小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ラーズside〜〜

「ルフィ、海を突っ切って進むから多分十分くらいで着く」

「あァ、頼む」

「今度はぶっ飛ばしていいんだよな?」

「もちろんだ!」


 俺は獣体型でルフィを乗せ、全力でベラミーの所へ向かっている。奴等は俺達がいない間にクリケットさん達を
 襲って、夢の象徴である金塊を奪っていった。ソレが、何よりも許せない。
 他人の夢を笑うなんて奴は叩き潰すべきだ。


「顔は分かるのか?」

「あァ、でも探すのは面倒だから高い所から叫ぶ」

 ルフィの発想に思わず笑う。

「任せろ。雑魚は俺が担当する」

 
 そうしている内に町に着き、一際高い建物を見つけたのでルフィを送り届け下から見学する。
 


「ベラミーーー!!どこだァアア!!」



 町中に響くルフィの声。すると酒場から一人の男が出て来た。右目の上に傷があり、青いコートを羽織った男。
 コイツがベラミーなのか?

「ルフィ、アイツか?」

 俺は顔を知らないので聞いてみる。

「あァ」

 どうやらビンゴらしい。


「あん?お前も麦わらの仲間か?」

「あァ。だけどアンタに用があるのはウチの船長だからな」

「その尻尾…お前も能力者か」

「まァね。別に手を出すつもりはないから安心しな」

「ハハハハハ!!おれに勝てると思ってんのか!?」

「…とりあえずウチの船長が待ってるから早く行ってやれよ」

「麦わらの次はお前だからな。逃げるなよ」


 言ってベラミーはルフィの所へ跳ね上がって行った。今のあの足…奴も能力者か。体をバネにする
 バネ人間ってとこだな。
 二人を見ていると酒場からベラミーの仲間がぞろぞろと出て来た。…誰も分からない。


「おいあの麦わら死んじまうぞ。止めなくていいのか?」

 変なグラサン?をかけ、毛皮のコートみたいなのを着た男が話しかけてくる。

「う〜ん俺はむしろそっちの船長が心配だけどな。ルフィ相当怒ってたし」

「ベラミーがあんな奴に負ける訳ないだろ。お前も馬鹿なのか?」

 グラサンは言いながら変な形の剣を振り回している。あれは…ククリ刀の一種か?
 ん?待てよ?確かマシラの背中には…

「おいグラサン。アンタがマシラさんを斬ったのか?」

「あん?そうだよ。生意気だったからなァ。いつまでも夢を追うなんて馬鹿らしい事やってるんなら
 斬られても仕方がないだろう?ハハハハ!!」

 やっぱりか。なら俺の相手はコイツだな。


「もういい。それ以上喋るな」

 俺は尾を動かしながらグラサンの方を向く。

「一応聞いといてやる。名前はなんだ?」

「お前おれの名前も知らないのか?懸賞金3800万ベリーの”ビッグナイフ・サーキース”だ!」

 んーやっぱり知らないな。まァ大した事はないだろ。つーかたかがそのくらいの額でよくそこまで
 態度デカくできるな。ある意味では大物だ。

「ふーん。なら俺も教えておくよ。俺は「サーキース!そいつは”白狐”だ!!」…」

 グラサンの後ろから声が聞こえた。一応俺の事を知ってる奴もいるみたいだな。普段から尾も出てるし。


「ソイツは懸賞金…1億8000万の超大型ルーキーだ!やっぱり麦わらの1億2000万も、昼間の剣士の
 7000万も本当なんだよ!!」

 あれっ?また懸賞金上がってねェか?アラバスタでは大物を仕留めたとかはないんだけどな。
 ゾロも遂に賞金首になったか。教えたらまた悪い顔して喜ぶだろうな。

「なっ…そんな馬鹿な!!」

 グラサンが急にビビり出した。おいおい戦う前から逃げ腰になってどうするよ。自分より弱い奴しか
 相手しないのか?何とも情けない。コレならウソップでも勝てそうだぞ。


「んで、もういいか?」

 ルフィを見るとあっちも戦い始めたみたいだな。直ぐに終わるだろうからこっちも急ぐか。

「ク、クソがァ!」

 グラサンが刀を左手に持って斬りかかろうとしているが、実に遅い。コイツ本当に賞金首なのか?
 尾を動かして左手を掴む。驚いた瞬間に残りの手足の自由を尾で奪う。
 全く身動きの出来ないグラサン。顔色がみるみる青くなっている。


