小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ロビンside〜〜


 しばらく遺跡に向かっていると、なにやら気になるモノを見つけた。
 …これは「都市」そのものの「慰霊碑」ね。どうやらこの都市が滅んだ後に子孫が建てたみたい。



 「シャンドラ」



 これがこの都市の名前。
 いまから1100年前以上も前から都市は栄え、滅んだのは…800年前。
 世界中のどこにも残ってない”空白の100年”にあてはまる…もしかしてこの島は…

「これが「シャンドラ」の全図…都心部に行けばもっと何か分かるかしら」

 ここなら”語られぬ歴史”の手がかりがあるかもしれない。


 そうして調べていると、後ろから物音がした。

「誰!?」

「これは可愛いお嬢さん…メェ〜〜!!」

 見ると、大きな体格の神兵さんがいた。

「”神”エネルの名の下に、排除させて貰う!」

 そういっていかいなり飛び掛ってきた。こんな体格なのに動きは素早いのね。

「腹部満点(ストマックマウンテン)!」

「くっ!」

 なんとか攻撃は避けれるけど…このままじゃ遺跡が壊れてしまう!

「二十輪咲き(ベインテフルーレ)、カンデュラ!」

 おバカさんを手から多数の腕を生やして防ごうとするが、この巨体を止めるのは厳しいわね。腕が軋む。
 勢いを殺しきれずに後ろに飛ばされた。


「ン〜〜フフフ、メ〜〜ェ。いつまでこんな枯れた都市を庇い続ける気かね?」

「…アナタは先人の足跡を尊ぶ気持ちが全くない様ね」

「私は過去にこだわらない質なのだ!!」

 こんな人がいるから歴史がどんどん闇に葬られていくのね。

「愚か者は決まってそう言うわ」

「カッチーン!ならば守ってみせよ!」

 ひとまず遺跡のない場所に移動しなくちゃ…このおバカさんにメチャクチャにされてしまうわ。
 そうして移動しようとしていると、



「ロビ〜〜ン!!」



 私を呼ぶ声が聞こえてきた。この声は!


「船長さん!」

 船長さんが飛んで来た。

「ロビン!大丈夫か!」

 二人の間に船長さんが割り込んできた。どうやってココが分かったのかしら?


「またやぎの声が聞こえたから急いで来たんだ。でもコイツデカイなぁ。やっつけていいのか?」

「全力でやっちゃって」

 大事な遺跡を壊そうとするなんて、手加減は必要ないわ。

「メ〜〜。また一人増えたみたいだが、私に勝てるかな?」

「うるせえ!仲間を傷つけやがって!」

 !!…船長さんも私も仲間としてちゃんと見てくれてたのね。やっぱりこの一味は素敵だわ。


「行くぞ!ギア”2”!」


 船長さんはいきなり体から煙を出し始めた。すると船長さんは一瞬で視界から消えた。彼もラーズみたいに
 速く動けるのね。

「ゴムゴムのJETバズーカ!!」

「!!?」

 船長さんはおバカさんの懐に飛び込み、強烈一撃を喰らわせて、そのまま空に吹き飛ばした。
 …あの勢いだと、どこまで飛んで行ったのかしらね?


「ふぅ。ロビン、ケガはないか?」

「船長さんか駆けつけてくれたから大した事はないわ」

「そっか…良かった!にししし」

 そうして船長さんは笑っていた。だけど、こんな素敵な一味だからこそ私の事情に巻き込みたくはない。
 この優しさが…少し胸に響く。

「このまま進めば遺跡に着くとは思うのだけど…一緒に行く?」

「おう!」

 そうして船長さんと二人で森の中に進んでいく。


 しばらく歩いていると、段々と遺跡らしきモノが見えてきた。蔓も近いしこの辺りで間違い無さそうね。

「どうやら目的地に着いたみたいだけど…船長さんはどうするの?」

「この辺で敵を探してくる!さっきからニセやぎばっかで面白くねェんだ!」


 そう言って船長さんはどこかに歩いて行った。私もこの辺りを調べるとしましょうか。





  〜〜チョッパーside〜〜


 おれとビビ、ゾロはノラに乗って順調に進んで行き、大きな蔓の近くに着いた。

「ありがとなノラ!きっと遺跡は探してみるぜ!」

「ありがとね!」

「ジュラララ〜〜」

 ノラは返事をして少し離れた場所に移動して行った。

「なんか古い建物が沢山あるけど…コレは何なんでしょうね?」

「おれにはさっぱりだな!」

 ビビと会話しながらゾロを見ると、いつの間にか近くから居なくなっていた。

「…まさかココから更に迷子なんてなるわけないよね?」

「いくらゾロでもそんな事はないだろ」


「「……」」


 でも、ゾロはおれ達の視界にはいなかった。アイツ何でおれ達から消えてんだ!?わざとか!?

「…落ち着いたら方向音痴の研究もしないと。そんな医学書あるかな?」

 おれの医学はまだまだ万能じゃないからな!ゾロの病気もいつか治してやるぞ!

 そんな事を考えていると、何か見つけた…あれは?





  
  〜〜ゾロside〜〜



「しっかし敵なんてなかなかいねェもんだな」



 チョッパー達と別れて歩いていると、建物の上で胡坐かいてる奴をみつけた。


「おれの名前はオーム…おれは今、人間の脆さを憂いている」

 スキンヘッドのグラサンは顔に手を当てている…アイツ泣いてんのか?

