小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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〜〜ウソップside〜〜


「こうみょうな、わなだ」

「ああ、しょうがなかった」


「これじゃ敵の思うツボじゃない!!バッカじゃないのアンタ達!?」



 おれ達はクロコダイルの見事な罠に引っ掛かり牢に閉じ込められていた。一緒に乗り込んで来たルフィ、ゾロ、
 ナミは分かるんだが海軍の煙野郎も一緒に捕まっていた。…アイツも意外と馬鹿なのか?


 しかしこの牢変だな。ルフィが触ったら何か力が抜けるらしいしどうなってんだ?



「…この牢は恐らく「海楼石」で出来ている」

 煙野郎がいきなり話し掛けて来た。…仲間がいねえから寂しいのか?んで「海楼石」って何だ?


「この石は海が発しているものと同じエネルギーを持っている。言うなら海がそのまま固体化したものだ。
 この檻も同じ原理なんだろ」


「なるほどねえ。それでルフィもこんなになってんのか。…お前も出れねえんだな」


 ゾロが笑う。確かに偉そうに説明してる割に煙野郎も何も出来ないんだからな。煙野郎とゾロがケンカ腰に
 なってるとどこからかもっと偉そうな声が聞こえてきた。






「くくくっ。死にゆく者同士仲良くすればいいじゃねえか」






「……クロコダイル」


 煙野郎が忌々しそうに檻の向こうの声の主を見た。アイツがクロコダイルか!”王下七武海”の一人…。
 見るとナミも驚いていた。


「お前がァ!勝負しホ…」

「だから触んなよ!!」


「”麦わら”か。よくここまで辿り着いたもんだな。すぐに消してやるから待ってな。
 ”王下七武海”の名は伊達じゃねえんだよ」


 椅子に座りながら偉そうにふんぞり返ってやがる!おれアイツ嫌いだ!



 しかしこの状況。どうにもならないな……普通なら。だけど、こういう時に頼りになる奴がいるんだよ。





















「おいおいワニさんよう、人の恋人束縛しといて何偉そうにしてんだよ?死にてェのか?」




「「「ラーズーー!!!」」」

「やっと来やがったか」


「アイツか…」


 真っ白な髪を後ろで束ね、白い尾を靡かせたラーズがな!!



 …あっ、隣にロビンがいてナミがちょっと不機嫌になっている。





  〜〜ラーズside〜〜


 案の定捕まってやがったか。それにしてもあの意外そうなワニの顔。ロビンはもうこっち側なんだよ。


「…最近姿を見せないと思ったらそんなとこにいたのかニコ・ロビン」

 あっ、何か悔しそうにしてやがる。プププッ。


「自分のとこの副社長がこっちについちゃってショック?ねえショック??」

「言ってくれるなクソ餓鬼が…」

 口調は偉そうだがショック受けてるみたいだ。それそれ、その顔が見たかったんだよ。



「こっちの一味の方が遥かに楽しくてね。それにアナタより彼の方が百倍素敵なの」

 言いながらロビンは腕を絡めてきた。おい、胸が当たってるぞ。わざとか?しかし俺はナミ以外じゃ俺の心は
 揺るがない。マユゲとは違うのだよ、マユゲとは!




「ロビーーーン!!なにラーズに手を出してんのよ!?」

「少しくらいいいじゃない」

「良くない!!!」



 緊張感を全く感じない会話が続く。

「ロビン、あんまりナミをからかうな。後で俺の顔の形が変わる」

「あら、残念ね」

 言いながら腕を離す。






「で、だ。クロコダイルさん。俺の事はご存知かな?」

「テメエみたいな小物は覚える価値もねえからな」

 あっ、あの人いい感じにムカつくね。


「ならその小物から面白い事を教えてやるよ。ビビ王女なら今頃「カトレア」に向かってるぞ。アンタが
 待ち望んだ反乱は果たして起きるのかな?真実を知ったコーザはどうするかな?」


「なっ!?…テメエ」


「やっとこっちを見たか。自分の計画が崩れていく気分はどうだ?こんな小物に引っ掻き回されて
 ムカつく?ねえムカつく??」

「貴様ァ!」


「ロビン、少し下がっててくれ」

「ええ、分かったわ」

 そう言ってクロコダイルと向き合う。




「貴様ごときが”七武海”の一人に敵うとでも思ってるのか?この俺に」


「あっ、うん。だから出てきたんだよ。まぁ一概に懸賞金の額が強さを決める訳じゃないけど、アンタの懸賞金は
 元8100万だったよな?ちなみに俺は……1億5000万だ。……嬉しくないがまたその内上がるだろ」


