小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ナミside〜〜


 ラーズは私の膝ですやすや眠っている。そういえばこうやって寝顔を見るのも久し振りね。ドラム島の時は
 重体だったし。

「それにしても、気持ち良さそうな顔してるわね」

 ラーズの頭を撫でながら静かに呟く。口が半開きになってて何だか間抜けね。尻尾も寝てる間は動かないみたい。
 普段とのギャップが何だか可笑しくて、少し笑ってしまう。


 改めてラーズの体を見てみると、色んなとこに傷跡がある。左腕の火傷はローグタウンの時。右肩の銃創は
 アーロンと戦った時。他にも私の知らない切り傷とかがあちこちにある。


「沢山……沢山頑張ってきたのね」


 私の知らない八年の間、ラーズは海軍として必死にやってたんだろうな。昔は真っ黒だった髪は真っ白に
 変わっちゃったし、尻尾を生やして帰ってくるし、凄く強くなって私を救ってくれたし。



「ベルメールさん……私は今、幸せだよ」



 昔に失った、大切な私のお母さん。でも、その心の隙間を埋めてくれる様に私に愛情を注いでくれるラーズ。
 どんな時だって私に笑顔を向けてくれる。
 変なとこは沢山あるし、呆れる事もあるけど、そんなラーズが私は


「大好きよ」


 ラーズの頬に手を当てながら、眠るラーズに笑顔で言葉をかけた。






  〜〜ビビside〜〜



 兄さんに言われた通り、笛を吹くとお爺さんが空から飛んできた。別にピンチでもなくみんなのんびりしてたので、
 お爺さんは意外そうだった。

「何かあったのかね?」

「えぇ。私達が神兵とエネルを倒したので報告をしておこうと思って」

 そう言うとお爺さんは凄く驚いていた。

「なんと!あのエネルを倒したというのか!?」

「正確にはエネルを倒した人はあそこで寝てますけど」

 言いながら、離れてナミさんの膝で寝てる兄さんを指差す。近くにいたら起こしちゃうかもしれないしね。
 今は二人きりにしてあげましょ。


「あの尻尾の青年か…まさか本当にエネルを倒してしまうとは。信じられん」

 兄さんはお爺さんと何かエネルの話をしてたのかな?

「なので、空島の人達にそれを伝えて欲しいんです。もう神はいないって」

「そうか…君達には感謝してもしきれんな。彼が起きたら改めて礼を言わせて貰おう」

 多分本人はあんまり気にしてないでしょうけどね。アラバスタの時もそんな感じだったし。


「それでは宜しくお願いしますね」

「承った」

 そうしてお爺さんは空に飛んで行った。これで島の人達の事はオッケーね。次は…



「調子はどうですかー!?Mr・ブシドー!」

 さっきから一生懸命雲を斬り続けているMr・ブシドーに話しかける。

「もう少しってとこだ…なんせあの大蛇のサイズだからな。結構大変なんだよ。ラーズならあの炎でさっさと
 穴開けれそうなんだがな。アイツは何やってんだ?」

「兄さんなら疲れて寝てます。よっぽどキツかったんでしょうね」

「まァ仕方ねェか……おっとようやく底だ」

 どうやら下まで行ったみたいね。早速ノラに教えてあげなきゃ!


「ノラーー!!下に行けるわよー!」

「ジュラ!?」

 ノラを呼ぶと、嬉しそうに近寄ってきた。トニー君もまた乗ってたのね。

「ココから下に行けるわ。一緒に行きましょう!」

「ジュララーー!!」

 そうしてノラの頭に乗って下に向かって進んでみると…そこには壮大な都市の名残があった。

「凄い…」

 こっちが圧倒されそうなくらい。トニー君も目が輝いてるわね。

「うおーー!」

 それで肝心のノラは、辺りを見回した後に、


「ジュララララーー!!!」


 泣きながら大きな声で叫んでいた。

「やっぱココがノラの故郷だったみたいだ」

「そっか…良かったわね、ノラ」

「ジュラーー!!」

 それにしてもこの遺跡のどこに黄金があるのかしら?ロビンさんも詳しくは調べてないみたいだし、兄さんが
 起きてからね。








  〜〜ラーズside〜〜


「ん……」

 頭に柔らかい感触がある。

「起きた?」

 目を開けるとナミが俺を見ていた。そういや念願の膝枕して貰ってたんだっけ。本当に気持ち良かったな。

「あァ。おかげさまでぐっすりだったよ」

「良かった」

 ナミは何だかニコニコしていた。こんなに機嫌良かったっけ?