「とかく儚い命と知りながら、なぜ人はまた戦い朽ちるのか」

 コイツ何語ってやがんだ?馬鹿なのか?



「…ここへ何をしに来た?」

 そんなもん一つしかねェだろ。

「強い奴と戦う。ただそれだけだ」

「そうか…貴様もまた、戦士の様だな」

「お生憎様、おれは剣士だ」

「それは失礼した。では行くぞ!青海の剣士!」

 そう言ってスキンヘッドは剣を構えている。その距離で届くと思ってんのか?

「私の刀は””鉄雲”で出来ている。つまりこの刀は…どこまでも敵を追う!」

 そうしてグラサンは刀をこっちに伸ばしてきた!何とか受け止めたが、この堅さ…厄介な武器だな。
 ラーズの言うとおりなら隠れても意味はねェみたいだし、どうしたものか。

「つまりは…鉄並の堅さを持つ鞭みたいなもんだな」

 またまた厄介な奴が出て来たもんだ。だがおれはコイツを倒せたら更に高みに昇れる!
 おれはこんな奴を待ってたんだよ!


 とりあえず一旦距離を置こうと壁に隠れてみたが、

「鉄の鞭(アイゼンウィップ)!」

 壁を破壊しておれの隠れてる場所に的確に攻撃してきやがった!やっぱり”心網”ってヤツは居場所も分かるみてェだな。

「鷹…波!」

「無駄だ!鉄の堤防(アイゼンバック)!

 俺の斬撃は、壁の形に変形した鉄の雲に阻まれた。アイツの剣は壁にもなるのかよ!?

 衝撃で後退してしまう。ちっ、何て厄介なんだ!?

「この剣は”鉄雲”。形など自由に変えれるのだ」


 なるほどねェ。それで伸びたりしてる訳か。面倒臭い野郎だ。
 だが…おれはこんな事で止まってる訳には行かねェ。こんな奴に梃子摺ってる様じゃまだまだダメだ!
 にしてもラーズの言った通りだな。さっきからおれの攻撃を読めてるみたいだし。
 今の所なんとか紙一重でよけているが、少しずつ傷が増えてきやがった。こうなったら!

「三十六煩悩鳳(ポンドほう)!」
「鉄の鞭!」

 おれの飛ぶ斬撃とグラサンの攻撃がぶつかったが…おれの斬撃は弾き飛ばされた!
 グラサンの斬撃はそのままこっちに向かってくる。ヤバイ!
 
「ちぃ!!」

 その場から離れ、直撃をさける。

「飛ぶ斬撃とは…面白い技だな。しかし私には通用しない」

「どうやらそうみたいだな…だがおかげでテメエの倒し方が分かったぜ」

 遺跡の壁を間に挟んで会話をする。

「…私の剣はすでにお前の心臓に狙いを定めた。最早逃げる術はない」

「なら狙ってこいよ。その言葉後悔させてやるぜ」

「ならば後悔させてみよ!鉄の鞭!」

 グラサンの攻撃が壁を壊してくる。って事はテメエはこの攻撃の軌道上にいるんだろ!!


「三刀流…百八煩悩鳳!!」

「!!?」

 おれの斬撃はグラサンの剣を弾き飛ばしてそのままグラサンを斬り裂いた。
 やっぱ三刀流だと威力も違うな。若干タメが必要なのが弱点だが、これもまた鍛錬して改善しねェといけないな。
 剣を納めて一息つく。


「しかしチョッパーとビビはどこ行っちまったんだ?団体行動の出来ない奴等だな」

 おれの事を方向音痴呼ばわりするクセに、テメエ等が迷子になってりゃ世話ないぜ。



「ゾローー!」
「Mr・ブシドー!」


 声の方を向くと、二人がいた…今度は大きな犬に乗って。コイツ等さっきから何やってやがんだ?

「勝手に消えないで!探すの大変なんだから!」

 ビビが何だか怒ってやがる。何かあったのか?

「ゾロ。お前の方向音痴は病気だ。一回詳しく調べてみよう」

「失礼な事言うなァ!…それよりその犬は何だ?」

「コイツはホーリーってんだ!言う事何でも聞くし二足歩行も出来るんだぞ。なっ?」

「ワン!」

 チョッパーが犬に話しかけると、犬は元気に返事をした。
 さっきの蛇と言い、この犬と言いチョッパーは便利なヤツだな。どうやって従えてんだ? 

「それよりこっちから音が聞こえてたんだけど、戦ってたの?」

「あァ、それなりに強かったがきっちり倒したぞ」

 この島でようやくまともな戦いが出来たからな。けっこう満足だ。ただ…コイツ等みたいなのを従えてるエネルって奴は
 どれだけ強いんだ?会う事があったら是非とも相手してみたいぜ。


「なら後はロビンさんとルフィさんね…しばらく待っておきましょうか」

「そうだな!おれはホーリーと遊んでおくぞ!行くぞホーリー!」

「ワン!!」

 そうしてチョッパーは犬に乗って散歩に出掛けて行った…全く暢気なもんだな。

 一方ビビは何か気になる事があるのか、辺りの建物を見回していた。


「何かあったのか?」

「いいえ、ただ何となくアラバスタの葬祭殿にあった模様とかと似てるなと思って」


 歴史なんてもんはおれの専門外だ。さっぱり分からねェし、休憩しとくとするか。
 しかしこの雲寝心地が良さそうだな。

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