小説『IS 転生を繰り返す銀の光』
作者:ルージュ()

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閑話 「たぶん…きっと…おそらく閑話」






フランスで起きた誘拐事件後
ユウ達が日本に戻ってきてからさらに一週間、
合計で2週間が経過したが、ユウの意識は未だに目覚めることはない
現在は、元々命に別状はなく目覚めるのを待つだけとのことでアインツベルンの本家ではなく日本の家の近くの病院に入院している状態である。




場所は変わってとある住宅街の家の前で一組の親子が出てきた。
少女の名前は…上條(かみじょう)(むすび)
もう1人の女性は彼女の母親で名前を上條(かみじょう)(さくら)という。

「今日から幼稚園も再開ね。結ちゃんも友達と会えて嬉しいでしょ?」

「アーウンソウダネー(はっきり言ってほぼ毎日会ってる子ばっかりだから大して喜びとか沸いてこないんだけど…というかあれ(・・)がうるさいんだけど…)」

2人の会話からして彼女達は幼稚園に向かうようであるが……
俯いた少女の顔には暗い顔色が伺えた…しかしすぐに顔を上げると笑顔で母親と話し始める。

それから、しばらく(と言っても10分程度だが)歩いていると2人の目線の先に幼稚園の門が見えてきた。
そして2人は門の前まで行くと

「それじゃあお母さん行ってきまーす」

「はい、いってらっしゃい。あ、あと今日は帰り迎えにこれないの、ごめんなさいね?」

「わかったー。1人でも帰れるから安心してーお仕事いってらっしゃい!」

というやり取りの後、結は母親と別れ門をくぐって敷地内に入りそのまま玄関まで歩いていこうとするが、
そんな彼女の前に、まるで最初から待っていたかのように金髪の少年が影から現れ結に話しかける

「やぁ、久しぶりだね。休みの間はどうだった?お前だけじゃないけどみんな恥ずかしがって俺様に会いに来てくれなかったんだよ。本当にみんな(ry」

「………(本当にこいつはうざいわね。休みの間に少しは変わると思ったけど……そんなことはなかったわね。とりあえず無視して教室にいきましょう)」

目の前でいやそうな顔をしても気にしていないのか、
それとも気がついていないのか少年はお構いなしに話し続けるが、
結はそれを完全に無視して下駄箱から上履きを取り出すと
少年を放置して自分の教室に向かって歩いていく。

なお、放置された少年はしばらく経った後
いつまでも教室に来ないことに気がついた先生により
怒られながら轢きずられて行ったのだが
その時に「先生無理やり連れ込まなくても…」や「他の子に話しかけたくらいで嫉妬しちゃって…」
などとわけの分からないことを言い続けていたとか何とか……




金髪の少年のことを無視した結が教室に入ると
彼女が入ってきたことに気がついたのか彼女の家のお隣さんの幼馴染の双子の兄妹がこちらに近づいてくる。

「お、やっと来たのか本当にお前っていっつもギリギリにくるよなぁ」

そう言ってきたのは兄の織斑一夏(おりむらいちか)
まだ顔はそこまで整ってないが……
この年ですでにほとんどの女子園児を無意識のうちに落としているある意味将来が楽しみな少年だ。
……まあ、先ほどの金髪の少年(馬鹿)とは別な意味で心配ではあるが。

しかも本人には落とした自覚ない所為で、
その皺寄せがどういうわけか結の方にやってくるのである。
本人曰く、これやほかの事を含めて「不幸ですぅぅぅぅ」だそうだ。

「そうだよーおかげで一緒に幼稚園行きたいのにお姉ちゃんに「さっさと行け」って言われて本当に偶にしか一緒に朝これないしさー!!」

そういいながら一瞬のうちに結の横にやってきて、
彼女の腕に抱きついているのは一夏の双子の妹である織斑雪奈(おりむらゆきな)
こちらは男女共に別な意味でモテルのだが……

