小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜エネルside〜〜


 ラーズに敗れてから青海に行き、幾つかの島で情報を集めた。この海の航海の方法、海軍という組織、そしてラーズ
 達の様な海賊の事。この海は私の知らない事が沢山あったのだな。

 自分が神だと言いながら、世界には私の知らない事ばかり。我ながらおこがましいものだったな。そう考えると
 空でラーズと出会い、敗れたのも必然という事か。

 ある程度の情報も集め船でゆるりと旅していると、近くで聞き覚えのある”声”を聞いた。あの声は確かラーズ達の
 船にいた者達だな。こんなとこで会うとは不思議なものだ。しかし…近くにいる一名を除いた人間の”声”は
 記憶にあるが、ラーズの声が聞こえないのはどういう事だ?あの者達は一緒に旅してるのではなかったのか?

 この海には知った顔などいないし、様子を見に行ってみるか。

 ”声”を聞く限りだと、ラーズの仲間達は海軍と戦い始めた様だな。しかし何故海軍と正面から戦っているのだ?
 分からぬ事が多すぎるな。

 だとすると直接会って事情を聞くのが手っ取り早いか。そこまで行ってみよう。



「どうなんだよ!エネル!?」



 ふむ、この長い鼻は私を警戒しているのか。まァ無理もないな。ラーズ相手ならまだしも、この者達では手も足も
 出ない事を分かっているのだろうな。他の者も似たようなところか。

「まァ待て。貴様達と戦おうという意志はない」

「……じゃあ何しに来たのよ?」

 この橙色の髪の女…確かラーズの想い人だったか。私の心網は空島でしっかり聞いていたからな。


「何故ラーズがいない?」


 私が聞きたいのはそれだ。その質問をした途端、ほぼ全員が俯いた。…何があったのだ?

 話を聞こうとすると、海兵達が襲いかかってきた。

「コイツも仲間か!?」
「構うな!仕留めるんだ!」
「絶対正義の名の下に!」

 周りがうるさくては話も出来ないな。腕を雷に変えて、一直線に放つ。

「神の裁き(エル・トール)」

 私の一撃は海兵達を薙ぎ倒し、辺り一帯を静かにさせた。これで少しは話が出来るな。


「なんつー破壊力だ…」
「…兄さんはどうやって勝ったんでしょうか?」
「流石は自然系ね」


 何やら口々に言っているが、そういえばこの者達は私の能力を直に見た事は無かったな。これが普通の反応だろう。
 やはりラーズが特別だったのだ。

「で、何故ラーズはいない?」
 
「それは…」

 長い鼻から話を聞く。ふむ……七武海、か。私を倒した実力もあるし間違ってはいないだろう。しかし、海軍も
 随分と乱暴なものだな。それで、ラーズを船に戻す為にここで戦っている、と。
 若干短絡的な思考とも考えられるが、何をするかはこの者達の自由だしな。
 
「なるほどな、事情は理解した。要はこの海兵達が邪魔な訳だな」

「そりゃそうなんだが…」

「ならば私に任せて貰おう」

 そう言うと、ラーズの仲間達は目を点にした。私は何かおかしい事を言ったか?

「何でお前がおれ達に助太刀するんだ?正直信用ならねェ」

 この男のマユゲは不思議だな。何故渦巻いてるのだ?

「ラーズには借りがあるからな。それを少しは返しておこうかと思っている」

 私は空島でラーズに敗れたが、ヤツは私を捕らえようとはしなかった。私の行いだけ見れば、空島の人間に
 引き渡されて殺されてもおかしくはなかったからな。今、私がこの海で旅が出来ているのもヤツのおかげだ。


 本人がどう思ってるかは知らないが、私だって恩くらいは感じる。


「…テメエを信用していいのか?」


 この剣士はなかなか鋭い目をしているな。

「危害を加える気があるならとっくにそうしている。それより、早く行かないとまた海兵が襲ってくるぞ」

 私の一撃を見ても怯まぬか。再び海兵達が取り囲もうとしている。

「なら後ろは任せるぞ」

「任された」

 するとラーズの仲間達は前に進み始めた。さて、私もやるとするか。海兵達に向けて言葉を放つ。


「ヤハハハハ、貴様達は運が悪い。ここからは一方的な殲滅だ」


 ここを片付けたらまた様子を見に行くとするか。







  〜〜ナミside〜〜


 私達がエネルと話してる間にも、ルフィはけっこう進んでるみたいね。倒れた海兵達がそこら辺に転がってるし。
 後ろもエネルが誰一人として通してないからかなり楽になったわ。

