〜〜ナミside〜〜
ひとまずは島に到着ね。しかしこの島…見渡す限りの草原で建物が全く見えないわ。そもそも人がいるのかしら?
換金所はとても無さそうね。次の島までお預けか、つまんないの。
「大草原だァーー!」
「ひゃっほーう!」
「わーーい!」
ルフィ、ウソップ、チョッパーは船から飛び出して草原を駆けて行った…もう少し団体行動して欲しいんだけど。
「ハァ…敵がいたらどうすんのよ」
「これだけ見晴らしがいいなら問題ねェだろ」
ゾロが喋りながら錨を下ろしている。まぁアイツ等に何言っても無駄ね。
「兄さんは行かないんですか?」
ビビがラーズに尋ねている。確かにいつもならルフィ達と真っ先に行ってるハズなのに。さっき怒りすぎたかしら?
「…今回は落ち着いておく」
ラーズはこの島に来る前から様子が少し変だったけど…何かあるの?さっきから海の方を見てるし。
「私達もひとまず上陸してみましょう」
「そうね…何があるか分からないけど」
「レディーはおれが守ってみせるよ!!」
ロビンの提案にとりあえずは賛成ね。サンジ君も来るなら大丈夫でしょ。軽く近くを調べてみましょう。
〜〜チョッパーside〜〜
ルフィとウソップと草原を走り回ってたら、変な生き物ばっかり出て来た!細長い熊とか、胴がやたら長い犬とか、
ルフィが見つけたリンゴまで細長いし。何だこの島!?
「おい見ろあれ。民家じゃねェか?」
ウソップが指差す方向を見ると、民家があった。誰かいるのかな?…はっ!もしかしてこの島って人も長いのか!?
二人が民家に向かって歩き始めたのでおれもついて行く。
「おじゃましまーーす!!」
ルフィが元気良くドアを開けて入っていく。ノックとかいいのか?
「勝手に入ってんじゃねェよ!相変わらず失礼な奴だな」
やっぱり失礼だったんだな。でも何だかんだ言いつつ二人共家に入って行った。おれも入ろうとしたら、家の
近くに馬?がいた。コイツも首長いな。
「馬なのか?」
「ヒヒーン」
「ふむふむ」
「ヒヒン」
「なるほど」
コイツの名前はシェリーで女なのか。主人がいたけど今はどこに居るか分からないんだな。どこに行ったんだ?
「おりゃー!!」
掛け声がした方を見ると、いつの間にか家から出て来たたルフィが竹を蹴り割っていた。何してんだ?
すると、その後に近くで何かが落ちて来た様な音がした。敵なのか!?急いで行ってみると、
「竹から精霊が出て来た…」
ルフィが真剣な顔をしている。精霊って何だ!?この爺さんみたいな奴か!?
「…お前達がおれを竹から落としたのか?感謝する。おれはトンジットだ」
そう言って竹の精霊は話し始めた。この島の事や自分の事情とか。どうやらココは”ロングリングロングランド”
って島らしくて、潮の満ち引きで島が現れたり沈んだりする不思議島らしい。精霊は普通の人間だった。
しばらく話を聞いて落ち着いたとこでおれは話した。
「そういやシェリーが主人を探してたぞ」
「なんと!おれを待っててくれたのかシェリー!?」
おれがそう言うと、シェリーと竹の爺さんは再会を喜んでいた。良かったなシェリー!
それから二人で昔を懐かしむみたいに草原を駆け始めた。久し振りでシェリーも嬉しそうだ!
そう思って三人で眺めていた光景は、一発の銃声でかき消された。シェリーが撃たれた!?
「なっ!?おい大丈夫か!?」
ウソップが慌てて駆け寄る。おれも行かないと!
「銃声だ!シェリーが撃たれたぞ!急いで看ないと!」
誰が撃って来たんだ!?そう考えていると、
「フェッフェッフェ!!その馬はおれのモンだ!」
どっかから声が聞こえるけど、今はシェリーの方が優先だ!
「お前ら誰だァ!?」
ルフィが相手に叫んでいる。その間におれはシェリーを看る。
「足を撃たれてるけど、骨に異常はないみたいだ。良かった」
少しホッとする。馬の足の骨ってのは大事だからな。
「おれの名はフォクシー。”フォクシー海賊団”の船長だ!」
「知るか!よくも馬を!ゴムゴムのォ…」
相手が何か言ってる間にルフィが攻撃しようとしてる。あんな奴やっつけてやれ!
