小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ウソップside〜〜


 いや〜危なかった。疲れてるラーズをからかおうとしたらあの野郎、完全に回復してやがった。昼寝程度で
 全快するなんて異常だぞ。ナミの太ももがそんなに良かったのか?下手したらあのレーザーで穴だらけに
 なるとこだったぜ。
 
 しかし、アイツあの後空に跳んで行ったけど何しに行ったんだ?空に何かあるのか?


「なァサンジ、アイツ何やってんだ?」

「おれも知らねェよ。ただロビンちゃんの指示らしいから黄金関連なんじゃねェの?」

 サンジも特にする事が無い様で、のんびりタバコを吸っている。おれは空を見上げていると、ラーズが何か
 雲に向かってやっていた。ん?アイツ雲にあの衝撃波撃ってねェか?雲刻んで何してんだ?


 そうして見ていると、小さくなった雲が下にゆっくり降りてきた。その雲の上には巨大な黄金の鐘があった。

「うおーー!!何だこりゃラーズ!?」

「こいつはデケェ…こんなモンがあったのか」

 高さ十メートルはあろうかという黄金の鐘。おやっさんが言ってた鐘はきっとコレだったんだ!


「ロビンの予想通り、空の島雲に乗っかってやがったからな。土台の雲を刻んで降ろしてきた」

 さっきの衝撃波はその為だったのか。しかし本当に便利なヤツだな。



 おれ達が黄金の鐘に見惚れていると、他のみんなも集まってきていた。

「すげーー!」
「デカイぞーー!」
「こりゃ驚いたな」
「素敵です!」
「やっぱり空にあったのね」
「私の黄金!!」

 それぞれ色々言っている…でもナミ。これはお前のじゃねェと思うぞ。


「ナミ、ロビン。そっちはどうだった?」

「ラーズの言うとおり、洞窟の中に船があったわ。けど取り出すのは難しそうだったから後でお願いね」

「沢山あったから限界まで持って帰りましょう!」

 他にも黄金があったみたいだな。


「はいよ、まァとりあえずこの鐘でも鳴らそうぜ。クリケットのおっさん達にも届くくらいで」

「そうだな!みんなで鳴らす準備しようぜ!!」

 ラーズの意見にルフィが乗っかる。みんなも賛成みたいだな。

 おれ達は全員で鎖を持って準備をする。ルフィの掛け声待ちだ。




「んじゃ行くぞーー!せーの!!」




 その合図と共に、全員で鎖を引っ張る。鐘は予想を遥かに超えた音を奏でた。とても澄み切った様な、とても
 美しい音を。今まで生きてきた中で、一番の音色だった。



「もっとだー!おっさん達に教えるんだ!『黄金郷』は!ココにあったんだって!!」



 ルフィの叫びにみんなが答え、鐘は鳴り続ける。その音の美しさに思わず涙が出そうになった。


「おやっさーーん!おれ達は見つけたぜーー!」


 おれも叫ぶ。感動しすぎて我慢してた涙も鼻水も出ちまってるが、そんな事気にしてらんねェ。
 全員で、力の限り鐘を鳴らし続けた。




「こんだけ鳴らせば、きっと届いただろ」

 ラーズの言葉を切欠に、一旦鐘を鳴らし終える。

「これだけ素敵な音ならきっと大丈夫よ」

 ナミの意見に賛成だ。おれ達の思いもおやっさんに届いただろう。







  〜〜ラーズside〜〜


 鐘を鳴らして一息ついていると、スカイピアの住人やらこの前の仮面と同じ様な服を着た奴等が押し寄せてきた。
 その中から鎧の爺さんが出て来た。

「先程の音は…あの鐘なのかね?なんと素敵な…」

 今度はこの前の仮面野郎が出て来た。コイツこんな顔してたのか。タバコ吸ってるし。

「あの音が…『シャンドラの灯』…」

 こいつらどんな関係なんだっけ?まァ喧嘩する様な雰囲気でもないし気にしないでいいか。



「この前はすまなかった…」

 いきなり仮面が謝ってくる。

「ん?あァ気にすんなよ。それより、いい音だったろ?」

「あァ…きっとおれ達の先祖も喜んでいる」

「なら良かった」

 そう言うと仮面は笑っていた。


「我々は400年も何故争っていただろうな…」

 鎧の爺さんが呟く。400年って事はこの島が空に来てから何か争ってたのか?考えられるのは……この島か。
 空島にはない「大地」。みんなで共有すりゃいいのに。

「とりあえずエネルはもういないし、適当に仲良くやってくれよ。部族の争いも、もうする必要はないだろ」

「そうじゃな…」

 そうして話していると、ルフィが叫び出した。


「みんなで宴だーー!!」


