小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>




麦わらの一味は黄金探索チームと船内待機チームに分かれたのだが、それぞれを覗いてみよう。





  〜〜黄金探索チーム〜〜



「おいゾロ!何でお前はそっちに行ってんだよ!?方向音痴にも程があるぞ!」

「お前は人の話を聞けよ。”ドクロの右目”ならこっちだろうが」

 ルフィとゾロは早速進路について議論している…のだが、ルフィは西に、ゾロは東に進もうとしていた。
 彼等には方向感覚というものすら存在していないのだろう。

「船医さん、二人に「私達が向かっているのは南で方向はこっち」って伝えてきて貰える?」

「よしきた。でもあいつ等なんであんなに方向音痴なんだ?新しい病気なのか?」

「戦いに関しては凄いんだけど、その分他の事が抜け落ちるのかしら?」

 ロビンとチョッパー、ビビは二人を見ながら溜息をつく。こんな広い森ではぐれたらしばらく再会出来ないだろう。
 チョッパーが二人に説明をして、再び五人で遺跡に向かって進んで行く。



「しかし敵なんて出てこねェじゃねェか」

 ゾロが歩きながら愚痴る。彼の頭の中は戦う事しか無いのだ。

「ラーズが気をつけろって言ってたけど何も起こらねェぞ。あいつウソついたのか!?」

 ルフィはただ進むのがヒマなんだろう。

「兄さんはウソなんかつきません!!」

 尻尾付きの兄貴を庇うビビ。妹として、ラーズをバカにされるのは気に入らないのだ。

「私もまだ警戒してた方がいいと思うけど」

 冷静なロビン。この一味に彼女は欠かせない存在だろう。

「おれもラーズを信じるぞ!」

 ラーズ大好きチョッパー。普段から自分の面倒を見てくれるラーズを、チョッパーは尊敬している。
 能力者としても、常に尻尾が出ていて変な目で見られているラーズに親近感を抱くのも無理はない。


 五人が話していると、遠くから何かが聞こえてきた。


「………ェ〜〜」


「何か聞こえなかった?」

「あん?」
「ん?」
「いえ…」
「??」

 ロビンの問いかけに四人は不思議そうな顔をしている。何も聞き取れなかったのだろう。


「…メェ〜〜」


「ほら」「確かに」「なんだ!?」「鳴き声?」「やぎ?」

 今度は少し遠いが確かに聞こえてきた。こんな森にやぎがいるのだろうか?五人は声の聞こえた方を向く。
 すると森の奥から人影が現れた。
 頭に二本の角を生やし、背中には羽があり、白い装束の様なものを来た「人間」。
 スカイピアの神兵である。


「貴様等が青海人か!我等が神・エネルの命により貴様等を裁きに参上した!私だけではない。島には精鋭の
 神兵50名が散らばっている!逃げ場はないと思え!」

 
「敵だな」

 さっそくゾロが戦闘態勢に入る。

「待てゾロ!最初はおれだ!」

 ルフィは言いながらすでに腕を後ろに伸ばしていた。さっきまでヒマだった分、ストレスが溜まっていたのか?

「ゴムゴムの銃ゥ!」

「!!!?」

 神兵の腹にルフィの拳が突き刺さり、森の奥へと吹き飛んでいく。神兵は一瞬で見えなくなった。


「ったく、やぎかと期待させやがって」

 どうやらやぎに期待していたらしい。ルフィの頭の中は一生かかっても理解出来そうにない。

「なんだ雑魚ばっかりなのか?面白くねェな」

「でも他にも50人くらいいるらしいわよ?」

 物足りなさそうなゾロをなだめるロビン。
  
「みんながいるなら怖くないな!」

「そうね。このメンバーなら何が来ても平気ね!」

 チョッパーとビビは少し安心していた。ラーズには気をつける様に言われていたが、少しずつ緊張が
 抜けていっていた。


 そんな五人の前に突如大きな壁の様なものが見えてきた……模様のついてる大きな動く壁が。








  〜〜船内待機チーム〜〜



 こちらは待機という事で、比較的のんびりしてるみたいだ。各々好きな事をやっている。

「ウソップ〜、ちょっといいか?」

「どーした?」

 船内で何やら作業をしているウソップにラーズが話しかけている。

「今ビビの武器を考えてたんだ。アイツもこれから強くなって貰わないといけないからな」

「へェ、どんなのなんだ?」

「折角空島に来たんだから”貝”を使った物にしてみようかと。考えてるのは−−−」

「ふむふむ−−−−」

 ラーズはビビの新しい武器を考案している様だ。ウソップがラーズの考えを聞いている。


「なるほど…確かにそれならビビでも楽に使えるな。けど接近戦用でいいのか?」

「遠距離用にいい貝があればいいんだけどな。ひとまず頭の中にでも入れといてくれ」

「了解。まァまずはおれのパチンコの改良からだな」

 ラーズはどんな武器を考えているのだろうか?



