小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ウソップside〜〜


 アラバスタに雨が降り、戦いが終わって二日が経った。一味のみんなは宮殿でそれぞれ好き勝手にやっている。
 ルフィはメシ食ってるかペルの背中に乗って飛んで遊んでばかり。ゾロはひたすら筋トレしてやがる。
 チョッパーは宮殿の医者と話し込んでいたし、サンジはアラバスタの料理に興味津々だった。
 ナミは永久指針について尋ねたりしていた。

 んで、ラーズはチャカさんとアラバスタの今後についてずっと談義をしていた。
 何か雨水の有効な貯蓄方法がどーとか、海水の蒸留装置の技術の世界政府への申請がこーとか。
 アイツやっぱ頭良いんだなー、海賊のくせに。まぁビビに慕われすぎたせいで国王と対立してるけど。
 あの鬼ごっこの後も顔を合わせると騒いでいる。王はビビが、ラーズはナミが止めて終わってるけど。


 んでおれは町にパチンコ玉の材料を買いにでも行こうと思ってたんだが…



「何でおれはこんなとこに来てんだ?」

「あら、どうせヒマなんでしょう?長鼻くん」

「勝手に決めつけんな!!」

「まぁまぁ。ついでだと思って」

「…ビビが言うなら仕方ないが」

 そう。おれは何故かロビンとビビ、国王に連れられて何か葬祭殿?とかいう場所に来ていた。



 
 少し前に宮殿を歩いているとロビンとラーズが話していたので聞いていたのだが…


「ロビン。宮殿の西の葬祭殿辺りに隠し階段がある事は分かった。そこに”石”があるみたいだ」

「そう。でも調べさせて貰えるかしら?」

「んー今の俺には不可能だ。顔突き合わせた瞬間に口喧嘩の始まりだからな。そもそも誰のせいだよ!?」

「どうせすぐに分かるから早めにと思ったのだけどね」

「順序があるだろ!おかげで大罪人並の扱いだぞ!!俺が今回一番不幸だぁーー!!」

「それはごめんなさいね」

「…謝る気あんまねーだろ、ったく。とりあえずビビに話してそっから二人でバカ親父でも説得しろ。
 お前はバカ親父を解放したし、娘とのコンビなら悪い様にはしないだろう。それなら大丈夫だ」

「アナタは行かなくていいの?」

「別にそこまで興味ないしね。それにココのは…」

「?」

「まぁそれは自分で調べて来てくれ」

「え、ええ。分かったわ。…長鼻くん?」

 急におれに話を振ってきた。

「あん?どーした?」

「おっ、丁度良い人材だ。ウソップ、俺の代わりにロビンと一緒に行って来い」

「何でおれなんだよ!?」

「特には。強いて言うなら何かフォローしてくれそうだからだ」

「じゃあ行きましょう」

「ん?おれの意思は?おおーーーい!?」


 そう言ってロビンに引き連れられ…現在に至る。

 改めていうが何でおれがこんなとこに居るんだ?なんつーか、すげーくらいしか言う事ないぞ。
 まぁ付いてきちまったからには、ロビンの用事が終わるまで大人しくしておくか。



「ウソップ君、君に聞きたい事がある」

 ロビンとビビが何か奥に行ったと思ったら王様が話し掛けて来た。

「ん?何だ?」

 ラーズとのやりとりを聞いてると国王の威厳は全く無いので敬語はなしだ。

「あの小僧は本当にビビに手を出したりしてないんだろうな?」

 まだそれかよ!?何かラーズの気持ちが分かってきたぞ。

「だから大丈夫だって!大体ビビから「兄さん」なんて呼び始めたんだし。ラーズにはちゃんと恋人がいるんだって!」

「ううむ、しかし…」

「アンタも自分の娘くらい信じろや!娘が慕っている人間が悪い奴だと思うか?」

「騙されている可能性もあるではないか!!」


 あっ、おれもこの人ダメだ。もう親バカじゃくくれないレベルだ。

「ラーズが本気になったら多分クロコダイルより嫌らしい方法でこの国乗っ取ってくると思うぞ。それにアンタも
 見ただろ?あの炎。アレだったら、アンタにキレて一晩でこの宮殿壊滅させるくらいは軽い。
 アンタがあれだけ疑っても何もしないのはアイツもビビを気に入ってるから耐えてるんだと思うぞ」

「やっぱり気に入っておるのかあの化け狐めェェェ!!!」


 あっ、またあの親父走って行きやがった。…おれフォロー間違えたか? 

「また…ごめんなさいウソップさん」

 ビビが謝ってくる。何かもうビビが切ないな。

「長鼻くんのフォローはほぼ完璧だったと思うけど。ラーズなら本当にやれそうだし」

「まぁおれやラーズはともかく、ビビが一番大変だな」

 おれは笑って答えた。実際ビビが一番恥ずかしいだろうしな。

「後で強く言っておきます」

「頼む。このままだとラーズが暴れ出し兼ねない。んで用事ってもう終わったのか?」

「ええ。大丈夫よ」

「ならおれは買い物にでも行って来るよ」

「あら、本当に用事があったのね」

「だから勝手に決めつけんじゃねえよ!!」

 ロビンの奴、何てマイペースなんだ!


「あっ、なら私も付いて行っていいですか?」

 意外なビビの一言。

「別に良いけどあの親父止めなくていいのか?」

「今言っても無駄でしょうから…時間差で攻撃します」

 …ビビは逞しくなったな。これもラーズの影響なのか?


「んなら行くか。またなロビーン」

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい。私は二人の口喧嘩でも見てくるわ」

 ロビンは笑いながら別れて行った…アイツ絶対楽しんでるよな?あんまり火に油注ぐと爆発するぞ?





  〜〜ビビside〜〜


 もう、パパったら。ウソップさんのフォローでも全然ダメだったしどうしよう?気分転換にウソップさんと
 町に出てみよう。

 町には皆が戦ってくれた跡があったけど、町の人達が元気に話していた。そして今一番の話題はやっぱり
 ラーズさんの話。ある人は「名も無き英雄」、ある人は「海軍の隠し玉」、そしてある人は


 「九尾の守り神」


 と呼んでいた。まぁそれぐらいインパクトあったしね。ウソップさんも聞いてて楽しいみたい。本当に
 この国を救ったんだから「守り神」なんて言われてもおかしくはないけど。


「いや〜ラーズの評判凄い事になってんな」

「ですね。まさか守り神とまで言われてるなんて」

「正体が海賊だって分かったらどんな反応するんだろうな?」

「今言ったらシャレにならないですよ」

「だな」

 買い物を終えたウソップさんと町を歩く。




「なぁビビ」

「どうしました?」

「お前は……これからどうするんだ?」

「!!」


「おれ達は海賊だ。多分、近い内にアラバスタを離れるだろう。だがビビ。お前はこの国の王女だ。
 …こんな言い方は変かもしれないが、ラーズと離れられるのか?」

「……」

「今すぐ結論を出す必要はないけど、いずれ出さなきゃいけない答えだ。まぁどちらを選択しても
 みんなは納得すると思うぜ?お前が一味のみんなも、国も大好きだって事は分かってるしな」


「…ウソップさんは優しいんですね」

「戦闘じゃまだまだ足引っ張ってるからな。一味のフォローくらいはしとかないと」

 ドラム島の時といい、ウソップさんは一味のみんなをきちんと見てるのね。

「…答えは必ず出します」

 そう。必ず答えは出さないといけない。みんなと一緒に行くか、アラバスタに残るか。

 考える時間は、そう多くない。



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