小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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 〜〜ラーズside〜〜

「ってな訳で”偉大なる航路”への道はこれが無難なんだ。」

「確かに海流もその方向に流れてるわね。」

「でも船が山登るのか?」

 ウソップの疑問は当然だろうな。

「不思議海流と不思議山だな!」

「…今回はルフィが一番理解してるな。」

 俺たちはリヴァースマウンテンに向かっている。説明しとかないと下手したら入口で船が沈んでしまう。

「ならラーズはどうやって戻ってきたの?」

「俺は凪の帯を突っ切ってそのまま帰ってきたぞ。」

「さっきの化け物みたいなのが居るとこを!?」

「あぁ、船を襲って来たのは片っ端から薙ぎ倒して来たからな。」

「…少しでも心配した私が間違ってたわ。」

 そう、俺達はついさっき凪の帯に突入して海王類に襲われた。俺もこのサイズの船を守るのは難しかった。

「ほら、ぼちぼち壁みたいなのが見えてきたろ?」

「…あれに入口なんてあるの?どこにも見えないんだけど。」

「もう少しで見えてくるさ。…あっ見つけ。」

 実際入口を見るとマジ狭いな。

「これが”赤い土の大陸”…。どんだけデカいのよ。」

 ナミが呆れている。確かにこのサイズは異常だな。

「こっからは進路を細かく修正しないと壁にぶち当たって皆で海にダイブだ。」

「何でそんな楽天的なのよ!?」

「安心しろ!こんな事もあろうかと…ルフィ!ウソップ!サンジ!」

「「「おう!!」」」

 三人を配置に付けておいた。ルフィには船首で舵が危なくなった時のクッション役。ウソップとサンジは
 舵取り役だ。

「ゾロ!」

「こっちは任せろ。まぁおれの仕事が無い方が良いんだがな。」

「ごもっとも。」

 ゾロには不足の事態に備えてメインマストの側に陣取ってもらう。

「…いつの間に?」

「ふっふっふ。」

「ラーズ何か人格変わった?」

「いや、これが基本だ。今までは遊ぶより鍛錬の方が優先だったからな。」

「…もしかして今遊んでる?けっこう危険だと思うんだけど。」

「そそそそんな事はないぞ!」

「何でどもってんのよ。…まぁいいわ。で、私は何すればいいの?」

「俺とナミは特にない。まぁ俺は更にヤバイ事態に尾で対応するくらいだな。」

「何もしなくていいの?」

「いや、俺の隣で船の登りっぷりを体験して貰う。…そんな事言ってる間に近付いてきたな。」

 船の速度が上がっていく。これは凄いな。

「ナミ、俺に掴まってろ。この勢いだと投げ出されるかもしれん。」

「はぁ。分かったわ。」

 ナミが腕を掴む。よし、準備完了!

「ウソップ、サンジ!少し面舵だ!」

「さっきからやってるが進路が変わんねえ!」

 ちっ、こんなとこで原作の修正力が働くとは。

「ルフィ!」

「任せろ!」

 ルフィが体を風船にして船と壁の間でクッションになる。

「掴まれ!」

 尾を全力で伸ばしルフィを助ける。これでひとまずは安心だな。

「「「「「「入ったぞーーー!!!」」」」」」

 全員で叫ぶ。



  〜〜ナミside〜〜

 何とか私達は入口を通過した。にしても凄い勢いで登ってるわね。ルフィ・ウソップ・ラーズの三人は
 肩組んで踊ってるし。

 …なんか最近ラーズが馬鹿っぽくなって来てる様な気がするわ。大丈夫かしら?

「ん?ナミも踊るか?」

「しないわよ!」

「じゃあナミさんおれとお茶でもいかが!?」

「ありがとうサンジ君。でもまだ何があるか分からないから遠慮しとくわ。」

 まだ山登りの途中だしね。

「「「や〜いフラれてやんの〜。」」」

「テメエらまとめてオロすぞコラァ!!」

 仲が良いのか悪いのか。にしてもあの三人息ぴったりね。思わず笑ってしまう。

「もうすぐ頂上に着くわよ!」

 一度船が空中に飛んだ。なによこのデタラメな感じ!?

「「「ひゃっほーーーう!!!」」」

 そのまま今度は船は下に向かって進んで行く。

「「「海〜をこ〜えいこ〜うよ〜。口〜笛吹きつ〜つぅ!!」」」

「おいナミ。あいつ等止めろよ。ラーズを止めれば落ち着くハズだ。」

 ゾロも流石に呆れたみたいね。

「はぁ〜。分かったわ。…ラーズー!」

「呼んだか!?」

 ラーズは一瞬で隣に移動してきた。…今のも見えなかったんだけど。無駄にハイスペックね。

「もうすぐ下に着きそうよ。準備しといてね。」

「ふむ、了解。ルフィ!ウソップ!例の配置だ!」

「イエッサーキャプテン!!」

 ルフィはメリー号の先端に、ウソップはルフィの後ろでパチンコを準備している。ラーズはウソップの
 更に後ろに行って尻尾を広げている。何この陣形?

「…アンタいつ船長になったの?」

「技を教えた見返りに遊んでる時だけキャプテンを名乗る事を許して貰ったんだ!」

「……その嬉しそうな顔を見たらもう何も言えないわ。危なくなったらちゃんと働いてね。」

「それは任せろ!」

 男ってこんなのが楽しいのかしら?

「……ォォォ」

 あら?今の何かしら?

「…ォォォオ。」

 何か音が聞こえるわね。

「ナミ!しっかり掴まってろ!」

 ラーズがさっきとは違って真剣な顔つきになっていた。

「これは…声だ!」

「ラーズー!前に何か見えるぞ!」

「了解!」

 そう言うとラーズは尻尾を全て船首の更に前に出した。どうしたっての!?前を見ると何やら
 黒い壁の様なものが見える…壁ってヤバいじゃない!?

「サンジ!舵を左だ!」

「おうよ!」

 船は黒い壁と赤い壁の隙間に向かっていく。けどこのままじゃ船の右舷が当たっちゃう!

「おりゃぁぁぁ!!」

 ラーズが尻尾を黒い壁に当てて無理矢理進路を変える。船はその勢いのまま間を抜けて行った。
 あの尻尾って本当に便利ね。

「よっしゃーーー!」

 ルフィが喜んでいる。しかしラーズは真剣なままだ。まだ何かあるのかしら?

「急いでオールを漕ぐぞ!このままじゃ呑まれる!」

 ?何の事?

「さっきの黒い壁はデカい鯨だ!」

 …冗談でしょ?あんなサイズの生き物なんている訳が…と思っていたら。

「ブオォォォォォォ!!!!」

 黒い壁が叫んで動き出した。鯨って本当なの!?

「どうすんのよアレ!?」

「う〜ん逃げ切れそうにないなぁ。」

「なんでそんなのほほんとしてんの!?」

「もう呑まれそうだし。」

 後ろを見たらすでに鯨は大きく口を開けていた。

「いやあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 私はそこで気絶した。






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