第13話 暴君降臨……あ、ごめんなさい許し…ピチューン
「ああ、それともう1つ言っておくことがあったな」
『え?』
一夏・雪奈・イリヤの3人を強引におとなしくさせた後再び千冬はそうつぶやいた。
その一言に突然の出来事にフリーズしていた生徒たちが意識を取り戻し驚きの反応をするが……
「そこのアインツベルン姉妹、お前達もきちんと自己紹介せんか!」
「またっ!?」
「私もで……むきゅっ!?」
『ッ〜〜〜〜〜』
生徒たちが理解する前に投擲されたチョークはまっすぐときれいに痛みを何とかこらえて顔を上げていたイリヤと全く関係ないと思っていたユウ達2人の額に直撃し痛みで悶絶させたのであった。
「全くこいつらと来たら……少しはまともに自己紹介くらいできんのか」
「お、織斑先生もう会議の方は終られたんですか?」
「ああ、おかげさまで滞りなく終ったよ。しかし、クラスの挨拶を押し付けることになりすまなかったな」
ユウ達に対してキツイ言葉をかけたかと思うと、横から話しかけてきた山田先生には先ほどまで……どころか知っている人ですらほとんど聞いたことのないような優しい声で返事を返す。
このとき彼女のことをよく知っているこのクラスの数名は心の中で「誰だよあんた」というツッコミを入れたが、次の瞬間には全員机に伏せる形になるのであった。
それから少し時間が経ち完全に状況を理解したクラスメイトたちが、千冬の存在を理解し無駄に騒ぎ出したり、直後に一夏が彼女のことを『千冬姉』と呼んだためにさらに騒がしくなったが……
「静まらんか馬鹿者共が!」
という一言で完全に静まり返ってしまった。
………カリスマがあるのかただ恐怖の象徴になっているだけなのかは分からないがすごいことである。
「余計なことに時間を取られてしまったがSHRはもう終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半年で、さらに実習その他で基本動作を半月で覚えてもらう!分かったら返事をしろ!たとえよくなくても返事はしろ!いいな!この後は休み時間をとった後すぐに授業に入る、貴様達には時間がないということをしっかり理解しろ!」
そう言ってSHRを終了させると先生2人は教壇の横の机に移動して次の時間の相談なのか何かを話し始めるとそれを見て教室内の生徒達も各々次の授業の用意を始めるのであった。
ちなみに残りのクラスメイトの自己紹介は休み時間に勝手にやれとのお達しでしたとさ。
何とか無事に(誰も千冬に叩かれなかったという意味で)1時間目の授業が終了し、現在は休み時間に突入していた。
なお、IS学園はコマ限界までIS関連の教育を行うため入学当日から入学式を行わず普通に授業を行っている。
本来であれば休み時間中に次の授業の準備をするのが普通であるが、SHRが終った直後とは違い、廊下には世界初の男性操縦者を一目見ようと別のクラスだけではなく他の学年からも生徒が押しかけてきている。
まあ、女子生徒たちはまだ男性操縦者という存在に慣れていないのか誰も話しかけてこようとはしない、それは同じクラスの女子も一緒で1組周辺が再び謎の緊張感に包まれている。
そのような状況の中1組には、そんなことは関係ないといわんばかりに集まって各々好き勝手言い合っている集団が存在した。
「それにしてもすごい人の量ね。やっぱ世界初っていうのはみんな珍しいのかしら?」
「それはそうだよ〜、なんたって〜世界初なうえに〜おりむーが『ブリュンヒルデの弟』って言うのも広まったみたいだし〜」
「あーうちのクラスでもその話題で持ちきりだったわね。それにみんながみんな一夏の事気になるのかここに集まってきた所為で、自分の教室からここまでくるのも一苦労なのもいいところよ」
「…うん…私も来るの大変だった……」
声の主は上から順にイリヤ・本音・結・簪で、現在結は3組、簪は4組からわざわざ1組までやってきて談笑している。
「……ところで本音?」
「ん〜、な〜に〜かんちゃん?」
「…なんでユウに抱きついてるの?…」
