小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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〜〜ラーズside〜〜

 …なんてプレッシャーだ。迂闊に動けない。冷や汗が背中を伝うのが分かる。一言でも発したら俺がやられる。
 何故だ?どうしてこんな事になった?



 今、船の甲板ではナミがロビンを睨みつけ、ロビンはそれを涼しい顔で受け流していた。

 …話は少し前遡る。



 ロビンと話した後、歓迎の意味を兼ねて一緒に酒を飲んでいた。少しすると町が騒がしくなった。

「戦いが始まったみたいだけど行かなくていいの?」

「んーココに来ているだろうオフィサーエージェント相手なら大丈夫だろ。ロビンはもうこっち側だし。」

「あら、それは褒め言葉と受け取っていいのかしら?」

「戦力を冷静に分析してるだけさ。ウチの船員もいきなり体から腕生やされて関節極められたらお終いだからね。」

「そうね。アナタみたいに動ける人はそういないでしょうし。」

 実際今の戦闘能力ではロビンが二番目に強いだろう。今はルフィ達も発展途上だし。

「おっ、ぼちぼち終わったみたいだな。」


 町が静かになった。しばらくすると皆がぞろぞろと戻ってきた。うん、予定通りビビも連れてきたな。

「テメエ一人でサボってやがったな。」

 ゾロがこちらを睨む。

「違う!俺は黄昏て夜風を感じてただけだ!」

「…それがよーするにサボりなんじゃねえか?」

 ウソップが突っ込む。

「ラーズー!誰だそいつー!」

「…アナタは!?ミス・オールサンデー!?何故ここに?」

 とりあえず説明が必要だな。

「え〜っと「初めまして美人さん!おれはサンジという名のしがないコックです。」…。」

 コイツは一回鉄拳制裁した方がいいかな?

「コイツはニコ・ロビン。さっきまでは敵だったが今は仲間だ。」

「説明短か過ぎだろ!子供でも納得しねーぞ!」

 …だよなぁ。

「元々バロックワークスにいたのは別の目的があったからだ。んで話し合いの結果利害が一致して一緒に行く事になった。」

「ですけど…。」

 まぁビビは納得しづらいよな。

「ビビ、ロビンは元々お前とイガラムさんの抹殺の命も受けてここに来たんだよ。でもロビンはそんなつもりは
 無かったらしい。それにロビンは敵の情報も沢山持っている。」

「でも私たちの情報を流すって可能性は…。」

「俺はないと信じてる。だがもしそうなったら……俺が粛清する。だから、少しずつでいいから信用してみてくれないか?」

「…ラーズさんが言うなら、あまり否定はしません。」

 ひとまずビビはオッケーだな。

「ラーズが信用してるならおれはいいぞ!」

「悪いなルフィ、急だったもんでな。」

「おれもラーズを信じるぞ。」

 流石一番弟子改めウソップ。

「ゾロも今すぐ警戒は解かなくていいぞ。ロビンのこれからの行動で判断してくれ。」

「そのつもりだ。」

 ひとまずは落ち着いたかな。

「随分信頼されてるのね。」

「みんないい奴なだけだ。」

 ロビンがこっちを見て笑っていた。これからの旅はロビンが今まで体験した事のないものになるだろう。それを
 楽しみにしているのかな。

 ロビンの加入がスムーズに終わろうとしたが、最後に分厚い壁が立ちはだかった。


「アンタは私達が戦ってる間に女の子と楽しく飲んでたの!?」

 もの凄い殺気が襲って来た。サカズキさんと戦った時より凄い。

「いや、別にそういう訳じゃ…。」

 ナミさんが更に怒ってらっしゃる。久し振りの会話でいきなり激怒された。

「じゃあどういう訳か説明してもらえる!?」

 困った。実に困った。ロビンの過去なんかを説明すれば納得するかもしれないが、あんまりそれはしたくないし、
 今はまだされたくないだろう。どうしよう?一人悩んでいると

「あら、彼の事信用出来ないの?」

「なんですって!?」

 ロビンさんが爆弾を放り込んで来た。

「私の事を信用しなくても構わないけど、彼の事は信用してあげたら?」

「アナタは信用してるって言うの?」

「そうね。信頼に足る人物だと思っているわ。」

 ロビンは笑顔で答える。クールなロビンとホットなナミ。まさに正反対。



「えっと、ど、どうすればいいのかしら?」

「今突入したら巻き添えになるぞ。」

「面倒くせえ…。」

「そんな怒ったナミさんも素敵だ!」

 言いたい放題である。

「アナタがアイツの何を知ってるっていうの?」

「少なくとも私を誰よりも理解してくれてるって事は知ってるわ。」

「私の方がアイツの事知ってるわ!」

「そう、私もこれから彼を知っていくわ。」

「むむむむむ。」

 一言も口を挟む隙間がない。



「ラーズはモテモテだな!」

「テメエでどうにかしろよ。」

「何でこの白髪を巡ってバトルになるんだよ!」

「ラーズさん…。大変なんですね…。」

 第二回言いたい放題である。もう勘弁してくれよ。



「男は時として愛に身を焼かれる事も必要だ。」

「…誰だお前は?」

「ふっ、ただの名も無い狙撃手さ。」

「俺がこんな状態だからって遊んでんじゃねえ!」

 ウソップにまで馬鹿にされている。つーかロビンの奴もナミの反応を見て遊んでいるのか?

「ふんっ。ならアナタの好きにしたら?」

「ええ、そうさせて貰うわ。」

 そうして何とか修羅場は幕を閉じた。が、

「…。ふん!」

 ナミに激しくそっぽを向かれた。膝からがくりと崩れ落ちる。


「大変ね、ラーズ。」

「…確信犯で遊んでたろ。」

「あの子の反応が面白くてつい、ね。余程好かれてるのね。」

「お前の冗談のおかげで俺の寿命は五年は縮んだ気がするよ。」

「あら、全部冗談とは言ってないけど?」

「あん?それってどういう…。」

「さて、どうかしら?とにかくこれから宜しくね。頼りにしてるわ、ラーズ。」

 言いながらロビンも去っていった。おいおい、何がどうなってんだ?ナミと仲直りするどころかますます悪化してしまった。
 ロビンを仲間に入れたのは対クロコダイル戦を楽にしようと思っただけなのに!
 …なんか偉大なる航路に入ってから流れが悪い。予定ならナミと甘い航海生活のハズだったのに…。




「ナミとロビン。二人の間に揺れるラーズ。そして現れる三人目。運命は誰に微笑むのか?
 ラーズの選択は後の世界を震撼させる事となるのを、この時の彼は知る由も無い…。
 次回「始まりは後悔から」。スーパー狙撃手に、おれはなる!」

「変な予告入れんなやウソップーーー!!」

 俺はただナミが好きなだけなのに。好きなだけなのにーー!!!


 こうして嵐を巻き起こしてウイスキーピークを去って行った。余談だが、イガラムさんは別航路でアラバスタに向かうらしい。
 万が一を考えて、との事だ。俺の耳にはほとんど入ってなかったが。




 

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