「はぁ〜早く黄金持ってきてくれないかしら?」

 ナミは船内でベッドに横になり、リラックス全開している。彼女は島に入るなんて危険は冒さない。
 いつだって自分優先なのだ。


「……膝枕、か」

 そして思い出すのは昨日のラーズとのやりとり。ラーズとナミ。二人は恋人同士であるが、常にイチャイチャしてる
 訳ではない。ドラム島でキスはしたが、それ以降はそんなに進展がないのである。
 ナミは今まで膝枕などしてあげた事が無いので、まだ恥ずかしいのだ。立派な乙女である。
 
「恥ずかしいけど、ロビンに負ける訳にはいかないわ」

 そんな事を考えながらベッドの上で、顔を赤くしながら転がっていた。



「ふっ…はっ…ふん!」

 一方船の後方で何やら怪しい声が聞こえると思ったら、サンジが蹴りの練習をしていた。
 あまり人に(特にラーズに)鍛錬をしてる所を見られたくないのか、見つからない様に一人黙々とやっていた。


「片足に重心を置いて回転して……」

 どうやら新しい必殺技を考えている様だ。


 アラバスタでは、ラーズと特訓していたメンバーはほとんど無傷で敵を倒す程強くなっていた。
 だがサンジは、それでもラーズと特訓しようとはしなかった。嫌いな訳ではない。むしろ一味の中心的人物として
 認めてすらいる。だが、男としてのプライドがサンジにはある。自分だけの努力でラーズを、ライバルを
 超える為に日々頑張っているのだ。
 良くも悪くも、ラーズの影響で一味は更に強くなっていくだろう。




「しっかしヒマだなおい」

 ウソップが甲板で釣り糸を垂らしながら話す。

「敵が押し寄せてきて大乱闘になるよりマシだと思うぞ」

 同じく釣り糸を垂らしているラーズ。二人は武器の改良に区切りをつけ、釣りをしている。

「そうよ、戦いなんてゴメンだわ。さっさと黄金持ってきてこんな島からおさらばするのよ!」

 近くでのんびりしているナミ。

「ナミさ〜ん、お茶の準備が出来たよ〜う」

 ナミの前では相変わらずのサンジ。先程まで黙々と鍛錬をしていた彼と同一人物とはとても思えない。



 
 こうして平和に過ごしていた待機チームだが、その平和を打ち砕く一人の人物が船にやってきた。





「ヤハハハハ。初めまして青海人の諸君」








  〜〜ウソップside〜〜


 ラーズとのんびり釣りしてたらいきなり声が聞こえてきた。

「ヤハハハハ。初めまして青海人の諸君」


 声のした方を向いてみると……変態がいた。
 頭にキャップをかぶり、上半身は裸で、何故か背中に太鼓を背負ってる変態が。

「誰だテメエ?」

 サンジが警戒している。が、変態の顔は笑ったままだ。そんなに余裕あんのか?

「私はエネル。人々からは”神”と呼ばれている」

 この変態がエネル!?いきなりボスの登場かよ!?まさかいきなり船に現れるなんて…
 つーか何で空島の人間はこんな変態を神なんて言ってやがんだ?空で一番の変態なのか?

「いつの間に船まで来たの!?」

 変態がエネルと分かったナミはラーズの後ろに隠れていた。確かに、おれもいつエネルが船に来たのか
 全く気付かなかった。コイツもラーズ並に速いのか?


「分からないのも無理はない。神の事を人間が理解出来るハズがないからな…それより」

 エネルはラーズの方を見ている。

「そこの青海人。お前がシュラを倒した様だな」

「シュラ?鳥とセットの奴なら俺が倒したぞ」

 ラーズは敵の名前も覚えてないのかよ!?

「私はお前に興味があってな。あれでもシュラは五本の指に入る実力者なのだがあっさり負けた様だな。
 その実力、是非ともこの目で見ておきたい」

 そんなに強いのをあっさり倒すなよ。相変わらずの規格外っぷりだな。

「やっぱり分かってたか…んじゃ俺が相手するよ。実力が気になるんだろ?」

「話が早いな」

「とりあえず船から降りていいか?アンタの力で船を壊されたら帰れなくなるからな」

「ヤハハハハ!帰りの心配をするとはますます面白い!その提案受けようではないか」

 ラーズの奴大丈夫なのかよ?いくらお前が強くても、相手は神を名乗る奴だぞ?


「おいラーズ。大丈夫なのか?」

 サンジも同じ事を考えてるんだろうな。コイツはやばいとおれの勘も警報を鳴らしてるし。

「まァ頑張ってくるさ。それより俺がいない間も攻撃があるかもしれないから、ウソップと一緒にココを頼むぞ」

「……分かった、こっちは任せろ」

 多分、このエネルって奴は強い。おれ達が今まで会った中でも最強クラスで。多分おれやサンジが一緒に行っても
 すぐにやられるくらい強い。ついて行っても足手まといになるだけだ。サンジもラーズの真剣さを感じたのか、
 決意を込めた返事をしていた。

「ラーズ、頼んだぞ」

「ナミと船はよろしくな」

 ラーズは案外平気そうな顔をしているけど、おれ達を心配させない様にしてるんだな。


「ラーズ……」

 ナミも心配なんだろう。得体の知れない相手だし、仮にも神を名乗ってる奴が相手なんだから。

「心配すんな。ちゃんと戻ってくるさ」

 そう言ってラーズはナミの頭を撫でている。



「準備はいいか?青海人よ」

「オッケー。ひとまず移動しよう。どこか適当に行くけど、アンタの速さなら問題ないだろ?」

「問題ないな」

「ならついてきてくれ」

 そう言ってラーズは船を降りて行った。見るとエネルもいつの間にか船を降りていた。何て速さだよ。
 でもエネルの方から一瞬何か音が聞こえた様な…今のは何だったんだ?


 二人の姿は直ぐに見えなくなった。ラーズ…必ず帰って来いよ!

 


 だけど、ラーズを心配している時間はそんなに長くなかった。
 おれ達にも、新しい危険が迫ってきていた。




-67-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




Portrait.Of.Pirates ワンピースシリーズ NEO-DX キラー
新品 \5290
中古 \5000
(参考価格:\7560)