小説『IS 転生を繰り返す銀の光』
作者:ルージュ()

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第10話 目覚め





フランスでの誘拐事件が終わり1週間

さらにそこから日本に戻ってきて1ヶ月……その間事件に巻き込まれたことが原因で眠り続けていた少女が今日ようやく目を覚ますこととなる




とある病院の一室

その部屋のベッドの上には先ほどまで1月以上もの間
眠り続けていた少女がたった今目を覚ましベッドに横になったまま目線だけを動かせる範囲で動かしているところであった

「……………」

その表情は困惑しているようにも見える……まあ、目を覚まして突然病室だったら誰でも困惑するだろうが……

ちなみにユウの左足の骨折部分は脛骨…まあ、すねの部分です
骨が癒合するまで約7週間、その後機能回復するまで癒合の2〜3倍の期間を必要とするらしいです。
ただし小児の場合2〜3割は早く回復するらしいです。
(地味にこれについて調べるのが面倒だった)


そしてある程度自分がどこにいるのか理解したユウはその口を開く

「………え?目が覚めてみれば起きた場所が病室ってどういうことですか?というか私…母様や姉さんにいきなり簪ちゃんと一緒にフランスまで連れてかれましたよね?わけがわかりませんよ」

その後顔を横に向けると台の上にカレンダーがあるのを見つけそのまま日付を確認する

「あ、カレンダーがありましたね。何故、病室で寝てたかは知りませんが今日は何日でしょ…う…か?…………あれ?私の記憶の中にある日付と1月以上も違う気がするんですが………嘘ですよね?」

日付を確認して呆気に取られてしまったユウは、
頭の中でできる限り思い出せる分の出来事を思い出そうと必死になって考える

「(えーっとまずフランスに連れて行かれて、その後母様のお友達の家に行って………あれ?思い出せませんね?確か誰かに会ったような?………なんでしょう大切なことだったはずなんですが記憶から抜けてる…というよりもここから先の記憶がないですね)」

そもそも誘拐事件云々の前に着せ替え人形にされたことが軽くトラウマになっているため、
あの出来事(もう1人のユウが殴って気絶させたこと)がなくても一部の記憶は消されているだろうが…

「(うー、こうなったらランに何があったか聞くしかないですね。では早速…)」

『ラン聞こえますかー?聞こえたら返事をしてください……ラン?……あれ?おかしいですね?』

念話を使い自身の相棒と呼べる存在に連絡を取るが反応がない

「本当に何があったんでしょうか?とりあえずベッドから抜け出して部屋の外の様子を見ましょうか」

そういってベッドから出ようと身体を動かすが………

「うにゅ!?」

1月以上ベッドに寝たきりだったため身体がまともに動くはずもなく、
そのままバランスを崩し地面に倒れこんでしまった。

「い、痛いれふ…あ、あと左足も痛い……なんでですか…」

さらに運が悪いことに倒れ方が悪かったのか骨折している左足をぶつけてしまい2重の痛みがユウに襲い掛かる。
しかもそれだけにとどまらず……

「あ、あれ?左足が折れてるこの状態じゃ起き上がるどころか……ベッドにも戻れないんじゃ……」

なおユウの現在の肉体年齢は当然5歳児と同じである
さらにナースコールは現在ユウが倒れている場所からちょうどベッドを挟んで向こう側にあるのであった。
まあ、そもそもユウはナースコールのこと存在自体忘れてますがね。

「だ、誰か!?助けてくださいー!」

ガチャッ

と、病室の中で叫んでいると病室のドアが突然開き、
何とか首を動かして誰が入ってきたのか顔を上げて確認するとそこには驚いた顔をしている簪がいるのであった。

「ユ…ウ…?」

「あ、おはようございます簪ちゃん。早速ですがおこしてくれ「ユウ!」ちょ!?急に抱きついてこないでください!?というか簪ちゃん痛い!痛いですーーー!」

突然抱きつく簪と急に抱きつかれてパニックになるユウ……ついでに体勢が悪く左足がちょうど痛む形になっているのであった



―――――しばらくお待ちください―――――

その後何とか簪を落ち着かせたユウは、直後に騒ぎを聞きつけてやってきた看護師さんによってベットに運ばれ簪はその横で椅子に座っている。
看護師さんはそれを見届けるとユウの両親に目覚めたことを報告しに行ったらしい……