「え〜かんちゃんも抱きついてるんだから〜別に良いと思うんだけど〜あと〜こうしたほうが〜ユウちゃんの体を堪能できるし〜あったかいし〜」
そういいながら本音はユウに抱きつく力を強くして彼女の頬に顔を擦り付ける。
その行動にいい加減うっとおしく思ったのかついにユウがその口を開く
「とりあえずあなた達?」
「な〜に?」×2
「人の席に来るのはいいですがなんで2人とも私に抱きついてるんですか!」
「なんとなく!」
「…ユウ成分を補給に」
「そうですよね!本音ならそういうと思ってましたよ!あとかんちゃんなんですかそれは!?いいから2人共離れてください!」
「ちぇ〜」
文句を言いながらイリヤと本音はユウから離れるが簪は中々離れない
「かんちゃん…離れてくれると嬉しいのですが?」
離れない簪に対し、ユウは背中に顔をわずかに向けて話しかけるがそれでも離れない…
「…私だけクラス別なんだから休み時間だけでもいいじゃない……」
若干目に涙をためて上目遣いをしながらさらに手に力をこめる簪
「!?」
「ニヤニヤ」×3
簪の行動に動揺して顔を赤くするユウとそれを横から眺めてニヤニヤと笑っているイリヤ・本音・結の3人………今日も彼女達の周りは平和である
「恥ずかしいですから離れてくださいかんちゃん!後で何でもしますから!」
「……ん……分かった離れる」
「あ、あれ?」
「…放課後楽しみにしてるね?」
「え?え?」
どうやらユウは選択肢を間違えたようです
一体彼女はどうなってしまうのか!?
とりあえず彼女の周りは平和なようでなによりです(大事なことなので2回言いました)
「どこが平和なんですか!?」
なお、一夏と雪奈の2人は休み時間になった瞬間に箒が声をかけて廊下に連れ去っていきましたとさ(え
ついでに1組以外はすでに先ほどのSHRで自己紹介は終っている………1組ぇ
このやり取りは休み時間が終るギリギリまで続き、千冬がやってきて教室の周りにいた生徒達を追い払う寸前まで簪は残っていた。
「人の話を無視しないで下さい!」
それ以前にナレーションにツッコミを入れないで下さい
「―――――以上のことから枠内を逸脱したIS運用をした場合国際法により罰せられ―――――」
2時間目の授業中、先ほどまでとは違いすらすらと教科書を読み分かりやすく授業を進めていく山田先生
クラスのメンバーがそれを聞きながらノートをとったりしている者が多い中……一夏はというと…
「……(っやばい!まるで意味が………分からない!)」
まるで授業についていくことができずに絶賛混乱中なのであった(笑)
ちなみに現在の一夏の動きは若干挙動不審となっており、時折隣の女子生徒の方を注視したりしてその女子を驚かせてしまっている。
そんな謎の行動をしている一夏を見ていた隣に座っている雪奈はその様子を見かねて一夏の方をチラッと見た後先生に声をかける
それを見た一夏はまるで天使でも見るような目で雪奈を見つめたが……
「先生!ここにいる馬鹿兼変態が挙動不審で気持ち悪いですー」
人生そんなに優しくは無いのであった
「誰が馬鹿で変態だ!」
雪奈の一言に立ち上がって大声を上げる一夏だが…次の瞬間…
「うるさいぞ織斑兄」
という千冬の声とほぼ同時に叩きつけられた出席簿からとても聞こえるはずの無い音が響き渡り一夏は頭を抑える
「な…何で…俺だけ…原因は雪奈なのに…」
「早く座らんか」
ドガンッ
痛みをこらえている一夏に追撃が入るのであった………実に理不尽である。
そんな様子を見た山田先生がたまらず千冬に声をかけるが…
「お、織斑先生流石にやりすぎじゃ…」
「大丈夫です。この馬鹿はこの程度じゃ堪えません」
まるで問題はないというようにあっさりとした軽い口調で返されてしまった。
ちなみにそのやり取りの間一夏はというと…
「お…お…あ…頭が…」
と頭を抑えて唸っておりそれがいっそう山田先生の目に止まるのであった。
「(とても大丈夫そうには見えないんですが…というか先輩は昔から無駄に男らしい所為で浮いた話も聞かないんですよね)」
「何か言いましたか?山田先生?」