「おいおいこれで賞金首なのか?弱すぎるぞ」

「そ、そんな馬鹿な!?このおれが!?」

「アンタより強い奴なんて星の数ほどいるぞ。あぁ言いたい事すっかり忘れてた」

 グラサンの正面に立ち、拳を握る。


「人の夢を…笑ってんじゃねェ!!」


 がら空きの腹に拳をめり込ませる。グラサンは遥か彼方へ飛んで行った。


「ったく…おいそこのアンタ」

 さっき俺達の説明をしてくれた奴に話しかける。

「ヒィ!助けてくれ!!」

「別にアンタに興味はない。それより俺達の手配書…持ってるか?」

「は、はい!ここにあります!」

 そうして新しい手配書を受け取る。




「ラーズー!終わったぞー!」

 そういえば安心しきってルフィの事全然見てなかったな。見た目無傷だし楽勝だったんだろ。
 良く見たらベラミーが気絶してるっぽかった。コイツも問題外だな。
 

「こっちも終わったから金塊でも持って帰るか…そうだ」

 ついでにお土産でも貰っていこう。




「…ラーズ何か荷物多くねェか?」

 ルフィは金塊を入れた袋を見て聞いてくる。

「そうでもないさ、こんなもんだ。さて帰ろうぜ。早く帰らないとナミに怒られる」

「ししし。そうだな」

 話しながら獣体型に変身する。ベラミーの下っ端達は怖くて近付く事も出来ないみたいだ。


「よしっ、寄り道しないで帰るぞ」

「まだ時間あるしヘラクレス捕って行こうぜ!」

「お前は捕り始めたら終わらないだろ!却下」

「ちぇー」

 口を尖らせながら不満を漏らすルフィ。お前がしても可愛くないぞ。

「ほら、早く乗れ。ちゃんと捕まっとけよ」

「ブーブー」

 まだ何か言いながらも飛び乗るルフィ。


 こうしてベラミーをきっちりぶっ飛ばして土産も貰った。成果は十分だな。俺はルフィを乗せ、
 来た道を再び駆けて行く。





  〜〜ナミside〜〜


 ルフィ達は出てから一時間ほどで戻って来た。まァラーズに乗れば速いだろうけど…速すぎじゃない?
 それに明らかに荷物が多い気が…

「ただいまー」

「まだ時間あるよな!?ヘラクレス捕ってくる!」

 喋るヒマもないままルフィは森の中に消えていった。


「…帰りには捕るなって言ったが、戻ってから捕りに行くのは考えてなかった」

「まぁ出航まで時間はるし、それまでに戻って来てくれたらいいわ。それより」

 話しながらラーズの担いでる荷物を見る。


「その中身は何?金塊にしては多すぎじゃない?」

「あぁこれ?そりゃ多いさ。アイツ等クリケットさんの家も壊したし、俺達のメリー号も壊してくれやがったからな。
 その分の修理代を貰ってきた。もちろんベラミーって奴はルフィが殴り倒してたぞ」

 …ラーズに一緒に行って貰って正解だったかもね。

「勿論俺達の分まで気持ち多めに頂いてきた」


「…ねぇラーズ。最近アンタ腹黒くない?」

「なっ!?失礼な!俺は一味の財政事情も考えての行動だったというのに!ナミはそんな目で俺を見てたのか!?
 ……もう生きていけない」

「うっ」

 言い過ぎたかしら?確かに私が言われたら嫌かも…

「いいんだ、俺なんて所詮尻尾も戻せないダメな海賊だよ。一味でのポジションも無い、情けない男さ…」

 ラーズはすっかり落ち込んで地面に「の」を指で書いていた。尻尾も全部地面にぺたーんってなってる。


「ちょ、ちょっと…そんなに落ち込まないでよ」

「どうせ俺なんて海賊から金品を強奪する様な最低野郎さ。そうだ、村に戻ってみかんの守り神になろう…」

 あっ、金品強奪は認めるのね…ってそれはともかく、

「もう!分かったから元に戻ってよ!!」

「ウソップですら狙撃手なんてポジションがあるのに…俺は要らない子なんだ」

 ダメね。全然治らないわ!


