小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  −−海兵ラーズ・十五歳−−


 海兵になって五年が経った。入隊してからは、驚きの連続だった。
 一番の収穫はやはり”武装色の覇気”を使える様になった事だ。

 ガープ中将との組手の後に、覇気について説明を受けた。まぁ内容は大体知ってたが訓練の仕方を
 知らなかったのでナイスタイミングだった。これで能力者とも戦える。
 しかも”武装色の覇気”は防御にも使えるらしい。訓練をしまくって(訓練内容はガープ中将や
 センゴク元帥らに組手でボコボコにされる)体に染み付かせた。

 ちなみに「六式」だが、「鉄塊」と「紙絵」は諦めた。俺の覚えも悪いのか、全然使える様にならなかった。
 よって「指銃」も当然使えない。短所を補うより長所を伸ばす方向にした。
 「月歩」はしっかり覚えた。空を跳ねてる時はいつも違和感だらけだが。「嵐脚」もかなり成長した。
 「剃」が異常に得意だったので、じゃんじゃん蹴り飛ばしている。今は「嵐脚」に覇気を込めれる様に
 密かに特訓している。

 尚、あまり海に出て海賊と戦ったりはしていないので階級はあまり上がっていない。
 現在の階級は「曹長」だ。

「しかしラーズ君ほんと〜に十五歳?動き速すぎでしょ〜。」

「笑いながらかわされても全然嬉しくない…ですっと!」

 今日も組手をしている。さっきから最大速度で攻撃しているが、全てかわされる。それに自分より
 遥かに速い人間に言われても嬉しくない。

「いやいや、これに対応出来る奴はそうはいないよ〜。」

 会話はあるが、こっちは集中しないと強烈な一撃を喰らってしまう。

「光の速さで動きながら言われても…。嫌味ですか?」

 そう。組手の相手は黄猿ことボルサリーノ大将だ。理由は知らないが、俺は海軍の上の方々に気に入られて
 いるので色んな人と組手をしている。…ちなみに今のとこ誰にもまともに一撃を与えれていない。

「この速さなら十分だと思うがねぇ〜。」

 組手の回数はボルサリーノさんが一番多い(ちゃんと仕事してんのかな?)。
 ちなみにガープさんは…いつもフラフラどこかに消えるのであまり組手をする機会がないのだ。
 それでセンゴクさんが紹介してくれたのだ。「あの馬鹿は自分で預かると言っておきながら…!」
 と、額に青筋を浮かべていた。その時たまたまボルサリーノさんがいて、それ以来相手してもらっている。

 今は自分より速い相手と戦い反応速度を鍛えている。
 俺の目標は「圧倒的な速度で翻弄し、攻撃を受けずに倒す」だ。
 防御は覇気があっても元が低いみたいで正直ヘナチョコなのだ。この五年は速さと攻撃力を重点的に
 鍛え続けた。その結果が、

・攻撃力が60上がった!(覇気含む)

・防御力が20上がった!(上に同じ)

・素早さが50上がった!(単純に鍛えまくった)

・回避能力が40上がった!(嫌という程ボコボコにされ続けた為)

 こんな感じだ。ざっくりとしたイメージで捉えてくれ。

「とか言いなが…がっ!」

 瞬きより速く横に回られ、脇腹に蹴りを喰らう。手加減はしてもらってるがそれでもかなり効く。
 倒れはしないが大きく横に吹き飛ばされた。

「油断大敵だよ〜。今日はここまでにしとこうか〜。」

「ぐっ…。ありがとうございました。」

 今日も一撃を入れる事は適わなかった。

「んじゃわっしは行くよ〜。」

「またお願いします!」

 そうしてボルサリーノさんは帰って行った。やはりこうして組手や実践を繰り返すのが一番効果的だ。
 経験は大事なんだとつくづく思う。しかし光の速さってのはマジ反則だよ。初めての組手で
 目にした時はどこに移動したか、何をしているか全く分からなかったからな。

「…しかしこの髪戻らないのかなぁ。」

 昔と変わった事で、勿論強さもあるが何と髪の毛が真っ黒から真っ白になっていたのだ。多分アーロンに
 やられた時のショックでそうなったんだろう。これで瞳が赤かったらどこぞの悪党と完全に同じに見た目に
 なってしまう。まぁ五年経ってもずっと白いままだし、軽く諦めてはいるが。

「…ナミは今頃どうしてるかな?」

 空を見上げ考えた。あの時の状況から考えて俺は死んだと誰もが思っただろう。海軍に入った今、
 ガープさん達に上手く言えば、アーロンも直ぐに捕まるだろう。しかし、

「多分原作通りならナミも一味に入ってるだろうし、絶対ややこしくなるんだよな。」

 なので、ナミには本当に悪いと思うがまだ助けに行けない。村のみんなも苦しんでるだろうが、今のおれは
 全てを助ける事が出来るほど強くはない。今だってナミすら助ける事が出来ないのだから。
 一人でアーロン達を圧倒出来る様になるまでここで強くなるのだ。

「絶対助けに行くから待っててくれよ。」

 晴れ渡った空に向け、決意の言葉を放つ。



 〜〜ボルサリーノside〜〜


 ラーズ君はどんどん強くなるねぇ〜。わっしの速さに対応出来るなんて海軍将校でもなかなかいないんだが、
 本人は理解してないみたいだね〜。まだまだ伸びるだろうし〜覇気の使い方も上達してきてる。
 才能、だけじゃないみたいだしね〜。

「黄猿よ、ラーズはどうじゃ?」

 廊下でセンゴクさんと会った。センゴクさんもラーズ君を気に入ってるみたいだし気になるんだねぇ〜。

「面白い位伸びてますよ〜。わっしが今まで見てきた中で一番の若手かもしれませんね〜。」

「お前がそこまで言う程か…。実に楽しみだな。」

 あの頑張りを見せられると応援したくなるからねぇ。

「速さだけならウチでもトップクラスと思いますよ〜。一人でもあれこれ特訓してるみたいですし〜。」

「ふむ…。ならそろそろ本格的に海賊討伐に出て貰うか。…あの馬鹿が戻ってきたら。」

「そこらの海賊ならラーズ君だけでも十分でしょうね〜。」

「お前が言うなら問題ないだろう。」

 あの子はどこまで強くなるかね〜。


 









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「貴様は自分の言葉に責任を持てガープ!」

「朝からうるさいのぅセンゴク。」

「そう思うならきちんとラーズの面倒を見ろ!そして書類も片付けろ!」

「そもそも書類の仕事を回すんじゃないわ!」

「貴様は仮にも中将だろう!どこまで自由なら気が済むんだ!」

「うぬぬぬぬ!」

「言い返せまい。なら大人しく溜まった書類を「さらばじゃ!」…ガープゥゥゥゥゥ!!!」


 この後二人の鬼ごっこは半日に渡り、ガープは頭から煙を出しながら書類を片付けた。
 頭を使い過ぎたガープはその後三日間寝込み、ラーズの海賊討伐遠征の予定は遅れた。

 






 

-8-
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