小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ナミside〜〜


 船でラーズを待っていると、森から巨大な爆発音が聞こえた。その衝撃は大気を震わせて私達にまで伝わっていた。
 今のは何!?今までで一番大きな爆発音。森の方を見ると、煙が立ち昇っていた。

「今のは…ラーズか?それともエネルか?」

 ウソップも驚いている。ローグタウンの時より遥かに大きい爆発。一体森で何があってるの!?

「きっとアイツだよ」

 サンジ君はラーズが勝つ事を信じているみたい。


「相手は神かもしれねェが、アイツにはスペシャルな女神様がついてるからな」


 そう言って私を見た後、森を見ていた。

「しかし、ラーズは船を離れて正解だったな。さっきの爆発がこの辺で起こってたら、今ごろメリー号は
 跡形も無くなってたかもしれねェな」

 ラーズも分かってたんでしょうね。そうしてしばらく三人で森を眺めていると、人影が現れた。


 
 私達を信じてくれていたラーズが戻ってきた。


「ラーズ!!」


 急いで船を降りて駆け寄る。少しでも早く近くに行きたかった。

「ただいま」

 やっぱりラーズは笑っていた。でも体には傷が沢山ある。特に左腕全体に火傷の様な痕があり、疲れた顔をしている。


「おかえり」


 私は精一杯の笑顔でラーズを迎え、優しく抱きついた。

「また…心配させちゃった?」

 ラーズはちょっと申し訳無さそうな顔をしている。

「少しだけね。でも、私はラーズを信じてたからいいの」

 そう言うと、ラーズは優しく頭を撫でてくれた。心が落ち着くのが分かる。

「そっか。ありがとな」

 見上げると、そこには笑顔があった。私の大好きな人のとびっきりの笑顔が。





「……あのー。いい雰囲気のとこ非常に申し訳ないんだが、そろそろいいか?」

 後ろから来ていたウソップが声をかけてくる。二人の事をすっかり忘れていたわ。
 何だか恥ずかしくなってラーズから離れる。

「お前が戻って来たって事ァ勿論勝ったんだよな?」

 サンジ君がラーズに尋ねる。

「あァ、何とかな。流石に無傷とはいかなかったけど。やっぱ雷人間は強かったよ。出来ればもう戦いたくないね」

「その腕大丈夫なのか?」

「痛いけど一応動くし、しばらくしたら治るだろ」

「さっきの爆発はどっちだったんだ?」

「俺の技。予想より威力があったから少し焦ったけど、おかげで倒せたしな」

「そうか」


 そうしてラーズがエネルから聞いた事を話した。どうやら敵は全滅したみたいね。なら、後は黄金よ!!

「もう船を守る必要はないし、おれ達も遺跡に行ってみるか」

 ウソップの提案に私達は賛成した。そして森に向かおうとすると、ラーズが急に崩れ落ちた。

「ラーズ!?」

 慌てて近付く。

「ん〜さっきの戦いで限界だったみたい。体が動かない」

 やっぱり凄い戦いだったのね。ラーズがこんなになるなんて最近無かったし。
 すると、それを見ていたサンジ君がラーズを背負い始めた。

「ったく、しょうがねェな。今回だけだぞ」

 ラーズはそんなサンジ君の行動に少し驚いていたけど、直ぐに笑い始めた。

「サンキュー。マジで助かる。遺跡までよろしくな」


 そうして四人で遺跡に向かって進んで行った。






  〜〜ラーズside〜〜


 サンジに背負われながら、しばらく森を歩いているとようやく遺跡に着いた。四人で辺りを眺めていると、ウソップが
 突然ある方向を指差して叫んだ。

「う、大蛇だーー!何だよあのサイズ!?冗談じゃねェぞ!!」

 見ると、確かに洒落にならないサイズの大蛇がウロウロしていた。エネルと戦ったばっかりだから、
 俺もまだ完全に回復していない。んーこりゃマズイかもな。

「ウソップ!代わりにラーズを背負え!おれが引きつける!!」

 そうして今度はウソップに背負われる。すると、大蛇がこっちに気付いたみたいだ。一気にこっちに
 近付いてくる。折角エネルを倒したのに勘弁してくれよ。

「きゃあーー!!」
「逃げるしかねェぞ!」

 ナミとウソップがあたふたしていると、大蛇はおれ達の前で動きを止めた。



「おーーいみんなー!!」



 なんと、大蛇の頭の上にチョッパーが居た。え〜っと、何が一体どうなってんだ?ついでに横には犬みたいなのもいるし。
 森の中で何があったんだ?

