小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>



  〜〜ラーズside〜〜

 サカズキさんが拳をマグマに変えて伸ばしてくる。速い!。すぐに「剃」でかわす。
 続けてもう片方の拳も飛んで来たが避ける。ぎりぎりで避けてもあの熱の余波は厄介だな。

「相変わらずちょこまか動くのお。」

「簡単に食らう訳には行きません…から!」

 尾の「嵐脚」を三発放つ。それと同時にサカズキさんの横に飛ぶ。

「はぁ!」

「ぬぅ!」

 全力の覇気で包んで蹴りを放つがガードされる。しかも…

「予想通りか。」

 一度後ろに下がる。蹴った足を見ると、少し火傷していた。覇気でもあの熱は
 完全に防ぎきれないか。

「考えとる余裕があるんか?」

 サカズキさんはマグマの塊をこちらに飛ばしてくる。数も半端じゃない。

「くっ!」

 何とか避ける。直接攻撃もほとんど通じない。あちらも覇気で硬化し更にマグマの体では
 こちらも少なからずダメージを負う。

「大噴火!」

 今度は火山弾が降り注ぐ。反撃の隙がなかなか出来ない!

「ちぃ!」

 避けようとした瞬間、サカズキさんが一気に近付いてきた。

「ぬうん!」

「ぐぁっ!」

 何とかガードしたが大きく後ろに飛ばされる。ガードした両手に火傷のオマケつきだ。
 このままでは不味いな。

「もう打つ手無しか?」

「冗談じゃない。まだ負けられません。」

「ほぅ。」

 サカズキさんはまだ俺を格下と見てるせいで完全に本気ではないな。
 今がチャンス!攻撃の止んだここだ!

「はあぁぁぁぁぁ!!!」

「なっ!?」

 サカズキさんは驚いている。この技を見せたのはクザンさんだけだからな。

「白火(びゃっか)・纏(まとい)。」

 それぞれの尾から白い炎を出し体中を包む。

「これが奥の手です。」

 この炎が俺のもう一つの能力。炎の温度はまだそこまで高くはないが、これの力の真髄は
「覇気を貫き相手の実体にダメージを与える」だ。クザンさん相手に試したから間違いない。
 但し弱点もある。炎を出している間は「自分の覇気も打ち消される」のだ。
 完全に万能な能力ではない。いわば防御を捨て攻撃だけに全力を注ぐスタイルだ。
 まさに対自然系に特化した能力である。

「ただの炎程度でわしのマグマに敵うと思っとるのか?」

「勿論思ってませんよ。ただの炎ならね!」

 再び接近戦を挑む。今まともに攻撃を食らったら一撃で戦闘不能になりかねない。
 集中してサカズキさんの動きを読め!

 サカズキさんの拳をかわしながら一気に懐に入り、腹に一撃を入れる。

「なにっ!?」

 サカズキさんが衝撃で後ろに下がる。

「覇気を貫いたじゃと!?そんな馬鹿な!」

 攻撃したこっちの手も火傷している。触れたのは一瞬だが、覇気でガード出来ないので
 こちらもダメージは大きい。なんて厄介なんだマグマは!

