん・・・あなたたちも・・・







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