「なっ!!?」

 あっ、また驚いた顔してやがる。いや〜こういう偉そうにしてる奴の顔を捻じ曲げるのは気分がいい。






「なぁウソップ」

「言うなルフィ。ラーズは絶対楽しんでやがる。あれだけ気楽にしてるんだからこの牢を壊す事も考えてんだろ」

「アイツならありそうだな」

「何かラーズが黒いわ……」


 一味は安心して会話していた。ゾロに至っては横になり始めていた。






「”白狐”って聞いた事ないか?」

「!!……テメエも麦わらの一味だったとはな」

「ってな訳で仲間は連れて帰らせて貰うよ?」

「そんな簡単に渡すと思うか?」


「返して貰わないとアンタが各地に送ってるエージェントを潰せないんでね。王様も助けに行かないと、”本物”のね」

「!?」

 また驚いてる。けどもうその顔は見飽きたな。

 
「んじゃとっととくたばってくれ。一閃」

 言いながらクロコダイルにレーザーを放つ。クロコダイルは避ける余裕もなく右腕を撃ち抜く。

「グアァ!?馬鹿な!?何故俺の実体に!?」


「あァもう自然系のそういう話は聞き飽きた。とりあえずテメエの能力なんて俺は貫けるんだよ」

 今度は覇気を纏いクロコダイルの元に踏み込みボディに一撃喰らわす。

「ガハッ!?……テメエ」


「ちなみに普通の攻撃でも実体は捉えられるからね。さぁこの絶望的な状況でお偉い七武海さんは
 何を見せてくれるんだ?」

「…チッ!!」



 言いながらクロコダイルは砂になって逃げて行った。あっ、追い込み過ぎたかな。まぁ計画は総崩れだろうし
 あのダメージもそう簡単には回復しないだろう。


「ラーズー!この檻変なんだよ!!助けてくれー!」

「分かった分かった、皆。牢の隅っこに移動しててくれ。ウソップ!!!もしかしたらちょっと熱いかも
 しれないからちゃんとナミを守っておけよ」



 そうして檻の前で尾を前面に出し白い炎を収束させる。中途半端な温度だと爆発するかもしれないからな。
 全力で集中しよう。いくら海楼石でも超高熱なら焼き切れるだろ。じゃないと加工すら出来ないハズだし。

「白火・焔弾!」

 超高温になった焔弾は檻の一部を一瞬で溶かした。いや〜大分高い温度出せる様になってきたな。
 修行マニアも板に付いてきた。



「あちち!」

「もう少しどうにかなんねえのかよ!?」

 助けてやったのに文句を言われる。ルフィもゾロも後で指導が必要だな。



「これで出れるぞ。ウソップ、ナミはちゃんと守ったか?」

「あぁ。つーかこっちまでは熱はそんなに来なかったから大した事なかったぞ」

 ふむ、それなら一安心だな。ロビンもいつの間にかこちらに来ていた。


「ナミ、大丈夫だったか?」

「七武海なんて初めて見たけど…アンタをいつも見てるからね」


「…それは愛ゆえにか?」

「拳骨喰らいたい?」

「すみません調子に乗りました」


「全く…でもクロコダイル逃げちゃったわよ。これからどうするの?」

「ひとまずマユゲ達と合流しよう。マユゲはともかくチョッパーは心配だ」





 そうしてレインディナーズから出ようとした所、スモーカーに呼び止められた。

「おい、白狐に麦わら。テメエら何をしようとしてやがる」


「も〜海軍ならそれくらい自分で調べろよ、ったく。…いいか?クロコダイルはこの国を手に入れるつもりだ。
 少なくとも民衆はアイツを信じてしまってるからな。反乱軍と国王軍を争わせてお互いが疲弊した所をクロコダイルが
 戦争を止める。ほら、立派な英雄の誕生だ。仮にも七武海の一人だし海軍も下手に手を出せないんだろ?
 あのワニはそこまで考えてたみたいだからな。なんで裏からこっそりブチのめそうかと」




「…何故海賊がそんな事をする?」




「……大事な妹のビビの為にね。兄としてはお願いを聞かない訳には行かないからな」


「…」


「んじゃ俺達は行くぞ?テメエらはクロコダイルの不正の証拠でも探してろ。言っておくけどこの期に及んで
 追い掛けて来るんなら今度は全力で叩き潰すぞ」  

 




「…今回だけだ」

「ん?」


「今回は追う事はしねえ。だが、またどこかの海で会ったら必ず捕まえてやるからな!」

「はいはい。それまでに少しは修行しとけよ。あっ、そうだ。ついでに一つだけ頼みがあるんだが」


「チッ、何だ?」

「−−−−−−」

「……それだけか?」

「後はルフィ達がやってくれるさ」



「…少し待ってろ。部下に用意させる」

「サンキュー。案外いい奴だなお前」

「うるせえ。今回だけだって言ってるだろ」




 そうしてスモーカーも去って行った。アイツもしつこいが根は悪くないかもな。




「さて、バロックワークス殲滅作戦でも考えるか」

「おう!メシ食いながらな!!」



 このくらい緊張感が無い方がいいかもしれないな。





 ビビ、アラバスタを救うまでもう少しだ。


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