「待て!”麦わらのルフィ”!」
「えっ!?何でおれの名前…」
変な割れ頭は何でかルフィの名前を知っていた。ルフィもちょっとびっくりして攻撃を止めた。すると、隣にいた
アイマスクの女が喋り始めた。
「懸賞金1億2000万ベリーの”モンキー・D・ルフィ”。7000万の”ロロノア・ゾロ”。7900万の”ニコ・ロビン”。
それから…1億8000万の”ラーズ”。たった九人の少数一味で総合賞金額(トータルバウンティ)が4億4900万なんて
かなりのものね。しかも億超えの賞金首が二人もいるなんて」
コイツ等もラーズが持ってた手配書見たんだな!
「我々フォクシー海賊団は!麦わらの一味に対し!オーソドックスルールによる”スリーコイン”
デービーバックファイトを申し入れる!!」
あの割れ頭何の事言ってんだ?ウソップを見ると、ウソップも何か考えてる様な顔していた。
「ゴチャゴチャ言ってねェでかかって来い!勝負なら受けてやる!!」
何か分かんないけど、ルフィが勝負を受けたみたいだ。すると、ウソップが急に真顔になった。
「待てルフィ!そのゲーム受けるな!仲間を失うぞ!!」
突然叫んだウソップ。何が一体どうなってんだ!?
〜〜ラーズside〜〜
考え事をしていると、突然船が暗くなった。なんだ?疑問に思って見てみると、メリー号の後ろに大きな海賊船が
来ていた。暗くなったのはこれが原因か。
「どこの船だ?」
海賊旗を見てみると…「FOXY」って書いてある。フォクシー?何か聞いた事あるような…。
そう思って船首を見てみると、狐の顔があった。狐…フォクシー……!!!
「ああっ!!」
思い出した!俺が白狐と呼ばれる様になってから、絶対に会いたかった船長じゃねェか!そういえばこの辺で
絡んでくるんだったな。すっかり忘れてたぜ。
「ど、どうしたんですか兄さん!?」
近くにいたビビが驚いて俺を見ている。ちょっと大きな声出し過ぎたかな。
「すまん、ちょっと考え事してたんでな。他のみんなは?」
甲板にはビビ以外いなかった。あれ?
「ルフィさん達は草原に走って行って、ナミさん達なら近くを散策してましたよ」
ふむ、って事は……あいつ等絶対ファイトを受けるな。まァ負ける気はしないし別にいいか。俺も詳しいルールとか
完全に抜け落ちてるし、後で聞こう。
ひとまずナミ達と合流しようと下を覗いたら、すでにフォクシー海賊の奴らと話をしていた。にしても、あの海賊達は
何故全員変なアイマスクみたいなのしてんだ?フォクシーの趣味なのか?
「賭ける獲物は”仲間”と”誇り”。勝てば戦力は強化されるが、負けて失うものはでかい…エゲつないゲームさ」
サンジが何か言いながらタバコを吸っている。アイツ知ってんのか?なら後で説明して貰おう。
「そんなバカみたいなゲーム受ける訳無いでしょ!?」
ナミが怒っている。そりゃ負けたら誰かがいなくなるかもしれねェからな。俺もナミと離れて海賊やる理由なんて
全くないし。でも、
「ルフィなら絶対受けるだろうなァ」
下ではまた説明が続いている。参加の是非の権利は船長だけにあり、お互いの船長の合意でゲームが成り立つのか。
じゃあ参加はほぼ決定だろ。ルフィが勝負って言われて引き下がるなんてあり得ないし。
「ルフィさんならルールも聞かずに始めそうですね…」
ビビも分かってるな。んでナミとゾロ、サンジがギャーギャー言っている。逃げるのは生き恥がどうとか暗黙のルールが
こうとか。あいつ等、変にその辺しっかりしてるしな。ロビンは諦めてるみたいだし。
そんな様子を船の上から眺めていると、遠くから銃声が聞こえた。二発ほぼ同時に。
すると、フォクシーの海賊達が一斉に騒ぎ出した。
「ゲームの始まりだぁーー!!」
今のが船長同士の合図って事か?やっぱり受けたみたいだな。
「今から何が始まるんですか?」
ビビが不安げに尋ねてくるが、俺もさっぱりなんだよ。大事な事を忘れない様にしてたら、どうでもいい事は記憶から
消えていくみたいだし。言ってしまえばファイトなんてどうでもいい事なんだ。大事な事は他にあるからな。
「その内分かるだろ。とりあえず俺達も下に行こうぜ」
こうしてナントカファイトが始まりを告げた。