〜〜クザンside〜〜
いやー偶然通りかかったアラバスタであんな面白いモノが見れるとはな〜。”火拳”と”白狐”の闘い、そして
今回の一連の騒動。”クロコダイル”は前から信用無かったとは言え、ラーズがここまでやるとはねぇ。
しかも一味に”悪魔の子”まで引き入れたか…。ガープさん、アンタの教え子はとんでもない事になってるよ。
あの白い炎も見ない間に随分面倒な事になってそうだね。前より遥かに強くなってるな。
こりゃサカズキの目が正しかったのか？
「……ってな感じでしたよ」
「ううむ、まさか”七武海”の一角を落とすまでになるとは……」
「今のアイツには中将クラスですら厳しいかもしれませんね」
「やはり今回最大の原因は」
「ラーズでしょうねぇ。反乱止めたのは実質アイツみたいでしたし」
「ふむ…」
「クロコダイルを仕留めたのはガープさんの孫らしいですけど、ラーズが修行の相手してるとするとこれからも
成長するでしょうねぇ」
「更に”Ｄ”の血か…」
センゴクさんの顔は苦いままだな。確かに下手したら世界政府の加盟国が一つ落ちてたとこだったからな。
それを、軍を抜けたラーズが止めた。
ラーズの成長を喜ぶべきなのか、海賊となったラーズを悲しむべきなのか、難しいとこだねぇ。
「何より厄介なのはあの能力ですね。アレの前では覇気は無意味、自然系の防御ですらあまり役に立ちそうに
ないですから。正直底が見えないですね」
「やはりただの動物系では無かったか…やれやれ、また白髪が増えそうだ」
「それはともかくとして、一つ聞きたい事が」
「ん？どうした？」
「サカズキは最近何やってるんですかい？東の海でラーズとやり合ってからしばらく姿を見ませんが」
「赤犬は一番ラーズに執着しとるからな。この前仕留め切れなかった事が相当悔しいらしい」
アレには驚いたねぇ。まさか東の海までラーズを追って行ってたなんて。しかもあのサカズキとまともに
戦って逃げ切ったんだからそりゃ話題になるよな。まぁ実際町を壊したのはほとんどサカズキだろうけど。
「…今下手にラーズを相手にするのは得とは思えませんが」
「アラバスタで何かあったのか？」
「”火拳”と繋がった可能性があります」
「なっ！？」
センゴクさん驚いてるねぇ。おれもあの場面を覗いてなかったら危なかったかもしれないし。
「ラーズを仕留めたとして、もし後から”火拳”が出てくると…」
「…白ひげ、か」
「そうなりますねぇ」
いや〜こりゃ本格的に手を出しにくくなってきたな。本人はそこまで考えてないかもしれないが、ラーズが
全世界を巻き込む戦争の引き金になり兼ねない。
「なので、サカズキには気を付けておいた方がいいかと」
「分かった。伝えておこう」
そうしてセンゴクさんの部屋から出て行く。途中でボルサリーノに会った。
「ラーズ君はどうだったかい〜？」
「何とも厄介になってきたぞ」
「こっちが手を出さなければ変な事はしないと思うけどねぇ〜」
その意見には賛成だな。アーロンの件もそうだが今回も結果的には民衆の為に動いているからね。むしろコッチとしては
ありがたいんだが。…まさかココまで考えて海軍を抜けたって事ァないよな？
「センゴクさんには伝えたよ。動くとしたら」
「やっぱりサカズキだろうねぇ〜。アレから東の海に自分の部隊を色々送って情報収集してたみたいだし」
「やれやれ…」
「真っ直ぐ過ぎるのも考えものだねぇ〜。おかしな事にならなきゃいいけど」
そう言ってボルサリーノは去って行った。
ラーズ。お前の存在は思ってる以上に大きくなっているぞ。
〜〜センゴクside〜〜
ふぅ、やれやれ。ラーズはどんどん大きくなっていくな。まだ尻尾の生えてない、チビだった昔が懐かしいわ。
「あっという間に懸賞金も跳ね上がっていきおって…」
手にした手配書を眺めながら一人呟く。
息子の成長は速いと言うがこれは速すぎだろ。素直に喜べんわ、全く。
「『大切な人のため』、か」
お前はきちんと守れておるのか？自分の”正義”を……
センゴクが眺めていた最新の手配書は、四人の賞金首だった。
海賊狩りのゾロ 懸賞金7000万ベリー
悪魔の子ニコ・ロビン 懸賞金7900万ベリー
麦わらのルフィ 懸賞金1億2000万ベリー
白狐のラーズ 懸賞金1億8000万ベリー
この手配書が各地に行き渡るまで、時間はそう長くない。