小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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〜〜ビビside〜〜


 ドラム島を出航してから五日。色々あったけどまだ終わっていない。私は国を守らなきゃいけないんだ!
 そんな事ばかり考えていると近くにラーズさんが近くにやって来た。見ると後ろの方でウソップさんが
 大の字で倒れていた。……死んではいない、よね?



「アラバスタが心配か?ビビ」

 …ラーズさんはどうしてこんなに私の考えてる事が分かるのだろう?そう思っていたら額を指で小突かれた。

「眉間に皺が寄ってるぞ。気持ちは多少分かるが焦りすぎるな」

 ラーズさんは笑っていた。

「そんなにおかしかったですか?」

「まぁ国の一大事だからそうなっても仕方ないだろ。だけど、必要以上に構える必要はない。周りを見てみろ」


 …私の周り。麦わらの一味。頼れる私の『仲間』。

「何もビビだけが背負う必要はない。皆にも背負わせてやれ。きっと喜んで背負うぞ」

「!?」






「だが、これだけは覚えておけ。もし反乱軍と国王軍が少しでも衝突したら……確実に人は死ぬ」

「なっ!?」

 ラーズさんは何でそんな事を言うの!?

「反乱軍を止めたい。国王軍を守りたい。クロコダイルはどうにかしたい。誰一人死なさずに全てを解決しようなんて
 神様でもいないと無理だ」

「……でも、それでも!!!」


 私はみんなを守りたいの!



「…だから、俺達が来たんだろう?」

「あっ…」

 ラーズさんは私の頭を撫でながら答えた。思わず泣きそうになった。



「きっと、きっと大丈夫だ。アラバスタの王女はこんなにも強いんだからな。だからビビは笑ってろ」

「…はいっ!」


 ラーズさんの言葉は胸に響いた。頑張ろう、まだ止められるハズだ。



「ありがとうございます、ラーズ兄さん」

「おう!…………兄さん?」




 ラーズさんが目を点にしていた。口もパクパクしている。…こんな顔は初めてかも。


「きっと私にお兄さんがいたらこんな風だったのかなぁ、なんて思ってたんです。…ダメですか?」

「い、い、いや、別にそんな事はないぞ。うん。ダイジョウブダ」

 ラーズさんが何か変になっちゃったけど本当に大丈夫かしら?




  〜〜ラーズside〜〜


 …兄さん?俺ってビビと血でも繋がってたっけ?いや、流石にそんなトンデモ設定はないよな。
 って事は何だ?信頼の証的なものなのか?まぁ好きなのはナミだけだし妹の一人くらいは居てもいいか。
 深くは考えない様にしよう。




「ラーズ兄さん!!!」

「……俺に鼻の長い弟はいねえ。どうやらまだ修行が足りなかったか。第二ラウンドだ、カーーン!!
 おおっと開始早々ラーズのラッシュだ!尾が飛ぶ飛ぶ飛ぶゥゥゥ!!!」


「ヒ、ヒィーーーーー!!」

 またウソップと楽しい時間を過ごす。



 そうしてビビと義兄妹の契りを結んでいると船が蒸気に突っ込んだ。

「うおっ、何も見えねー」

「すげー!」



 少しして蒸気の海を抜けると船にメンバーが一人増えていた。

「「「「誰だお前はー!!?」」」」

 男性陣が全力で突っ込む。見ると背中に「おかま道」って書いてある。ベンサムだかハンサムだかマンダムだか忘れたが、
 とりあえずMr・2.ボン・クレーだった。マジでキモイ。



「おいそこのオカマ、どっからきたんだ?」

「いや〜あちしとした事がいつの間にかこの船に乗っちゃってたのよーう!!」


 …どうやったら船に間違って乗ってくるんだ?オカマの行動は予測出来ん。

「はぁ。まぁいいや。んでお前は能力者なのか?」

「よーく分かったわねえ!」

「能力者は何となく分かるんだよ。勘は鋭い方なんでな」

「へぇー、どんな能力なんだ?」

 ウソップが興味津々に尋ねる。するとオカマは皆の顔を触った後に変身しだした。


「すっげーーー!」

「もっともっとーー!」

 ルフィとウソップはノリノリである。

「勿論顔だけじゃなくから「そこまでだ」…」

 オカマがナミに変身して体を見せようとした瞬間動きを尾で強制的に止めた。このオカマ!俺もまだ拝んだ事のない
 ナミの体を見せ付ける気か!!

「とりあえずナミから戻れ。ナミ以外だったら許す」

「じょ、じょーうだーんよーーう!!そんなに怒らないでよーーう!」



「なぁルフィ、今の目で追えたか?」

「さっぱり。ウソップは?」

「お前が追えなくておれが追える訳ねーだろ。やっぱあいつナミが絡むと異常だな」

 何やら二人の溜息が聞こえた気がした。 





 そうしてオカマはルフィ達としばらく遊んでいたがようやく迎えの船が来たみたいだ。

「アラ、もうお別れの時間!?残念ねーい」

「えーーーーー!!?」

「悲しむんじゃないわよう。旅に別れはつきもの!!でもこれだけは忘れないで!」
「友情ってヤツァ…つきあった時間とは関係ナッスィング!!」

「「「また会おうぜーーーーー!!」」」

 こうしてルフィ達とオカマとの間に奇妙な友情が芽生えた。



「お前が加わらないなんて珍しいな」

 ゾロが尋ねてくる。コイツ最近マジで失礼だな。もう稽古付き合ってやんねーぞ。

「まぁ敵のMr2とここで仲良くなる必要はないだろ。それにアイツはナミの体を見せ付けようとしやがった」

 それだけで万死に値する。



「ならここで仕留めておいた方が良かったんじゃないの?」

 船内から出て来たロビンが聞く。

「別にあのオカマくらいならマユゲがどうにかしてくれるだろ」

「まぁアナタが言うなら問題ないのでしょうね」

「それに味方のハズのロビンを見ていないってのは後々面白い事になるからな」

 ロビンはまた戻って行った。アイツあんまり外に出ないけど暑いの苦手なのか?



「しかしあの顔真似は面倒だぞ。…ここで会えて良かった。対策が出来る」

 ゾロが悪い顔で考えを伝えた。お前のその顔は悪役向きだよ。






 そうして一味全員が左腕に包帯を巻く。

「よし!とにかくこれから何が起こっても、左腕のこれが」




「仲間の印だ」




 ルフィがきっちり締める。基本はバカなのにこーゆー時はしっかりしてんだよな。


「……じゃあ、上陸するぞ!」
「メシ屋へ!!!!!あとアラバスタ」

「ついでかよ!?」




 ビビは何だか嬉しそうに包帯を見ていた。俺はビビに声を掛ける。


「さて、行くか。国を救いに」

「そうですね。何としても!」


「俺の大事な妹の国だからな」

「!…はいっ!!」

 二人とも笑っていた。



























「最近おれの出番が足りない様な気がするんだが」

「まぁナミの争奪戦に負けたしな。後マユゲ変だし」

「オロすぞその鼻ァ!!」

「おっと「剃」!」

「!?…あの野郎、いつの間に?」

「伊達にラーズに殺されかけてねーからな。じゃーなーー」

「ちっ…」





「ウソップに逃げられるマユゲ。笑い者だな」

「うるせえマリモ!!」

「「やんのかコラァ!!」」


「二人とも、みんな行ったわよ」

「はぁ〜〜いロビンちゃん、今行くよ〜」

「ったく、一生やってろ」






 

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