 そう言った瞬間、ウソップがまた鐘を鳴らした。


 この島にいた誰もが雄叫びを上げ、騒ぎ出した。また宴会か。でも俺は先にエネルの船に行くとするか。
 黄金を頂きに。あっと忘れてた。

「お〜いロビ〜ン」

 遠くにいたロビンを呼ぶ。

「どうしたの?」

「俺はエネルの船に行ってくる。んで、あの鐘の土台にに古代文字が書いてあった。本格的な宴会の前に調べておいた
 方がいいぞ。気になるだろ?」

「本当!?直ぐ行ってくるわ!」

 珍しくロビンが大きな声を出して鐘の方に走って行った。アイツもあんな声出せるんだな。

「さて、俺ももう一仕事するか」

 そうしてエネルの船に向かって行った。




 トロッコの軌条を追って洞窟を進んでいると、確かに船があった。こりゃまた大きいな。ひとまず跳び乗ってみると、
 様々な場所に黄金が使われていた。この船をこのまま売ったら幾らになるんだろうな?まァそのまま持って帰る
 訳にもいかないし、さっさと目当てのモノを貰うとするか。エネルも持って行っていいって言ってたし。


 しかしこの船、黄金だけじゃなくて貝も使われてるみたいだな。コレも何か役に立ちそうだし、
 貰っておこう。こうして黄金と貝の強奪を始める。デカイ黄金は炎で溶かしながら、持ち帰れるサイズにしていく。


 そんな作業をしばらくしていると、また鐘が鳴り始めた。きっと宴会が始まったんだろう。

 しかしこの作業も意外としんどいな。俺の炎の温度もけっこう本気で上げないと金は溶けないし、
 集中力が落ちると、下手したら爆発するかもしれないからな。



 更に時間が経過して、ようやく作業が終わった。こうして見ると凄い量の金だな。換金したら幾らになるのか
 想像がつかない。それに一人で持って帰るのは少々面倒だ。後で他の奴等に任せよう。


 そうして船の上で一息ついていると、下からナミの声が聞こえた。

「ラーズー!黄金は取れたー?」

「あァばっちりだ。後でみんなで船に運ぼう」

「やったーー!なら早く私達も宴会に行きましょう!今夜は飲むわよ!!」

 昨日も前夜祭で飲んでなかったっけ?とことん酒豪だな。思わず苦笑してしまう。

「はいよー、今そっちに行く」



 そうしてナミと一緒に宴会に参加する。何故かまたキャンプファイヤーの組み木が準備されていて、大人数での
 大騒ぎになっていた。ある者は踊り、ある者は歌う。コイツ等ホント騒ぐの好きだよなァ。


 エネルから解放された人々は共に喜び、笑っていた。俺が戦った限りでは、そんなに悪いヤツでも無かったんだけどな。
 仲間に恵まれなかったんだろ。アイツともまた、その内どこかで会うかもな。


 騒ぎの中心から離れて様子を見ていると、ロビンが近くにやって来た。


「調べ物はどうだったか?」

「今回は面白い発見だったわ。アラバスタといい今回といい、こんなに歴史の本文が読めるなんて思ってなかったわ」

「ならウイスキーピークで勧誘していて正解だったな」

「えぇ。ラーズには感謝もしてるわ。けど…」


 そう言うとロビンは少し俯いた。まーだ世界政府の事気にしてんのか。俺はロビンの頭にチョップをする。

「いたっ…何するの?」

「だから考え過ぎだって。どーせ「私が居たら一味のみんなが傷つくかもしれない」とか思ってたんだろ?」

「……」

 やっぱ図星か。俺達を頼りたいけど、ってところだろうな。


「まァ口で言うだけじゃ伝わらないだろうし、その内行動で示してやるよ。世界政府にだって俺は負けないって」

「??」

 ロビンは意味が分からないみたいで、ポカンとした顔をしていた。こりゃ珍しい。

「それに、今更一味を抜けたいなんて言ったら全員に泣きつかれるぞ。多分どこまでも探しに来るだろうし」

「…そうかしら?」

「少なくても俺は追いかけるぞ。自分の言葉に責任は取るさ。必ずお前を心から笑わせてやる」

 ロビンは少し考えた後に言葉を発した。

「……今はありがたく受け取っておくわ」

「そうしておけ」


 話が終わるとロビンは少し笑顔になっていた。でも、未だに俺の事以外は名前で呼んでないし、難しいみたいだな。


 とりあえずこの先で一度、本気で頑張らないといけないなァ。今、俺にとって大切なモノはナミだけじゃない。
 一味の誰が欠けても、俺は嫌だ。


 こうして様々な思いを含めて、宴はいつまでも続いていた。



   

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