小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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--束の間の平穏--


〜〜ラーズside〜〜

「おっ、久し振りの大物発見!」

 海の中で獲物を探していると二メートル程の魚を見つけた。

「あれは…ダイナミック・カツオ!」

 この世界の生物にも慣れてきた。しかし「ダイナミック・カツオ」って何だよ。誰が命名してるのか、
不思議でならない。…余談だが、今のとこ「エレファント・ホンマグロ」は見かけていない。東の海では
レアな魚なんだろう。

「逃げない様にそーっと。」

 慎重に近づいて行く。狙いを定め、全力で銛を突き刺す。逃げる前に獲物を仕留め、海上に引っ張ってく。
前世ではこんな事一度もした事無かったが、慣れると意外に出来る。

「自分よりデカい魚を銛だけで仕留める子供ってのもどうなんだろう?」

 まぁルフィ達も海王類とか簡単にやっつけてたし、俺はまだ普通の部類なんだろう。今海王類と出会ったら
確実に丸呑みされてバッドエンドだな。

「あっ、この前ナミにデカいの持ってくって言ってたから丁度良いや。」

 …決してナミへのアピールじゃないぞ。俺は約束を守る人間なんだ。モノで釣ろうなんて卑怯な考えは
ない!そもそもこんな魚くらいではアイツは絶対に釣られない。

「さて、ナミの家まで行きますか。」

 魚を担いで走って行く。…なんてシュールな光景なんだろう。
 少し走るとナミの家が見えてきた。

「こんにちはーベルメールさん。」

「あら、ラーズじゃない。ってその魚どうしたの?」

「この前ナミにデカい魚持ってくって言っちゃったからさ。さっきナイスタイミングでデカいの獲れたから
良かったら食べてよ。」

「へぇー、やるじゃない。ありがとね。なら今から料理するからアンタも食べて行きなさい。その方が
ウチの娘達も喜ぶだろうしね。」

 …ん?何かサラッと気になる台詞を言われた様な…まぁいいか。

「んじゃ遠慮なく招待されます。」

「しかしよくこんなの捕まえたわね。アンタ漁の才能あるんじゃない?村の大人でもなかなか捕まえて来ないわよ。」

 あれっ?俺ってもしかして転生特典で「漁が異常に上手い」才能とかになってる?










--これはラーズが世界中の海を回り、世界一の漁師目指して獲物を追い続ける物語である--










 イヤイヤイヤイヤ!!!そんな馬鹿な!今までの訓練は全て漁のためだったのか!?

「まぁ、毎日鍛えてるからね!」

 …言ってる事は間違ってないハズだが、何かが激しくおかしい。俺って漁師になりたかったんだっけ?
 否!断じて否だ!あくまで目標はナミとゴールインする事で、漁は過程に過ぎない。

「ウチもラーズみたいなのがいたら楽なんだけどね。どう?アンタもウチに住まない?今ならノジコとナミがセットで付いてくるわよ。」

 な、な、なんて魅力的な!!正直ベルメールさん家の息子になりたくて仕方がない。…しかし「俺」という
イレギュラーがある以上、これ以上原作を捻じ曲げるとアーロンが来た時どうなるか読めなくなる。
ここは血の涙を流しながら断ろう。どーせベルメールさんも冗談だろうし。

「気持ちだけ貰っておきます。」

「あら、二人じゃ不満?」

「いや、むしろ余ります。」

「へぇー。余るのはどっち?やっぱりノジコ?」

「秘密ですー。」

「あっそ。まぁ大体分かるからいいけどね。フフフッ。」

「んなっ!?」

 俺の行動そんなに露骨だったか?自分では普通だと思っていたが、流石元海軍、恐るべし。

 そんな下らない会話をしている内に二人が帰ってきた。

「ただいまー。ってラーズどうしたの?」

「ただいまー、ひさしぶり、ラーズ。」

「お邪魔してるよ。さっき魚獲ったから持ってきたんだよ。見ろこのサイズ!ちゃんと言った通り
デカいの捕まえてやったぜ!」

「あれっ?そんな事言ってったっけ?」

「ぅおい!!忘れてんじゃねーよ!鶏頭か!」

 あっ、思わず言い過ぎた。…このパターンは。

「むっ!うるさい!!」

 見事なパンチが飛んできた。俺もけっこう成長してるハズなのに全然痛くなくならないのはどういう事だ?

「全く、一言多いのよアンタは。」

「ノジコ…せめて殴られる前に言ってくれ。」

「いや、ラーズだし大丈夫かなって。」

「いやいやアレは俺も痛いって!ゴリラ並の腕力だな。…あっ。」

 やばっ。つい会話の弾みでポロリしてしまった。

「だ・れ・がゴリラ女だって?ラーズ」

 そこには阿修羅も全力で逃げ出すほどの殺気を笑顔で放つナミがいた。

「待てナミ!そこまでは「んー?聞こえなーい。」ヒィー!た、たすゲボラッ!」

 …このナミってアーロンに勝てるんじゃね?マウントポジションでタコ殴りにされながら、そう思った。

「はいはい。ナミもラーズも遊んでないでベルメールさんの手伝いするよー。」

「はぁーい。」
「一方的に殴られる遊びなんて聞いた事ないぞ!」

 ヘールプ!ウソップ、ヘールプ!この世界はツッコミが足りない。改めて思う。ツッコミが足りない。

 「はぁ、やれやれ。」

 少年らしからぬため息をつきながら、平和な日常を過ごしていく。これが続いてくれたらどれ程
楽しいだろうか?たまに考えるが、現実は常に残酷という事を数ヵ月後に思い知らされる。




ーーーアーロン襲来まで後数ヶ月ーーー






  後書き


 こんな拙い文章を読んで下さる読者の皆様、本当にありがとうございます。
 今作におけるキャラの若干の性格、喋り方の違いなどあるかもしれませんが、
 温かい目で見守って下さい。コメント下さった方々もとても感謝しています。

-3-
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