〜〜ラーズside〜〜
ようやくドラム島に着いたか。つーかマジで寒いな。俺一応狐人間なんだが関係ないのか?寒くて仕方がない。
この世界では初めての雪景色だ。
そんな事より早く港に船を着けよう。そうして船を進めていた。しかしそう簡単に上陸できる訳もなく、
「そこまでだ、海賊ども。」
やっぱり出て来るよなぁ。見ると町の人間らしき人達が銃口をこっちに向けていた。
「速やかにここから立ち去りたまえ。」
町の人間達が警戒心を強くして話している。
「おいおい、何かヤバそうな雰囲気だぜ。」
ウソップは多少理解してるみたいだな。
「いいかルフィ、みんな。俺たちはーーー」
「喰らえ海賊め!」
「がっ!」
いきなり右腕を撃たれた。ナミの事で頭が一杯になってて回避する余裕がなかった。
「ラーズ!?」
「アイツら!」
ルフィとゾロが戦闘態勢に入ろうとしている。ここで戦闘するのは愚策だ!!
「やめろお前等!!!」
「「ラーズ…」」
「俺の傷は気にするな。それより、大事な事を忘れるな。」
「俺達は……海賊なんだぞ。」
「!!!」
そう、俺達は海賊なんだ。町の人達からしたらどんな奴か分からないなら、上陸される前に仕留めるだろう。
俺だってそうするハズだ。
「戦うだけじゃナミは救えない…。」
そういって俺は町の人達に向けて土下座した。
「ラーズ!?」
「ウソップ。今大事なのはナミを、仲間を助ける事だ。
…お願いします。仲間が病気なんです。医者を呼んで下さい。…お願いします。」
町の人達はいつの間にか静かになっていた。すると、ルフィも隣で土下座をした。
「仲間を助けてください。」
「ルフィ…」
「ラーズ、悪かったな。おれは全然考えてなかった。」
「いいんだ。気にするな。」
他の皆も頭を下げている。
「……頭を上げたまえ。村へ、案内しよう。」
「ドルトンさん!?」
「彼等はおそらく害はない。…私を信用してはくれないだろうか?」
「アンタが言うなら…」
「助かる。」
どうやら島に上陸出来そうだな。
「分かってくれたみたいだな。」
「ラーズはすげえな!」
土下座しながらルフィと話し、島へウソップとルフィ、ビビと島へ上陸した。ナミをおんぶする。
「ナミ、島に着いたぞ。もう少しだけ辛抱してくれ。」
「う、ん。ラーズ?」
力は弱いが、背中から回している腕が少しだけキツくなった。
「…その、ケガ、は?」
あっ、隠すの忘れてた。とりあえず「生命帰還」で血は多少止めてるし、腕も動くから大丈夫だろ。
「俺は大丈夫だ。それより自分の心配しててくれ。」
「……うん。」
村に向かっているとリーダーのおじさんが話し掛けて来た。
「君は悪魔の実の能力者かね?」
そりゃ尻尾はみ出てるしな。
「ええ。アナタと同じ動物系です。僕は狐ですけど。」
「分かるのかね?」
「なんとなくですが。動物系は特に分かりやすいですね。」
「そうか。先程はすまなかったな。傷は大丈夫か?」
「少し痛いですが大丈夫です。撃たれるのも初めてではないので。」
「…そうか。君の名前は?」
変に名前が売れてるせいであまり名乗りたくはないが、礼儀を欠いてはいけない。
「…ラーズと言います。」
「そうか、私はドルトン。この町の自警団の様なものをやっている。それより…」
そう言ってナミの事を見た。
「その子は大丈夫かね?」
「今はまだ大丈夫ですが…急ぐに越した事はありません。村に医者は?」
聞くとドルトンさんの顔が苦くなった。
「すまない…。今この国に医者は一人しかいないんだ。」
「んなっ!?」
「そんな!?」
ウソップとビビは驚いている。
「ある事件が切欠でな。だがその人なら助けてくれるかもしれん。」
「そいつはどこにいるんだ?」
ルフィが尋ねる。
「……あそこだ。」
そう言ってドルトンさんは島でも一番高い山を指差す。
「「「ええっ!?」」」
三人は同じリアクションだ。
「あそこへ行く方法は?」
「ロープウェイがあるのだが…今直ぐには使えないんだ。」
「おいおいそれじゃダメじゃんよ。」
ウソップが焦って答える。
「分かりました、俺がナミを背負って山を登ります。」
「…大丈夫なのか?」
ドルトンさんが聞いてくる。
「ええ、多分。」
言いながら久し振りに獣体型に姿を変えた。ナミを背中に乗せ、尾でナミに衝撃が伝わらない様優しく包む。
「これで行くのが一番速いハズです。」
「そ、それが君の姿なのか。」
「はい、普通の動物系よりは少し大きいかもしれませんね。ルフィ、俺はナミを連れて先に山に行く。
ロープウェイが使える様になったら後で来てくれ。」
「おう!ナミは任せたぞ!」
ルフィは俺を信頼してくれているのか、笑顔だった。
「ラーズ。」
「ラーズさん…」
二人は逆に心配そうな顔をしている。
「あんまり無茶すんなよ。」
「ナミさんもですけど、ラーズさんも心配です。」
俺の顔色を見てて感じたんだろう。確かに少し体がキツいがどうにかなるだろ。
「任せろ。二人ともゆっくりしててくれ。」
そうして皆と別れ、山を目指す。
「ナミ、今から山登りだ。少し寒いかもしれんがもう少しだけ頑張ってくれ。…大丈夫か?」
言ってナミの顔を覗く。
「よろしくっ、ラーズ。」
ナミは無理して笑っていた。さて、「剃」と「月歩」で一気に行くか。
もう少しだ。
〜〜ビビside〜〜
ラーズさんは山に向かって進んで行った。これでナミさんは助かるのかしら?それにしてもラーズさんの
あの姿初めて見たけど…大きいわね。チャカやペルより遥かに。何か特別なのかしら?
白いラーズさんの姿はすぐに雪景色に消えて行った。
「彼、ラーズ君は大丈夫なのかね?」
ドルトンさんが尋ねてくる。
「きっとラーズさんなら大丈夫ですよ。」
「ならいいのだが…。」
何か気になる事でもあるのかしら?
「私も彼と同じ動物系の能力者なのだが、彼から何か嫌な感じが伝わってな。杞憂だといいのだが…。」
確かにラーズさんは最近寝てなかったから、疲れててもおかしくはないわよね。
「まっ、とりあえず家にお邪魔しようぜ、ここは寒すぎる。」
ウソップさんが言うとみんなでドルトンさんの家に向かった。
ラーズさん、大丈夫よね?
「…おれ達は留守番か?」
「テメエが行ってもややこしくなるだけだろ。雪崩でも起きたらどーすんだよ?」
「おれが行ったくらいで起きるか!?」
「どうだろうな?おれは寒中水泳でもしてくる。」
「はぁ!?テメエ何考えて…ったく、行きやがったあの馬鹿。」
「コックさん、お茶を頂けるかしら?」
「了解だよロビンちゃ〜〜ん!」
「ク、クエ〜〜〜。」