小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ウソップside〜〜


 畜生、レースに負けちまった。噴風貝のおかげでかなりのスピードで走れたんだが、それでも勝てなかった。

 途中で衝撃貝(インパクトダイアル)を実験なしで使って一気に加速したりしたんだがな。秘密兵器を
 使ってもダメだった。

 しかし、最後のゴール直前であの割れ頭がしてきたのは何だったんだ?おれ達の動きが急にノロくなったぞ。
 そのせいで逆転負けしちまった。


「フェッフェッフェ!やっぱりあの”白狐”がいないと楽で助かるなァ!」


 …確かにレースが始まってからずっとラーズの姿は見えなかった。今もいないままだし。あの割れ頭野郎、
 ラーズに何か出来る程強いってのか!?

「ちょっと!ラーズに何したのよ!?」

 割れ頭の話を聞いていたナミが怒りながら聞いている。

「おれはお願いしただけだぜ?レースが終わるまで動かないでくれってなァ!!」


 ……どういう事だ?何でラーズがあんな奴の言う事を大人しく聞いたんだ?それに良く見たらビビもいねェし。
 レースしてる間に何があったんだ?


「ウソップー、ラーズならいなくなる前にビビの事聞いてたぞ」

 チョッパーがこっちに寄って来て教えてくれる。って事はビビがどっかに行ってたって事か?ますます疑問だ。

「そーいやおれに用事があるって行ってどっかに跳んで行ったぞ」

 今度はサンジが話してくる。何やってんだアイツは?おれが考えていると、ロビンが何か思いついた様な顔をした。

「まさか…アナタ達!?」

「おめェの考えてる通りだよ。フェ〜ッフェッフェ!!」

 割れ頭はムカつく笑いをしながら去って行った。



「ロビン、どういう事なんだ?」

 ロビンの顔がこんなに真剣になってるのは見た事ねェな。

「おそらく…フォクシー達は妹さんを人質に取ってラーズを脅したのよ。レースに関与するなとか言って。
 ラーズなら妹さんの為に大人しくしてもおかしくないわ」

「んなっ!?」
「そんなっ!?」

 おれとナミは同じ様に驚いた。でもロビンの言うとおりなら辻褄が合う。

「何て汚いの!?」

 ナミが拳を握って激怒している。そりゃ妹分と彼氏を手玉に取られたんだからな。おれでも流石に卑怯だと思うし。

「こんなのが海賊のやり方なの!?ふざけないで!?」

 いかん!ナミが暴走しそうになってる!!こうなると止めれるのはラーズしかいないんだが…



「ただいま」



 ラーズがひょっこり戻ってきた。見ると背中には顔を俯かせているビビが居た。って事はやっぱり!

「ラーズ!ビビが人質にされてたって本当!?」

 ナミがすぐに詰め寄る。

「い、いや。それについては…」

 ラーズが珍しくどもっている。




「わだじのせいなんです!!」

 ビビが顔を上げたと思ったらすげー泣いていた。ナミも驚いてビビを見る。

「わだじが、敵に、捕まらなかったら…」

 ビビが泣きながら必死に説明している。そんなビビにおれ達は何も言えなかった。ラーズも唇を噛み締めている。




 すると、ナミがビビの頭を撫で始めた。

「そっか…ビビ、ケガはない?」

 ナミはビビの気持ちを理解したのか、深くは聞かずにビビの心配をしていた。こうして見てると本当に
 姉妹みたいだな。それを感じたのか、ビビはまた泣き出した。




「手伝えなくてすまなかったな、ウソップ」

 ビビを降ろして、ナミとロビンが宥めている時にラーズが話しかけてきた。

「あれならしょうがねーだろ。それに陸にいた他のバカ達も大した活躍してねーし」

「ルフィ達はともかくサンジは?」

「あァ、アイツだけ頑張って敵をぶちのめしてたな。その辺に転がってるのは全部サンジの仕業だ」


 レース中にましなサポートは、サンジが手当たり次第敵を蹴り倒してくれてた事だな。ラーズも辺りを
 見回した後にサンジに話していた。

「…かなり頑張ってたんだな」

「結局負けたけどな。お前が居なくなったのは不思議だったが、そういう事だったのか。今納得した」

「悪かったな。あの時は説明してる余裕が無かった」

「お前にしては珍しいな」

 サンジがちょっと意外そうな顔していた。確かにラーズが焦るのは珍しいな。

「返す言葉もないよ」

「ビビちゃんが無事だったんならそれが一番だ」

 おれもサンジの意見に賛成だな。さっきのレースじゃおれ達はケガしなかったし。


 相手の卑怯な戦法でおれ達は負けた。でもその分おれ達の怒りが増したけどな!


「ところでウソップ」

 ラーズが俺を向いて話してきた。何だ?



「あの割れ頭の能力は分かったか?」







  〜〜ラーズside〜〜


「ってな感じだったんだ」

 俺はウソップから割れ頭の能力の話を聞いていた。どうもレースの最後に一回喰らったらしいんだが、
 聞いてて何となくは理解出来た。

「なるほどなァ。何か喰らったら動きが遅くなった、と」

 って事は割れ頭は超人系(パラミシア)だな。それだけならそんなに問題なさそうだ。後気になるのは
 能力の持続時間と効果の範囲だ。ウソップの話だと何かビーム的なものだったらしいし、動きが遅い時間も
 そんなに長くなかったって言ってたな。

「とりあえず大体は分かった」




「なんだ?おれの能力が気になるのか?」

 俺が納得していると、例の割れ頭が後ろから話に加わってきた。ビビにあんな事しておいてよくノコノコと俺の前に
 顔を出せるもんだ。こんな奴に遅れを取ったなんて情けない話だ。


「もったいぶらないでさっさと教えろよ。まァ大体は分かったから、あんまり必要ないけどね」

「なっ!?このおれの「ノロノロビーム」を見破ったというのか!?」

 …なんてダサい名前なんだ。不細工な割れ頭にはピッタリではあるが。

「もちろん。持続時間も把握したぞ」

「馬鹿なっ!?30秒という時間をどうやって見破ったんだ!?」

「体験者の話を聞けば大体分かるだろ」

 コイツ自分でガンガン能力暴露してるの気付いてないのか?……こんな奴に俺は……

「だが!能力がバレてもおれは負けないからな!フェッフェッフェ!!」

 変な笑いを残してまた割れ頭はどこかに行った。アイツ何しにきたんだ?



「…相変わらず話術が絶妙だな」

「本当は殴り飛ばしたいんだがな」

 ウソップが冷ややかな視線をぶつけてくる。まァ今回は多少自覚しての会話だったしな。

「とにかく奴の能力は分かったし、次からは多少対策が出来るな」

「どの道次は俺も出るし、この怒りを爆発させてくるよ」

「…会場ごと壊すのは勘弁してくれよな」

「…多分大丈夫だ」

 一応は出て来た敵のみ殲滅する予定だからな。そんなに派手にはしないつもりだ。





「ではおめェらの仲間を一人差し出して貰うぞ〜〜!」

 割れ頭が景気良く叫んでいる。そういやそんなルールだったな。ビビの事ですっかり忘れてた。

「おれが欲しいのは……」

 そういっておれ達を見渡す。今誰が取られても次に俺が出れば取り返せるだろうしな。

「お前だァ!!」

 叫びながら指差す。その先には…







「白狐のラーズ!!お前を指名する!」





  俺がいた。


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