「…ごめんなさい」

「もう、気にしてませんから顔を上げてください」

「うん……ところで…なんで床に倒れてたの?」

「………ナ、ナンデモナイデスヨー(汗)」

倒れていた理由を聞かれ片言になり冷や汗を流しながら明後日の方向を向くユウであったが…

「………ジー」

「そ、それはあれです。起きたばかりですから現状を確認しようと…」

結局簪のジト目に耐え切れず正直に話すのであった
話を聞いた簪は呆れた表情をしながら一言ユウに告げる

「…だったらナースコール使えばよかったんじゃ?」

「……あ」

「…本当ユウってどこか抜けてるね」

そんな簡単なことすら気がつくことのできなかったユウ
なんとか話を逸らそうとあせった表情をして簪に話を聞く

「そ、それよりも私は何で寝てたんですか!」

「…話逸らした」

「き、気のせいです」

「…はぁ…とりあえず何が起こったのかというとね」

―――――少女説明中―――――


「簡単に言うと誘拐されて、その後助けられはしましたが、私はその時の怪我のせいで今日まで寝ていたと……」

説明を聞いたユウは案外あっさりと自身の現状を受け入れて納得する

「…本当に心配した…それにユウが怪我をしたって聞いて私本当に悲しかった……それにもしこのまま目が覚めなかったらと思うと……」

「簪ちゃん…私はあなたに怪我がないというだけで十分ですよ」

「でも私は……」

何かを言いかけた簪をユウはなんとか体を動かして抱きしめる

「ユ…ウ…?」

「あなたは少し考えすぎなんですよ。私は生きてる…それだけで今は良いじゃないですか」

「で、でも下手したらユウ…死んじゃってたんだよ!」

「心配だったのはわかりますが私はそう簡単に死にはしませんよ」

「むぅ……あ……」

簪がユウの言ったことに納得できずに不満げな顔をしていたが、途中でユウの顔を見た時に彼女が簪に向けて笑顔を見せていたため、それを見た簪は突然顔を赤くして離れてしまった

「(あれ?どうしたんでしょう?簪ちゃん風邪ですかね?)」

突然離れた簪に不思議に思っていると………突然頭に声が響く。

『そういいますが今回は割と危険だったんですからね(主に暴走的な意味で)マスター?……あと天然乙です』

『いきなりうるさいですよラン、やっとつながったと思ったらなんですか!あと誰が天然ですか誰が!』

『天然はみんなそう言うのです』

『その辺りはあとでOHANASHIするとして……今どこにいるんですか?最初念話がつながりませんでしたが?』

『今マスターの父君と一緒にそちらの病院に向かっています』

『え?どういうことですか?』

『マスターが気絶したあとシアが余計なことを言ったため説明のために私が出る必要がありましたから。まあ、魔力が足りず待機状態のままですけど』

そのことを聞き顔には出さないが心の中であせり始めるユウ

『……それでシアは何を言ったんですか?』

『簡単に述べますと、倒れているマスターを発見した時にシアがあなたが主人であることを口にして、それを父君が疑問に思ったため仕方なく説明しました。といってもある程度説明した後はマスターから直接聞くといっていたため中途半端に終りましたが』

『結局私の口から説明はするんですね。まあ仕方ないですね。それでシアは今どうしてますか?』

結局半ばあきらめた感じで話を切り上げシアのことを聞くと少しの沈黙の後返事が返ってくる

『……家の方で人型の状態でイリヤ様に遊ばれていると思います』

『……シア、強く生きてください。……若干自業自得泣きもしますが。とりあえず父様に説明することを考えないといけませんね』

ランとそのように話していると、簪が突然立ち上がった。

「…今日はもう帰るね」

「え?もう帰るんですか?」

「うん、今度はお姉ちゃんや本音もつれてくるから」

「そうですか」

簪はそういって部屋から出ようとするがその直前にユウが簪に向けて一言声をかける。

「あ、言い忘れてました」

「??」

簪は突然呼び止められてなんだろうと思いつつも振り返る。

「こういう風に言うのは変かもしれませんが………ただいまです」

「!! ……うん、お帰りなさい」

ユウが再び笑顔でそう言うと簪もそれに答えて笑顔で返し、そのまま部屋を出て行くのであった。




その後やってきた切嗣に自分が転生していることや能力について重要な所は流しながら説明するのだが……説明しても気持ち悪がられるどころか、今までと変わらず接しられて少し戸惑ったユウの姿があったとかなかったとか…
結局シアが人型になれることはアインツベルンの家のものと簪は知ることになったが、転生云々に関しては今のところ切嗣しか知らないことである



それから1月ほど入院をして骨折している所や他の部位を動かせるようにリハビリをしていくユウであった。
その間イリヤや簪、本音や楯無もやってきて(楯無だけは若干うらやましそうな目をしていたが)騒がしくしすぎて怒られたりするなど色々あったが特に問題なくリハビリは終了し約2ヶ月遅れで元の生活に戻れる……はずであったが……





「………」

「にゃはは」

「え?どういう状況ですか?」

現在無事退院して自分の部屋に戻ってこれたユウであったが、直後に簪とユウと簪共通の幼馴染の布仏本音(のほとけほんね)がやってきて簪が何も言わずに突然ユウに抱きついたのである。
しかも簪の眼は若干赤くなっていて先ほどまで泣いていたのが分かる。
突然の出来事に困惑して何とか顔を本音の方に向けて目線で助けを求めるが……

「え〜っとぉ〜がんばって〜〜」

そういってのほほんとした顔で応援するだけであった。

「誰か!誰か状況を教えてくださいーーーーー!」






後書き

久しぶりの本編更新と今年最後の更新!(もう今年終りますけどね)

とりあえずユウが目覚めて簪とイチャイチャしただけー(こら

今回切嗣に転生者だとばれましたー
まあ、特に影響は無いんですけどねー
そもそも魔術がある時点で転生なんてやろうと思えばできる気がする
第3魔法とか人形遣いさんみたいな感じで…何か違う気がするけど。
あと切嗣に説明した内容は
1.ユウが転生者
2.魔術のことについて
3.若干のユウ自身の能力について(といってもランにシア、あともう1人のユウについてくらい)

そのため今までどのくらいの回数転生したか等については説明してません(そもそもまだ主人公紹介すら話として書いてませんね)

では今回はこの辺で失礼します。
また次回更新でお会いしましょう。
皆様よいお年をお過ごしください。

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