「「「チョッパー!?」」」

 みんな一様に驚いていた。勿論俺も。

「コイツはノラってんだ!んで横にいるのはホーリー!おれの友達なんだ!」

「ジュラララ〜!」
「ワン!」

 大蛇と犬は返事をした。まァ敵じゃないならいいか。流石に今の状態じゃとても勝てそうにないし。



 おれ達はチョッパー達と遺跡の中心辺りに行くと、探索チームが揃っていた。

「ラーズ!大丈夫か!?」
「アナタが背負われてるなんて珍しいわね」
「兄さんどうしたんですかその腕!?」

 それぞれ色々言ってくる。みんなの近くで降ろして貰い、座って話す。


「さっきまでエネルと戦ってたんだよ。流石に自然系の雷人間は強かったからな」

 俺の言葉をルフィとビビはあんまり理解してないみたいだな。ロビンだけが驚いた顔をしている。

「自然系でしかも雷って…よくそんなのを倒せたわね」

「まァ何とかね。海軍の大将達みたいに洗練されてなかったからどうにかってとこだよ」

「さっきの大爆発は?」

「俺の技。まァエネルの攻撃は全部強烈だったからかなり騒がしかっただろうけど」

「その腕はその時の?」

「あァ、無傷って訳にはいかなかったからな。あっ、そうだビビ」

 思い出した様にビビを呼ぶ。

「どうしました?」

「後で笛吹いて鎧の爺さん呼んでくれないか?とりあえず神は倒したからもう心配ないって伝えないとな」 

「そういえば笛の事すっかり忘れてました」

 んで、俺はココに来た時から気になってたんだが…


「ゾロはどこに行ったんだ?もしかしてまた迷子か?」

「Mr・ブシドーなら今下に向かって雲を斬ってますよ」

 ビビが答える。そーいやこの辺は何でか島雲があるな。でもそんなもん斬って何してんだ?

「どうやらココの下が嘗ての黄金都市みたいなの。でも、軽く探索したけど黄金はなかったわ」

 なるほどね。そういう事だったのか。

「黄金なら大丈夫だ。エネルが場所を教えてくれたからな」

「本当!?」

 ナミがどっかから飛んできて叫んだ…また目がベリーになってるぞ。

「昔あった場所から移動させたらしいからな。探しても見つからなかったんだろう」

「早く!早く探しましょう!私の黄金!!私の金塊!!」

 ……アーロンのせいですっかり金の亡者になってしまったみたいだ。助けるの遅くなったから
 こうなってしまったんだな。ごめんよナミ。心の中で謝っておく。

「もう少しだけ待ってくれ。俺も体力が持たない」

「あっ…そうね。黄金は逃げないし」

 ナミも落ち着いてくれたみたいだな。隣に座ってくる。





「…これで空島の冒険もひとまず落ち着いたな」

「そうね。ココに来てからは驚きの連続だったけど」

「まァな。雲に船は浮かぶし空の人は羽生えてるし、神はいるし」

「アンタがエネルと戦ってる時に船にも敵が来たのよ。みんなで倒したけど」

「さすがだな」


 そうして話していると、段々と眠くなってきた。エネルとの戦いで全力出したからなァ。

「ナミ、ちょっと寝ていいか?」

「疲れてるなら寝なさいよ。ゾロもまだ時間かかりそうだし」

「んじゃ失礼する」

 そう言ってそのまま寝ようとしたら、突然ナミに頭を押さえられ……膝枕してもらった。

「や、約束だったでしょ?」

 見上げるとナミは少し顔を赤くしながらも笑っていた。


「…自分でして欲しいなんて言ったけど、なんか恥ずかしいな」

「私だって恥ずかしいわよ」

 俺の頭はナミの太ももの上にあるのだが…ナミはショートパンツのため、生太ももに頭を乗っけてるのだ。
 なんか柔らかいし気持ちいいし。なんて素敵なんだ!

「…最高だ」

「変な事言ってないで早く寝なさいよ」

 ナミは俺の頭を撫で始めた。あァ、落ち着くなァ。俺の意識は少しずつ薄れていった。




「お疲れ様」




 眠る直前に聞こえたのは、ナミの優しい声だった。

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