「にしてもラーズの野郎、エネルにどんな事しやがったんだ?」

「おれもびっくりだよ。倒したってのは聞いてたが、それだけだったしな」

 サンジ君もウソップも当然の疑問よね。私だって未だによく分かってないんだし。そう考えながらも敵を倒しつつ
 前進する。先頭ではゾロがまた大きい門を斬って穴を開けてるわ。アイツも便利なものね。

「この先に裁判所がある。さっき見えたが麦わらは裁判所の屋上に向かったみたいだ」

 パウリーも船大工なのにけっこう頑張ってるわ。
 ひとまずは私達もルフィを追うべきね。でも何で屋上なんて行ったのかしら?

「あのデカイ建物か。まずはそこまで一気に行くぞ」

 ゾロはもう後ろは見てないみたい。けどエネルを完全に信用していいのかしら?後ろを振り返りながら走る。
 すると、ロビンが近くに来た。

「あの雷さんがラーズの事信用してるみたいだし、少なくとも今は大丈夫だと思うわ」

「…そうね。深く考えてても仕方ないし」

 今は前だけを見て進みましょう。いつ仮面の奴等が出てくるか分からないんだし、気をつけなくちゃ。







  〜〜ルッチside〜〜


 この塔に戻ってくるのも五年ぶりか。しかし、折角任務を終えたばかりだというのに今度は襲撃犯の殲滅か。
 この島の海兵達は一万もいるのに、たかが数人の海賊すら捕まえる事が出来んとは情けない。

「麦わら達が裁判所まで侵入しただと!?」

 スパンダム長官は電伝虫に向かって叫んでいるが、あんな雑魚共に何の期待をしているんだ?

「エニエス・ロビー始まって以来の事件じゃな」

「チャパパー!そのくせみんな落ち着いているなー!」

「よよい!おいら達が出れば直ぐに片がつくだろうよ〜」

 カクにフクロウ、クマドリも落ち着いているな。我々CP9が揃えばその辺の海賊など敵ではない。

 フランキーは気絶させた上で体中を鎖でしばっているから、連行する分に問題はないな。


「長官殿、これからどうしますか?もう一つの目標であるニコ・ロビンも来ているみたいですが」

 ニコ・ロビンは何を考えてるんだ?向こうからわざわざやって来るとは正気の沙汰ではないぞ。まァ任務のついでに
 捕らえるとするか。随分と楽な仕事になったな。

「…麦わら達を殲滅してから確実に捕まえる。ニコ・ロビン以外は殺しても構わん!この司法の塔まで来たら各自
 叩きのめせ。世界政府に喧嘩を売った事を後悔させてやる!」

「ここに乗り込んでくるくらいなら死んでも仕方ないっしょ、シャウ!」

 長官の隣にいるコイツは確かCPの新入りのネロとか言ってたな。見たところ全く強そうではないが…
 戦力としては考えない方がよさそうだ。頭も悪そうな顔をしているし、コイツはダメだろう。

「そういやブルーノはどこ行ったんだ?」

「待ち切れないで先に遊びに行ったみたいじゃな」

 ジャブラの疑問にカクが答える。気が早いヤツだな。だが…


「他の奴等はともかく、あの麦わらは甘く見るな。まともにやり合うなら多少の犠牲は必要かもな」


 少し手合わせしただけだが、あの麦わらの実力ならジャブラやカクでも厳しいかもしれん。

「ルッチにそこまで言わせるなんて、あの麦わらはなかなかの実力なのね」

「油断するなよカリファ。我々に敗北は許されない」

「分かってるわよ。さっき長官から頂いた悪魔の実の能力も試したいしね」

「わしもじゃ」

 カリファもカクも能力者になったんだったな。どんな能力なのか楽しみだ。何の能力であれ、今より弱くなる事もない。


「何だと!?もう一度言ってみろ!」


 見ると、また長官が電伝虫に向かって叫んでいた。今度はどうしたんだ?今更驚く事もないだろう。



「ブ、ブルーノが麦わらに負けただと!?」



 …まァブルーノ程度では仕方ないだろ。やはりあの麦わらはマークしておくべきだな。となると他の仲間も一度
 麦わらの元に集まる可能性が高い。おれ達も出迎えてやるか。他の奴等も冷静みたいだな。

「どれ、顔でも見に行くか」

 カクの言葉を切欠におれ達も立ち上がる。








「来い麦わら。貴様の信念ごと打ち砕いてやる」

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