「さっきのは謝るから!お詫びにラーズの言う事ちゃんと聞くから!」
「ホントか!?」

 ラーズは一瞬で目の前に立っていた…だからこんな事でそんな技使わないでよ。
 しかも何か目が輝いてない!?


「ホントに言う事聞いてくれるのか!?のか!?」

「ちょっと!近い近い!」

 離れようとしてもがっちり肩を押さえられてるので動けない。

「どうなんだ?ナミ!?ナミ!?」

「聞くから!ちゃんと言う事聞くから!」

 ラーズの顔がホントに近い!鼻が当たりそう!!顔が熱くなるのが自分でも分かる。


「やったーー!!!」

 その原因はいつの間にかピョンピョン跳ねて喜んでいた…一体何を命令してくるの!?

「じゃあさ…」

「う、うん」

「今度時間が出来たら…」

「……」

 ラーズの顔が真面目になってる。何を言われるのか凄くドキドキする。





  「膝枕をしてくれ!!」





「……え?」

 何?膝枕?見るとラーズは頭を下げている。

「…それでいいの?」

「あァ!膝枕してくれたらそれでいい!」

 顔を上げたラーズはものっっ凄い笑顔だった。そんなにして欲しかったのかしら?


「今すぐじゃなくていいぞ!これから空島に行くんだし、落ち着いてからだな!!」

「う、うん。分かったわ」

「ひゃっほーーーう!!!」

 ラーズは喜びのあまり空に跳ね上がって行った…よっぽど嬉しかったのね。尻尾ブンブン振り回してるし。
 …あの衝撃波みたいなの出さないでね。



「何かあったの?」

 ラーズをボーっと見上げていると、いつの間にかロビンが近くに来ていた。

「ラーズが海賊討伐の帰りに金品強奪してきたんだって」

「相手が海賊ならいいんじゃない?あのお猿さん達の分もあるんでしょう?」

「それはそうなんだけど…」



「…私が航海士さんの代わりに膝枕してあげようかしら?」

「ロビン!聞いてたの!?」

「ラーズがあんな大声で叫んでたから全員聞こえてるわよ。ほら、コックさんはショックで倒れてるし」

 言いながらロビンの指差す方向を向くと、確かにサンジ君が地面に転がっていた。

「理解してくれた?」

「ラーズに膝枕は私がするの!!」

 思わず大声で叫んでしまった。視界の隅でサンジ君が吐血してた様な気がするけど気にしてられない!
 ロビンは隙があったらラーズを奪いに来る気だわ!油断してられない!!


「そう、ならいいんだけど」


 意外にもロビンはあっさり引いていった…何か怪しいわね。とにかく注意しておかないと。
 絶対にラーズは渡さないんだから!!




















「兄さんはホントにモテますね」

「ああ。しかも最近ロビンがぐいぐい来てるからな。ナミも負けてられないだろうし」

「自慢の兄さんです!」

「……そうだなァ」

 ビビと話していたウソップは、どこか遠くを見ていた…







「うわぁ!サンジしっかりしろ!誰かにやられたのか!?」

「チョッパー…おれは…もう…駄目だ…」

「口から血が出てる!!医者!医者〜〜!?」

 サンジとチョッパーは隅の方でコントの練習をしていた。







「アイツら揃いも揃ってアホばっかりだな…やれやれ」

 一味唯一のまともな神経のゾロはその光景に溜息をついていた。



 こうしている間にもメリー号はきっちり修復・強化されていた。

 間もなく夜が明ける…


-60-
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