「い、いえ!なんでもないです!そ、それで織斑君はおかしな行動をしてどうしたんですか?」
心の中で思っていたことに反応するチートさんの恐怖に負けて、話を逸らすために一夏に声をかけるが……返ってきた反応は意外な物であった。
「山田先生!」
「はい、なんでしょう?」
「今までのIS関係の話……ほとんど全部分かりません!」
「…ほえ?」
一夏のあまりにも予想外な言葉に先生という立場を忘れて間抜けな声を出してしまう。
ちなみに周りの生徒(箒以外の幼馴染除く)もあまりの発言に凍り付いてしまう。
教室の空気が本日何度目かも分からないほど凍りつく中、ユウたちの反応はというと……
「ハァ…やっぱり一夏は馬鹿ね」←雪奈
「zzzzz」←本音
「わ、笑いすぎて、お、お腹が……」←イリヤ
「姉さん笑いすぎです。あと本音もおきなさい」←ユウ
「…だ…って…あり…えない…でしょ」←イリヤ
「ん〜何があったの〜?」←本音
こっちはこっちで本当に自由(主に本音が)である。
「一夏がバカな発言しただけですよ本音。それに姉さん…」
本音に状況を簡単に説明しつつも笑い続けているイリヤに対して声をかけるユウ
そのセリフに一夏はかすかな希望を見出してこちらを見るが…
「一夏がアホなこと言うなんていつものことじゃないですか」
「グハッ」
結局救いではなく、止めを刺されてその衝撃で机に頭をぶつける一夏
そんな一夏の状況は無視して千冬が止めを刺されダウンしている一夏(馬鹿)に声をかける
「…織斑兄、入学前の参考書はどうした?読んでいて分からないのであれば何か考えなければいけないが…」
それに応える様になんとか顔を上げて言葉を紡ぐ一夏……
「ふ…ふるい電話帳と間違えて…捨てました」
再び凍りつく教室内の空気……本当に何度目だろうか?
「必読と書いてあっただろうが馬鹿者が」
本日5発目の出席簿アタックが火を吹きこの時間だけで三度(ユウからのトドメ含み)机に顔を沈める一夏
「はぁ、仕方ない。アインツベルン妹」
「なんでしょうか?」
「この馬鹿に1週間で参考書の内容を覚えさせろ」
「何故私なのか聞いても?」
突然の提案に驚く様子を見せはしないが納得はしていないようで質問を返すユウ
「この学年…というよりもこの学園の生徒全員の中でお前はトップクラスの知識を持っているだろう」
「え…私仕事があるのでお断りしたいんですが……」
「やれ」
「わかりました(泣)」
最初は断ろうとしたが、彼女の前でそんなこと意味があるはずもなくあっさりと無視され、強制的に仕事を押し付けられるのであった。
「では決まりだな…織斑兄もそれでいいな?」
「は…はい…」
こうして2時間目も平和に過ぎていくのであった……
「どこが平和だぁぁぁぁ!」
「急に叫ぶな馬鹿者が」
最後の最後で叩きつけられる出席簿……いい加減学習しようよ
「というか一番の被害者は私だと思うんですけど?何で巻き込まれてるんですかね?」
関わりたくなくても関わってしまう…それがユウクオリティ!
「グスンッ」
後書き
『ユウの簪に対する呼び方が「簪ちゃん」から「かんちゃん」にパワーアップした!』
とりあえず今回はチョロ…セシリアが登場する前までのお話になりました。
なお、この小説では一夏の脳細胞がマッハで終了してますが……たぶん問題ないでしょう(え
さて簡単に各クラスの編成でも説明を、あくまで現時点のですが
1組:原作登場組みとユウ・イリヤ・雪奈の3人を加えて計30人
2組:変化なし
3組:結+1の計30人
4組:変化なし
です。
まあ、これから変わるのは確定してるんですけどね。
一番悩んでるのは専用機持ちの人数ですが。
最後にユウが一夏の指導役に指名されましたが…彼女が苦労するのはこの小説のデフォです。
あと関係ないですが……本編書いてる途中に涙目で上目遣いのかんちゃんを想像して若干萌えた。
かんちゃんかわいいよかんちゃん!
では今回はこの辺で失礼します!
コメントくださってもいいのよ? チラッ
また次回お会いしましょう!
きっとセッシーもでるよ!……たぶん