「どれくらい寝てた?」

「う〜ん、大体二時間くらい?」

 そんなに寝てたのか。やっぱエネルとの戦いで疲労が溜まってたみたいだな。

「ありがとな」

「どういたしまして」

 こうして話しているが、俺の頭はまだナミの太ももの上にあるのだ。つまり、ナミを下から見上げている。


「…ナミ、前から気になってたんだが」

「ん?どうしたの?」

 俺は勇気を振り絞って聞く事にした。どうしても聞きたかったのだ。

「ココヤシ村で再会した時と比べて、随分と成長してないか?」

「そう?もうあまり身長は伸びてないと思うけど…」

 うん。身長はね。




「いや…その…胸が」


「!?」

 俺の言葉を聞いた瞬間ナミの顔が真っ赤になった。自分でも多少自覚はあったのか?でも明らかに大きく
 なってるよね?俺の目は誤魔化せないぞ。

「どこ見てんのよ!?」

「グェッ!?」

 目覚まし代わりに拳骨を喰らった。おかげで完全に目が覚めた。


「ハァ…折角膝枕してあげたのに。もうしてあげないわよ?」

 それは困る!!こんなに気持ちいいのに!

「変な事聞きました。ごめんなさい」

 素直に謝る。

「全く。ラーズも案外スケベなのね」

「否定はしない」

「少しは否定しなさいよ…」

 だってしょうがないじゃん!こんなに可愛くてスタイルも良くて文句なしの恋人なんだから。
 男は狼なんだよ!あっ、俺は狐だった。

「まァいいじゃん。別に困る事でもないし」

「そういう問題じゃないんだけど…」

「それに、俺がこんなになるのはナミだけだからな」

「それは褒め言葉として受け取っていいの?」

「勿論。大好きだぞ」

 そう言うとナミの顔がまた赤くなった。俺は感情を素直に伝えてるだけなんだがな。

「もう…いきなり言わないでよ。恥ずかしいじゃない」

「俺は恥ずかしくないからな」

「はいはい。ありがたく受け取っとくわ」

 そうして二人でのんびり話していた。




「…ラーズ。そろそろいいかしら?」

「ん?ロビン?もしかして待ってたのか?」

「私もそんなに野暮じゃないわよ」

 ロビンがそう言うと、ナミは少し照れた顔をしていた。ロビンが待ってたって事はしばらく見られてたって事だからな。


「少し聞きたい事があってね。この下の遺跡にトロッコの軌条があったの」

 トロッコの軌条?…なるほど。エネルが船に使った時に黄金を運び出した跡か。

「それと、大鐘楼なんだけど…多分空の上の島雲のどこかに残ってる可能性が高いわ。それで」

「俺に跳んで調べて欲しいって事だな。体力も戻ったし働くか」

 そうして起き上がる。大分動ける様になったな。ナミの太もも恐るべし。


「なら俺は空を調べてくる。ロビンとナミはトロッコの軌条を追ってみてくれないか?エネルの話だと、その先に
 洞窟があってそこに船があるらしい。その船に黄金が使われてるハズだ。黄金は取れるものは頂いていこう。
 取れないのは俺が後で焼き切って持って帰れる様にするから」

「分かったわ。それにしてもアナタの炎は不思議ね。自然系にも効果があるし、炎自体を色々操作出来るし」

「まァ代償にケツに尻尾が沢山ついてくるけどな」

「ふふっ、私はそれも素敵だと思うわ」

「そうか?まァ触り心地は自信あるが…」

 そうしてロビンと話しているとナミが割り込んできた。


「ちょっとロビン。私の前でラーズを口説こうなんていい根性してるわね」

「あら、そう見えた?」

「当たり前でしょ!まさか目の前で攻撃してくるなんて。でも負けないんだからね!」

 ナミはロビンを徹底的にマークしてるみたいだな。心配しなくても俺はナミ一筋なのに。


「なら行きましょう。空はお願いね」

「はいよ〜」

「ちょっとロビン聞いてるの!?」

 ナミとロビンはギャーギャー言いながらも下に向かって行った。相変わらずナミが熱く、ロビンがクールだが。
 





「ナミの太ももを堪能したラーズ。その興奮度は留まる事を知らない。二人は今後どこまで進むのか!?
 次回「ナミの服はいつも露出度が高い」。スーパー狙撃手に、おれはなる!!」




「……最近やってこないと思って油断してたよウソップ」

「はっはっはっ!戦場では一瞬の隙が死を招くのさ!」

「そうだよな…じゃあ試してみようぜ?」

「あん?ってレーザーは無しだ!待て待て待て!!」

「問答無用!!」

「ギャアァァーー!!疲れてるんなら大人しくしとけよ!」

「もう元気ハツラツだ!ヒャッハー!!」

「助けてくれーー!!」


 必死に逃げるウソップを笑いながら追いかける。アイツけっこう「剃」が速くなったなァ。


 結局、空島まで来てもやってる事は変わらない。


-75-
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