「……(千冬さんも規格外だけどこの2人もある意味で規格外ね)ハァ…」

「むーちゃんも人の事いえないと思うよー」

結が小さくため息をつくとそれをみた雪奈が下から顔を覗き込む形で視界に入ってきてまるで結の心を読んだかのように声をかけてきた。

「言っておくけど私はまだ普通だからね?あといい加減離れなさい雪。鬱陶しいわ」

「えー、いいじゃないー私とむーちゃんの仲なんだからー」

「ハァ…どうしてこうなるのよ…」

嬉しそうに答えながらさらに強く抱きついてくる雪奈と
途中からあきらめたのか為すがままにされる結。

それからしばらくすると銀色の髪と薄い青色の髪をした2人の少女が結たちの元に近づいてきた。

「本当結と雪奈は仲がいいわね。おかげでみてるこっちが砂糖吐きそうな空気だわ。ねえ簪?」

「……さ、流石にそれはないけど……というかイリヤ……口悪いよ?」

近づいてきた2人の正体はイリヤと簪であった。

「どこをどう見ればそんな感想を言えるのか小一時間ほど問い詰めたいのだけど?」

「もぉーイーちゃんってばおだてないでよー」

「なんで雪奈はそんなに喜んでるの!?そもそもそんな空気出してないでしょ!!」

「むぅぅぅぅぅむーちゃんのにぶちん!」

そう言いながらも結の腕に抱きつく力はさらに強くなっていくのであった。

そんな一種のカオスな空気の中一夏は何かに気がつき…あとこの空気をどうにかするためにイリヤに声をかける
(「一夏が空気読んだ!?」とか言っちゃダメよ?)

「そういえばイリヤ」

「ん?なにかしら一夏?」

「ユウのやつの姿が見えないんだけど…」

一夏の言葉にイリヤの横にいた簪は悲しそうな顔をするが
聞かれたイリヤ本人はというととても軽い感じで…

「ああ、ユウなら…2週間前に怪我負ってそのまま意識不明でまだ目覚めないわ」

「へーそうなんだ意識不め……え?」

「え?」

「はい?」

イリヤのまさかの答えに一夏・雪奈・結の3人は一瞬呆け…そして…

「「「ええええええええええ!?」」」

教室中に聞こえるほどの大声で叫んでしまうのであった。

その後3人は何事かと思い金髪を引き摺りながら駆けつけた先生によりお説教される運命なのであった。

なお、先生から話を聞いた他の園児たちも大体似たような反応だったと言っておこう。

ただし結だけは落ち着いた後

「どういうこと?……った。わた……んした……。なら原い……?…生きて……」

他の人には聞こえないほど小さい声で何かをぶつくさとつぶやき続けていた。







そして時間は過ぎ幼稚園も終了の時間がやってきた。

なお、自由時間に結と雪奈がいちゃついたり(ただし一方的)
イリヤが一夏で遊んだり、
そんな様子を少し離れたところでため息をつきながら簪と残った最後の幼馴染である篠ノ之箒(しのののほうき)が眺めていたり、
金髪の少年が何か言いながら女子に近づいて無視されたりしたが……特に何事もなく平和であった。

先生の挨拶も終わりそれぞれ園児達が帰るためにバスに乗ったり、
保護者に迎えに来てもらうために時間を潰している中…結はというと…

「………よし。前方に障害がないことは確認。今日は早く帰りましょうそうしましょう。色々な意味でいやな予感しかしないわ!」

素早く教室から出るとそのまま周囲を確認して玄関に向かってダッシュして、
そのまま靴を履き替え門まで向かおうとしているところだった。

「ってこらー!無視して帰ろうとするなー!」

結の後ろからは雪奈が大声を上げてこちらに向かって走ってきているが、それを無視して結は門に向かって駆け出す。
そして、そのまま門を抜けた瞬間……

「どこに行こうとしているのだ貴様は」

「ぐぇ」

何者かに襟をつかまれ急停止を掛けられる。
彼女は自身を掴んだ人物に心当たりがあり涙目で声を詰まらせながらその人物の方に顔を向けて抗議する。

「な、何をするんですか?千冬さん」

「桜さんに今日は代わりに迎えに行ってくれと頼まれたから来たところに走ってきたお前がいたから止めただけだ」

彼女の言葉にそう返すのは、一夏と雪奈の姉で織斑家の長女である織斑千冬(おりむらちふゆ)その人であった。

「…(確かに無理って朝言ってたけど……だからってわざわざこの人に頼まなくても!?……あら?もしかしてずっと感じているいやな予感って…)」

千冬にネコのように持ち上げられた状態で彼女は思考を巡らせていると雪奈たち5人が近づいてきて千冬に話しかける。

「あ、お姉ちゃん、今日は迎えに来てくれたんだ。あとむーちゃん捕まえてくれてありがとう」(雪奈)

「お、千冬ねえ」(一夏)

「ち、千冬さんこんにちわ」(箒)

