〜〜ロビンside〜〜
ラーズに言われた通り東門付近に来てみたのだけれど……まさか本当に一発で見つかるなんて。
「未来でも見えてるのかしら？」
ラーズの分析力は最早神懸かっているわ。何を、どこまで知ってるのかしら？落ち着いたら一度ゆっくり
話してみたいわね。航海士さんが許してくれればだけど。
「助けにきましたわ。Mr・コブラ」
「……君は？」
Mr・コブラは怪訝そうな顔をしている。まぁ誘拐されたばかりだしね。
「ニコ・ロビン。王女様の仲間よ。今頃あなたを誘拐した人もクロコダイルも仲間が倒しているハズだわ」
「！？…なら君達が手紙にあった”麦わらの一味”なのか？」
……私もちゃんと仲間なのね。今更だけど、ラーズの優しさには感謝するわ。でもあんまり他の子に
優し過ぎるとまた航海士さんが嫉妬するわよ？
話しながらロープを解く。
「ええ。後は反乱軍を止めるだけのハズよ。きっとMr・コブラ、あなたの言葉も必要になるわ」
「…あぁ分かった。助けてくれた事に礼を言う」
「お礼ならラーズにしてあげて。あなたの居場所も彼が見つけたのだから」
「ラーズ？あぁあの手紙の主か。彼には世話になってばかりだな」
「まぁ本人は気にしてないみたいよ。でも…」
「？」
ふふっ、ラーズの驚く顔を久し振りに見てみたいわ。
「王女様はラーズを実の兄の様に慕って「ラーズ兄さん」と呼んでいたわよ？」
「んなっ！！？」
Mr・コブラはどんな反応をするのかしら？
「今すぐ！その小僧の場所へ案内するのだ！！私のビビを誑かしおってからに！！！」
……少しやり過ぎたかしら？Mr・コブラは予想を遥かに超えた親バカだったのね。
「待っておれビビ！！今目を覚まさせてやるぞォォォォォォ！！！」
あの王様自力で脱出出来たんじゃないかしら？あっという間に走り去って行ったのだけど…。
「パパの所に帰って来ォォォォいィィィィ！！！」
まぁ、一応助けはしたし大丈夫。…よね？
〜〜ビビside〜〜
もう反乱軍は近くまで迫っている。きっと中心にリーダーが居るハズだから声の続く限り叫ばなきゃ！
「止まりなさい！！！反乱軍！！！」
……ダメだ。まるで聞こえていない！！
「この戦いは仕組まれているの！！私の話を聞いて！！！」
リーダー…コーザ！！私の話を聞いて！！！
でも…反乱軍は止まってくれない。もう目で確認出来る程に近くなっている。このままじゃ！
その時
『静まれぃ！！！静まれいぃぃぃ！！！！』
国全土に響く程の大きな声が聞こえ、驚いた反乱軍が歩を止めてくれた。この声は……！！！
『遅くなった。良く頑張ったな』
誰よりも頼りになる、誰よりも私を心配してくれた、私の兄さん！！！
ラーズさん！！！
ラーズさんは私の近くまで、驚く事に空から颯爽と現れた。
トレードマークの九本の真っ白な尾を棚引かせて、大きく広げていた。
その尾からは、白く大きな炎を出しており、とても幻想的だった。
今まで見た事のない光景に、後方に居た国王軍も、突き進んでいた反乱軍も足を止めて見惚れていた。
『待たせたな。一人で大変だったか？』
ラーズさんは電伝虫と拡声器を使ってどこまでも聞こえる音量で話し掛けて来た。おそらくラーズさんの声は
アラバスタ全土に届いてるだろう。
「信じてましたから！！！」
嬉しくて泣きそうな顔で無理矢理笑う。ラーズさんは私を見るとまた頭を撫でてくれた。
『反乱軍に告げる！あなた方も国の為にと戦う気持ちは分かる！だが！！ここに
ネフェルタリ・ビビ王女が居る！剣を相手に向けるだけが戦いではない！！
リーダー・コーザ！！少しでも国王軍を説得する気があるのなら一度話し合いに応じて欲しい！！！』
ラーズさんが呼びかける。リーダーが話し合いに応じてくれたら……！
少しだけ時間を空けて、反乱軍から一人の男が出て来た…リーダー！
「貴様…何者だ？」
リーダーがラーズさんに怪しい視線を向ける。
「俺？俺は……」
ラーズさんとリーダーが近付いた瞬間、一発の銃声と一発の大砲の発射される音が聞こえた−−−−−