小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ラーズside〜〜


 さて、ナントカファイトが始まるってのでフォクシー海賊の奴らが会場設営を急ピッチで行ってたんだが…


「仕事早過ぎじゃねェか?」


 思わず言葉を漏らしてしまったが、これは仕方ないだろう。だってたった一時間くらいで辺りに会場みたいなのが
 見事に完成していた。見渡せば、様々な屋台が沢山出来てるし。空には空砲みたいなの打ち上げてるし。
 これじゃあファイトっていうよりお祭りだな。

 いつの間にか戻ってきたルフィはすでに焼きそば食って楽しんでるし…そうだ、一応アイツに聞いておかないとな。


「おいルフィ、聞きたい事がある」

 ルフィは焼きそばを飲み込んでから返事をした。

「ん?どうした?」

「このファイトを受けた理由だ」

 ただ挑まれたから受けただけなのか?するとルフィは少し真剣な顔になって答えた。


「あの割れ頭、この島にいたおっさんの大事な馬を撃ちやがったからな」


 なるほどなァ。その理由なら納得だ。それなら俺は勝負に勝つ為に全力を尽くすだけだな。

「了解した。メシ食ってるとこ悪かったな」

「おう!」

 ルフィは再び焼きそばを食い始め、他の屋台を物色しに行った。



「おーいナミー」

 落ち込んでいるナミの所へ行く。アイツもルフィがファイトを受けた理由知らないだろうから、説明しておかないと
 このままだろうし。

「…何?」

 うおっ、俺もちょっとビビるナミの怒気。明らかに不満しかないな。振り向いた顔が怖すぎるぞ。

「今ルフィにファイトを受けた理由を聞いた」


 んでナミに説明する。それを聞き終えたナミから怒気は消えていた。

「そうだったのね。てっきりいつもの感じで軽く受けたと思ってたわ」

「俺もそう思ったからな。アイツなりにちゃんとした理由があったんだ。これなら頑張れるだろ?」

「そうね…仲間を取られるのもゴメンだし」

 ようやく機嫌が直ったみたいだな。すると、ゾロやサンジ達がこっちに集まってきた。





「おいラーズ。ルールは知ってんのか?」

 サンジが聞いてくる。勿論知ってる訳ないだろ。

「説明よろしく」

「あん!?…ったく、まァとにかくゲームは三回。出場者は全部で七人以下だ。出場は一人一回だけ。一度決めた
 出場者は変更なしだ」

「ふむ、ゲームはどんなのがあるんだ?」

「簡単に言うと、レース・球技・戦闘だ」

 レースと戦闘は理解出来るが、球技って何だよ?海賊がバスケットやサッカーでもするのか?


「戦闘はおれだァ!!」

 ルフィのやる気が迸ってるし、戦闘はルフィで問題ないだろ。

「ならレースはどうするの?」

 ロビンが尋ねてくる。そうだ、メンバーを決める前に聞いておかないとな。

「そもそもレースの内容はどうなってんだ?」

「海岸伝いの島一周妨害ボートレースらしいわよ。空樽三個とオール二本で手作りボートで勝負するみたい」

「ふむ…」

 海でボートレース。しかも堂々と妨害とまで名前がついてるのか。それだったら、

「一人はナミだ。島沿いとは言っても海だし、海流を読める奴が乗るべきだな」

「任せなさい。ぶっちぎりでゴールしてやるわよ」

 さっきと違って気合が入ってるな。拳を握りしめてるし。


「次はウソップ。船に何かあった時はお前の技術力が頼りになるからな。攻撃があっても他人より速く反応出来るし」

「自信はねェが…やるしかないしな」

 ウソップは多少不安みたいだ。でも今のお前ならきっと大丈夫だぞ。


「後一人は…ロビン、行けるか?お前の能力なら相手を妨害しやすいし」

「なるほどね、分かったわ」

 これでレースのメンバーは決定だな。残りは球技か。


「球技はお互いのチームの頭に球を乗せて、ソイツをリングにぶち込めば勝ちだ」

 サンジは何でこんなに詳しいんだ?このファイトってけっこう流行ってんのか?