「あ、千冬だー。久しぶりー」(イリヤ)

「…お久しぶりです…千冬さん」(簪)

「お前達も来たか」

千冬の姿を見かけた箒・イリヤ・簪も雪奈たちに続いて彼女に挨拶をする。
当然千冬に持ち上げられている結のことはスルーだ。
その後少ししてどこからともなく……

「ちぃぃぃぃぃちゃぁぁぁぁぁんんんんん」

と大声を上げてこちらに向かってくる1人の女性。
千冬は女性を見ながら冷静に空いている左手で…

「いたっ!?痛い痛いよ!?ちぃちゃん!?」

的確に女性の頭を掴むとそのまま見事なアイアンクローを決める。
千冬にアイアンクローを決められている女性の名前は篠ノ之束(しのののたばね)、千冬の幼馴染であり箒の実の姉である。

「とうっ!」

束はなんとか千冬のアイアンクローから抜け出すとそのまま近くにいた箒に近付き話しかける

「さあ箒ちゃんお姉ちゃんだよ!ハグしようハグ!」

「嫌です」

「ガーン」

「で、でも姉さん家に帰ってからなら構いませんから」

「やったー箒ちゃん優しいー!」

等と姉妹でスキンシップ?をしていると…

「あらあら相変わらずあなた達姉妹は仲がいいわねー」

背後から声をかけられる。
それに真っ先に反応したのはイリヤであった。

「なんでお母様がここにいるのよ…」

そう、声をかけてきたのはアイリであった。

「それはもちろんあなたたちを迎えに来たのよー」

「……お母様仕事は?」

「…オワラセテキタワヨー?」

「…押し付けてきたんですかアイリさん…」

「ななななんのことかしらー」

「「………」」

イリヤと簪から冷たい視線を浴びながら気まずそうにするアイリであった。

その後束がアイリに近付き師匠と呼んで色々と話し込んだりしたが特に何事もなく別れそれぞれの帰路につくのであった。




余談だがアイリが送っていくといった時全員必死に断っていたとかなんとか
(距離的な問題もあるだろうが)



後書き

免許取るための勉強と試験があったからちょっと間が空きましたが無事投稿。

とりあえず今回は閑話らしきもの新キャラ+ご都合主義祭りで。

いつもの解説コーナー

上條結(新キャラじゃないけどね)
プロロ2及び第1話(裏)で出てきた闇の子。
転生しているため不老不死ではないが吸血鬼の能力は使用可能ただし使うと確実に暴走。
ISの世界では織斑家のお隣さんで幼馴染1号。
苦労人2号。

上條桜
結の母親。
普通の人、話で書かなかったがアインツベルンの日本支社で働いてる。
アイリの会社内でのサボりクセの被害者。

織斑一夏・千冬
原作と特に変化なし。

織斑雪奈
オリキャラだが転生者では無い。
容姿は千冬似だが目つきなどは鋭くなく逆に見た目・目つき物腰はやわらかい。

篠ノ之箒
原作と違い束との仲は良好にする予定。
現時点でお姉ちゃん大好きっ子。
別に幼馴染だしもう出しても良いんじゃね?ということから登場。

篠ノ之束
たぶん原作キャラで現在一番改変されてる人。
好きな人に対する対応はほぼ原作どおりだが、興味ない人たちにも世間一般の対応ができるようになってる(それでもめんどうそうに話すのは変わらないが)。
アイリの弟子、経緯についてはアインツベルンのサバにハッキング→アイリに迎撃される→捕まってアイリに色々教育される→そのまま弟子になってアインツベルンでアルバイトとIS作成の資金集め 的な感じです。

鈴木 廉也(すずき れんや)
本編で名前が出てこなかった金髪の少年。
転生者だが誘拐事件の転生者達とはつながりはない。
転生させるに当たって特典として『金髪・オッドアイのイケメン』『主人公と同年代』『ニコポ・ナデポ』『ISに男でも乗れる権利』『専用機』を選んだがそのうちのなにが適用されているか本人は知らない。
なおニコポ・ナデポは自身に好意を持っている人にしか効果がないがそれを彼は知らず大抵あった瞬間に変なことを口走るため成果は未だ0。

とりあえず今回はこんな感じ。
次回は記念話書く予定、内容はFate/ZEROで面子がカオスになる予定。
あくまでオマケなので続かない。
あと聖杯戦争の召還ルール一部改訂。

本編の次回更新では主人公が目覚める予定。
ではこの辺でー

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