小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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〜〜ゾロside〜〜

 ようやく外に出て船を停めていた。
 しかし鯨の中にいたあの二人組…。聞き覚えのある名前で呼んでいたが、こんなとこで会うとはな。

「ゾロ〜。」

 ラーズがやって来たが、明らかに落ち込んでやがる。ナミに何か言われたのか?あのマユゲのとこに行ってるみたいだし
 面倒くせえな。

「そんな今にも死にそうな顔で話し掛けんな。こっちまで気分悪くなるだろうが。」

「…今は許してくれ。」

 ちっ、しょーがねえ。

「なんだよ?」

「さっきの奴等。いや”さっきの奴等の組織”に気付いたか?」

 こいつ一応大事なとこはしっかりしてるみたいだな。

「あぁ。テメエも良く知ってたな。」

「まぁね。んで恐らく最初に着く予定の島がそいつらのアジトだと思う。警戒だけしといてくれ。」

「他の奴等には伝えなくていいのか?」

「あいつらは多分言っても分からない。それに俺とお前が警戒してれば十分だろ。」

 確かに。

「ってな訳でよろしくな。俺はクロッカスさんに用事がある。」

 そう言ってフラフラしながら歩いていった。…アイツがあぁなるとは、ウチの船で一番強いのはナミなんじゃねえのか?




  〜〜ラーズside〜〜

「クロッカスさん、少しいいですか?」

「おぉ、どうした?」

「ここにペニシリン系の薬はありますか?できれば経口投与出来るもので。」

「…お主は医学の知識もあるのか?」

「そんな立派なものじゃありません。齧った程度です。なければアセトアミノフィンなどでも構いません。」

「乗組員に高熱の人間でもおるのか?」

「いえ、今はまだいませんがウチには船医がいません。簡単な怪我ならともかく、病気に掛かった場合を考えておこうと。」

「そうか。…しかし、あの能天気な麦わら坊主よりお主が船長した方がいいんじゃないのか?」

「ウチの船長はルフィ、ただ一人ですよ。」

「分かった。揃えれる物は準備しておこう。ワシからの手土産だ。」

「感謝します。」

 ひとまず、これでリトルガーデン対策が出来る。本当は上陸すらしたくないんだが。着いたらナミには必ず厚着して貰って
 肌を出さない様にしてもらおう。それでも防ぎ切れるかは分からない。
 ちなみにペニシリンは抗生剤の一種で、アセトアミノフィンは解熱剤の仲間みたいな物だ。

 …それよりナミが言う事を聞いてくれるかどうかが心配だ。完全にシカトされている。
 リトルガーデンまでに機嫌直してくれればいいけど…。



 そうして薬剤を船に積んで一息ついていると、ルフィがマストをへし折ってラブーンに突き刺していた。
 …ナミの事があったせいですっかり忘れていた。もう止める気にもならない。その内終わるだろ。

「ウソ「補修材ならきっちり買っておいたぜ!」…そうか。」

「まさか敵からの被害じゃなくてルフィが壊すとは考えてなかったぞ。」

「それはともかく何故ここに居る?」

「ラーズに呼ばれる気がしたからな!急いでこっちに来たんだよ。」

「…もう「剃」を使える様になったのか?」

 さっきまでウソップは離れていたハズだ。

「いや、流石にお前みたいに消えるのは無理だけどな。速さもまだ遅いみたいだし。」

「そ、そうか。」

 ウソップよ。お前はそんなに出来る奴だったのか?もしかして原作じゃかなり怠けてた?これは実に教えがいがある。
 どうにかしてサンジレベルまで強くしてみたい。

「とにかくマストは引っこ抜いて来るから修理は頼む。」

「イエッサー!」


 「月歩」でラブーンの上に行きマストを抜く。

「悪いなラブーン、俺達は必ずここに戻ってくるから。お前の仲間にも会えたら必ずお前の事を伝えておく。」

「ブオォォォォォォォォォ!!!」

 ラブーンも嬉しそうに返事をした。こういうのも悪くないな。

「さて、次はウイスキーピークか。」

 はぁ…全然テンションが上がらない。





  〜〜ビビside〜〜

 白狐のラーズ。あの人は何者なんだろう。私の素性だけでなく、私の目的やイガラムの事まで知ってる様な話し方だった。
 更にはあの”クロコダイル”の事まで…。

「全然動けなかったわ。」

 あの尾に捕まった時、全く体を動かせなかった。伸びたりするみたいだしどうなってるのかしら?
 でも、あれならもしかしたら…。

「海軍大将と戦ったのは本当みたいね。」

 一体どれ程強いのかしら?とにかく今は言われた通り大人しくしておこう。それにしても…




「ちょっとかっこ良かった、かな。」






  〜〜サンジside〜〜

「ナ〜ミさ〜〜ん!デザートの準備が出来たよ〜〜う!!」

「あらっ、ありがとね。」

 おれは今猛烈に幸せだーー!!ナミさんが遂にあの白髪狐を見限っておれの所に来てくれた!ようやくおれの魅力に
 気付いたんだね!

「あぁ太陽よ、二人の未来を照らしたまえ。おぉ海よ、二人の門出を祝いたまえ!」

 もう死んでもいい!!
 あの狐はずっと落ち込んでやがる。ざまぁみやがれ!テメエにナミさんは相応しくない!!

「食後の紅茶もオッケーだよ!!」

「サンジ君は気が利くわね。」

 !!今日という日を世界に、歴史に刻もう!時代がおれを呼んでいる!


 



「……ラーズの馬鹿。」


 おれは浮かれすぎてナミさんの呟きに気付かなかった。


-25-
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