「この炎は特別なんですよ。相手の覇気を貫く。例え自然系の能力者でも
 確実に実体にダメージを与えられます。」

「…ますます厄介じゃのお。」

 こっちも覇気を使えないのは黙っておこう。弱点を晒す必要はない。

「白火・崩(くずし)。」

 それぞれの尾から炎を飛ばす。サイズは拳くらいだが素早く出せるのが便利だ。

「なめるな!流星火山。」

 二人の中央で炎の塊と火山弾がぶつかる。

「貴様はどれだけ面倒なんじゃ。わし相手にここまでやるとは。」

「出来ればこの辺りで引いて欲しいんですけどね。」

「それは出来ん相談じゃ!」

 マグマの拳がまた飛んでくる。あっちは一撃でも与えたらほぼ終了だからな。
 こっちは死に物狂いで攻撃を避け、「崩」を動きながら放つ。

「ぐぬっ!」

 「崩」を避けた後体勢が崩れた。今だ!一瞬で近付く。

「食らえ!」

 顔面に向け拳を放つ。

「甘いわ!」

 すれすれで避けられた。そして次の瞬間にはサカズキさんの拳が顔に迫っていた。

「しまっ!」

 間一髪で左腕を間に入れたがまともにマグマの拳を受けた。

「があぁぁぁぁ!」

 すぐさまもう一発飛んで来たが何とか避け後ろに退く。左手の感覚が怪しい。
 見ると肘周りがほとんど重度の火傷を負っていた。焼き尽くされるよりはましか。

「惜しかったのお。しばらく左腕は使い物にならんじゃろうて。」

「片腕使えない位で諦めるとでも?」

「…貴様はここで殺すべきじゃな。」

 サカズキさんはマグマを体の前面に集中させている。デカい攻撃をしてくるな。
 これが最後のチャンスだ。失敗したら殺されるだろう。

「うおぉぉぉぉ!!」

 こちらも巻き付けていた尾を前面に展開し炎を一点に集中させる。

「食らえ!犬噛大紅蓮!」

 巨大なマグマの犬が飛んで来た。

「白火・焔弾(ほむらだま)!」

 大きな白い炎の玉を飛ばす。これが俺の今の最大の技だ。


 そしてマグマと炎の玉ぶつかった瞬間、今までで最大級の爆発が辺り一帯を吹き飛ばした。




  


  〜〜ナミside〜〜

 襲って来た海軍と戦ってる間にルフィが戻ってきた。ラーズは!?
 ルフィの援護もあり、皆で何とか海軍を退けた。

「おいルフィ!ラーズはどうしたんだ!?」

 船に戻ってウソップが聞く。

「…ラーズは今一人で敵を抑えてる。今は急いで出航の準備をしてくれ。」

 ルフィが今までにないくらい真面目な顔をしてる。

「相手はあの煙野郎か?」

 サンジ君が尋ねる。

「いや…。ケムリンはラーズが倒した。今の相手は海軍の大将。赤犬って奴らしい。」

 海軍の大将!?トップがこんな所に!?

「おいルフィ、テメエはラーズを置いて来たのか!?」

 ゾロも焦ってる。

「おれも戦おうとした!だけどラーズが言ったんだ。「船を、ナミを守ってくれ。俺が
 ここで止めないと一味が全滅する」って。あの大将は多分ラーズしか戦えない。
 今のおれ達全員で掛かっても全員殺される。アイツもそれを分かって足止めしてるんだ。」

「でも!それじゃあラーズが!!」

 我慢出来なくて叫んだ。

「ラーズはおれに約束した。必ずこの船に戻ってくる事を。だからおれはラーズを信じる!」

 …誰も何も言えなかった。みんなラーズに重荷を背負わせている事を痛感している。

「それとラーズが言ってた。「しばらくしてデカい爆発が起こったらすぐに港を離れて
 待っててくれ。俺も必ず追いつくから」って。だから今すぐ準備だ!」

 皆急いで準備をしている。でも私は動けなかった。ただ、ラーズが戦っているであろう
 場所を見つめる事しか出来ない。

「ナミ。ラーズを信じろ!アイツは絶対戻ってくる!」

「ルフィ…」

「準備オッケーだ!いつでも行けるぞ!」

 ウソップがそう言った瞬間、もの凄い爆発音が聞こえた。

「船を出せ!」

 ラーズがいないまま港を出る。本当に帰ってくるのかな?まさか今の爆発で…。

「おいアレを見ろ!」

 ウソップが空を指差す。見るとさっきまでいた辺りの上空に白い塊が見えた。

「ありゃラーズだ!ルフィ!!」

「任せろ!」

 ルフィが腕を全力で伸ばしてラーズを掴む。そのまま腕を戻してラーズを船に引っ張る。

「…ラーズ!!!」

 戻ってきたラーズは全身傷だらけだった。特に左腕は大きく火傷している。

「なんて傷…。ラーズ!!しっかりして!」

「…ナ、ミか?」

 良かった、何とか意識はある。

「なんとか…成功か。ルフィ、全力で、町から…離れてくれ。まだ、相手は…生きてる。」

 そんな!?ラーズがこんなになったのに生きてるっての!?

「分かった!ゾロ!サンジ!ウソップ!オールを漕ぐぞ!ナミはラーズを見ててくれ!」

 皆はオールを漕ぎに行った。

「直ぐに薬塗るからじっとしてて!」

「ありが、とな。」

「いいから!」

 こんなになるまで戦って…。ラーズはいつもそうだ。ベルメールさんの時も今回も、
 誰かの為に体を張って戦っている。

「みんなが、ナミが、無事で…良かった。」

「!!」

 ラーズは笑っていた。何でそんな状態で笑ってるの!?

「ナミは、俺の…一番、大切な人だから、な。」

「あっ…。」




 ようやく思い出した。ラーズが昔言ってた事。ラーズの「夢」。




「ラーズ。アンタの夢って…。」

「ごめ、ん。ちょっと、意識が…。」

「ラーズ?ラーズ!?」





 ラーズは気を失っていた。







-19-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




Portrait.Of.Pirates ワンピースシリーズ NEO-MAXIMUM ユースタス・キャプテン・キッド
新品 \5300
中古 \7400
(参考価格:\12600)