「何か荒々しい感じだな。となると人数を考えても俺、サンジ、ゾロか」



「私も出たいです!」
「おれもやりたいぞ!」

「ビビとチョッパーの気持ちは分かるが今回は我慢してくれ。正直あの割れ頭がどんな妨害してくるか謎だからな」

 最初のレースですでに妨害とか言ってるからな。何が起こるか分からないし気をつけないと。

「…分かりました、なら応援を頑張ります!」
「おれもビビと頑張るぞ!」

「よし、ならこれで決定だな」

 こうしてメンバーも決まったし後は船作りか。


「ウソップー!さっさと作ってしまおうぜ!」

「よっしゃー!気合入れるぜ!!」
 
 船に噴風貝でも付けたら楽勝っぽいな。ファイト開始まで後少しか。ナミの乗る船だし完全に仕上げよう。


 本当は俺が参加して獣体型の「剃刀」で引っ張るのが一番楽だし安全なんだが…後のバカコンビを制御出来るのは
 俺しかいないからなァ。あの三人に頑張って貰うしかない。俺は陸から相手チームに「嵐脚」でも飛ばしまくって
 撃沈させるとするか。それならいいだろ、妨害ありだし。

 こうなると意外と楽しくなってきたな。







  〜〜ビビside〜〜


 私とトニー君は今回のゲームのメンバーから外された。自分の実力がまだみんなに追いついてないと思わされた。
 私だってみんなの力になりたかったのに…。別に兄さんが嫌いになった訳じゃない。私達を心配してくれてるのは
 とっても分かる。でも…だけど…。さっきからこんな事考えてばっかり。兄さん達の前では強がったけど、
 やっぱり悔しいな。

 みんなから少し離れてトニー君と近くの切り株に座る。

「ハァ……」


 思わず溜息が出てしまった。これくらいはしょうがないよね?


「ビビ!おれもっと頑張るぞー!ラーズに褒めて貰うんだ!!」


 隣を見るとトニー君はもうやる気になっていた……そうよね。こんな事考えてる様じゃまだまだダメよ。
 もっと頑張って兄さんに認めさせるんだ!

「ありがとね、トニー君」

「?おう!」

 私のいきなりのお礼にトニー君は少し考えたけど、元気に返事をしてくれた。よしっ!今日から兄さんに
 鍛えて貰うんだ!


「ならゲーム開始まで少し時間あるし、食べ物でも買っておこうか?」

「おれも行くぞーー!」


 トニー君と二人で屋台の方へ行って色々と見て回っていると、トニー君は凄くキョロキョロしていた。珍しいのね。
 こういったのは初めてなのかな?

「トニー君、わたあめ食べる?」

「何だそれ?美味しいのか?」

「うん!きっと気に入るハズよ」

 私はわたあめを買ってトニー君にあげる。最初は食べ方が分からなかったみたいだけど、教えて食べると
 表情が一変した。凄く美味しそうな顔してるわ。

「ビビ!これ美味しいぞ!」

 夢中になっちゃったみたいね。あっという間に食べちゃったわ。私も久し振りに食べたけど、やっぱり美味しいわ!

「なら戻る前にまた買いましょう?他にも色々あるみたいだし」

「おう!」

 そうして私達はフランクフルトやお肉、ジュースなど色々買って食べたり飲んだりしていた。
 …こうして屋台を回ったりしてると、とても戦いって感じじゃないわ。どう考えてもお祭りとしか考えられないし。
 でも、楽しいし気にしなくていいか!トニー君も満足そうにしてるしね。




 しばらくすると放送が流れ出した。



『さァさァ、間もなく一回戦の「ドーナツレース」が始まるよォ!両チーム共、準備は大丈夫かなァ〜?』



 どうやらそろそろレースが始まるみたいね。私達も戻ってナミさん達を応援しなきゃ!

「トニー君、もうすぐ始まるみたいだから戻ろうか」

「おう!…あっ、わたあめ!」

 そんなに気に入ったのね。だったら戻る前に買っておかなきゃ。

「じゃあ私が買ってくるからトニー君は先に行ってて頂戴」

「分かった!わたあめよろしくな!!」

 そう言ってトニー君は駆けて行った。ふふっ、後ろ姿も可愛いわね。


「さて、私も早くわたあめ買って応援だ!」

 
 今は自分に出来る事を頑張ろう!そしていつか兄さん達に認めて貰うのよ!!








   こうして”デービーバックファイト”一回戦が始まろうとしていた。


   すでに戦いは始まってると、麦わらの一味は気付かないまま。


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