小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜クザンside〜〜

 遂に、というかやはりラーズは賞金首になっちまったな。思えばあの時の組手の時から、
 もしかしたらもっと前からこうなる事も予想してたのかもね。

 「センゴクさんとガープさんの顔は面白かったねえ。」

 ラーズの話が届いた時は、置手紙を読んだ後だったからねえ。

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 −−海軍の皆様へ−−

 この様な形で別れを告げる事をまずお詫びをします。
 俺は決して海軍が嫌いになった訳ではありません。
 死に掛けていた俺を救って頂いただけでなく、育ててくれた事には感謝してもしきれません。
 ですが、俺は俺の「大切なモノ」を守るためにどうしても軍を抜けざるを得ません。

 おそらく、俺の考えてる通りならアーロンだけでなく東の海の海軍とも
 戦う事になると思います。海軍同士の潰し合いの噂が広まれば、世界の治安を担う
 軍の信頼を揺るがすかもしれません。それもあり、軍を脱退いたします。


 今まで手を貸して頂いたボルサリーノ大将、良く話を聞いてくれたクザン大将。
 そしてセンゴク元帥・ガープ中将。
 早くに両親を無くした俺にとっては、沢山の父親が出来たみたいでとても楽しかったです。
 何かと世話をして頂き、この八年間は決して忘れる事は出来ません。


 今回のこと、理解して頂きたいとは思いません。言ってしまえばこれは単なる俺のワガママです。
 俺は自分の「正義」を貫くため東の海に戻ります。

 今まで本当にありがとうございました。

 ダメな部下ですみません。

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 二人は手紙を読んで苦い顔してたなー。ラーズがそこまで思ってたなんて俺も知らなかったしね。
 懸賞金の話の時は頭抱えてたな。






「懸賞金を上げてさっさと始末するべきじゃあ!」

「気持ち分かるが落ち着くんだ。」

「それに報告によると東の海の大佐はアーロンと繋がっていた可能性もある。
 ラーズはそれを知ってて今回の行動を起こしたとも考えられる。」

「二人とも情が移ってはおりませんかのお?その報告も確定的でないならば
 将来の危険因子は早く潰すべきじゃ!」

「うむむ。しかしだな…。」

「…ならわしは好きにさせて貰います。奴は危険じゃと、わしの勘が告げとるんでのお。」

「「……。」」

「あらら、行っちゃいましたねー。いいんですか?」

「仕方あるまい。奴の言う事も間違ってはおらん。」

「ラーズ君はウチでも目立ってたからねぇ〜。」

「…東の海の史上最高額辺りにしておけばどうじゃ?偉大なる航路に来てもおらんのに億越えの
 賞金首がおったら民衆が動揺するじゃろ。」

「そうだな。ラーズもその辺の奴に簡単にやられる程弱くはないからな。
 それに奴は超がつく努力家だ。今もより強くなろうとしているだろう。」

「流石父親ズ。ぎりぎりで庇う気マンマンですねー。」

「茶化すなクザン。これぐらいが精一杯じゃ。」

「あの時アーロンを捕まえるじゃなくて殺しとくべきでしたねぇ〜。ちと失敗でしたわ。」

「今更言っても仕方あるまいボルサリーノ。あれはあれで事情があった。」

「何にせよ今後ぶつかる事があれば我々も見過ごす事は出来ん。こちらにも
 譲れないものはあるからな。」






 俺も出来ればラーズとはやり合いたくないからねー。私情抜きにしても。
 
 …最後の組手で見せたあの「技」。あれが完成したら俺達でも危ういかもねぇ。

 アイツは「自分」の為でなく「誰か」の為に戦っている。
 そういう奴の信念を砕くのは難しい。

「さて、これから世界はどうなるかな?」

 今日もペダルを漕ぎながら、白髪の少年を思い浮かべる。








  〜〜ウソップside〜〜

 ようやくローグタウンに着き、各自自由行動に出た。おれも武器の調達に向かおうとしたら
 ラーズに呼び止められる。

「どうしたラーズ?」

「ウソップ、少し真面目な話がある。…どうも嫌な予感がするんだ。もしも、この島で
 何かあったらルフィ達と直ぐに出航してくれ。」

「何だそりゃ?」

「すまん。俺にも良く分からないんだ。言ってしまえば、勘だ。」

「本当に分かんねえな。」

「もし何かあったら今のを思い出してくれ。何も無いならそれに越した事はない。」

「まぁお前が言うんだし一応覚えておくよ。」

「あぁ助かる。他の奴らに言っても気にしないだろうからな。
 警戒心の強いお前には伝えときたかったんだ。」

 確かにビビリのおれは適役だな。ナミはともかくあの三馬鹿は気にも掛けないだろう。

「それとウソップに提案なんだが、今のパチンコに手首を固定させる補助器具を
 付けたらどうだ?射撃の精密さがより上がると思うんだが。」

 …成る程。それは良い考えだ。しかしラーズは頭が回るな。一味じゃ弱いおれの事も
 ちゃんと見てるし訓練も付き合ってくれるし顔もいいし強いし。
 弱点なしかよ!ここまでだと尊敬すらするな。

「ラーズ、それ採用。早速材料調達してくる。」

「あぁ、俺もちょっと出掛けてくるよ。」

 そしてラーズもどこかに歩いて行った。…ナミでも探しに行ったのか?サンジには悪いが
 おれはラーズ応援派だ。あの二人の間に入れる訳ないだろ。

「早くあの消える技覚えたいぜ!」

 
 キャプテン・ウソップは一味の名に恥じない海賊になってやる!



  〜〜ラーズside〜〜

 この街では特にする事はないな。ルフィが捕まるだろうから早めに先回りして
 雷が落ちる前に助けるとするか。

「…しかし何だこの感覚は?」

 さっきウソップには言ったがどうにも変な感じがする。既にイレギュラーな俺の存在が
 あるから、何かが起こってもおかしくは無いんだが…。

「これだと「予定」が狂うかもな。」

 まぁ狂ったらそれはそれで仕方ない。最終的にナミが無事なら問題ないか。





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