小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜ウソップside〜〜


 ひとまずナミが落ち着いて二回戦が始まろうとしていた。ゾロとサンジは会場に行ったし、おれ達は応援しないとな。
 …しかし、ラーズの奴寛ぎ過ぎじゃねェか?なんか偉そうなソファーに座って酒飲んでやがるし。
 まァゾロ達を信用してるって証かもしれねェけど少しは自重しろよ。

 隣のナミを見るとまだボーっとしている。さっきのラーズの一撃で完全にノックアウトだな。ナミを止める為って
 言ってもまさか堂々とするなんて思わなかったよ。アイツに羞恥心はねェのか?

「おいナミ」

「…うん」

「聞いてるのか?」

「…うん」

「…ラーズの事好きか?」

「…うん」

「…サンジのマユゲはかっこいいと思うか?」

「…うん」

 やっぱダメだなこりゃ。まァおれ達の勝負は終わったし気にする事はないか。



『さぁさぁ第二試合!グロッキーリングの説明をするよ!ゲーム中に”球印”を頭につけたボールマンを敵陣リングに
 叩き込めば見事勝利だー!二回戦もフォクシー海賊団が制するのか!?それとも麦わらの一味の逆襲がここから
 始まるのか!?両チーム準備はいいかな〜!?』



 もうすぐ始まるな。こっちはボールマンは……サンジが着けるのか。アイツさっきから燃えっぱなしだけど
 どうなってんだ?ラーズじゃあるまいし。

 にしても相手の奴等はデカイな。特に一番後ろの奴は巨人か?サイズが違いすぎだろ!しかもアイツが
 頭にボール着けてるし、勝てるのか?

「あの後ろの大きい人…私を捕まえてた人です!」

 そうだったのか。アレに捕まえられてたんなら仕方ねェな。あのラーズが何もしなかったのも納得だ。
 サンジに伝えといてやるか。

「サンジー!後ろの巨人がビビを泣かせた奴だァ!」

 おれは大声で叫んでサンジにやる気をださせる。ラーズがいたらこうするだろうしな。

「貴様かァ!貴様がビビちゃんをォ!!」

 サンジは更に怒り、体から出ている炎が周りに渦巻いていた。隣のゾロも流石に驚いてるみたいだな。


「長鼻くんも段々ラーズに似てきたわね」

 ロビンがわたあめを食べながら話しかけてくる。いつの間に買い物行ってたんだ?
 にしても、ロビンとわたあめなんて似合わねェ…と思ったらチョッパーのを一口貰っただけか。

「アイツならこうやって煽るだろうしな。見ろよあっち」

「……なるほどね。長鼻くんの行動は正解だったみたいね」

 話しながらラーズを見てみると、炎に包まれたサンジを見て笑い転げていた。アイツ自分が取られた自覚あんのか?



 そんな事を考えてる内に、ゲームが始まった。



 ……戦いは一方的なものだった。燃えに燃えたサンジが相手を蹂躙していた。相手は三人で連携を取って挑んで
 いたが、サンジはそれらを全て避け蹴り倒していった。自分の十倍以上のサイズの巨人みたいな奴も
 蹴り飛ばしていた。なんつーデタラメな奴だ。しかもボール着けてる巨人が倒れてるのに、リングに叩き込もうと
 せずに、残りの二人に攻撃している。


「これはビビちゃんの涙の分!これがビビちゃんの涙の分!!そしてこれがビビちゃんの涙の分だァ!!!」


 …今の叫びはあんまり聞かなかった事にしよう。とにかくさっさと勝ってくれ。サンジが二人を圧倒してる間に、
 ゾロが倒れている巨人を引きずってリングに頭を突っ込む。これでおれ達の勝ちだな。


『…はっ!ゴ、ゴーール!!麦わらチームの圧勝だぁーー!!一回戦でもお邪魔軍団を薙ぎ倒した”暴力コック”
 サンジのワンマンショーだぁ!なんてイカす野郎なんだあいつはぁーー!!』

 実況の声と共に大きな歓声が響いた。

「やったーサンジィ!」

「サンジさん流石!」

 チョッパーとビビが手を合わせて喜んでいる。おれも戻って来た二人に声をかける。

「すげェなサンジ」

「当たり前だァ!まだこれでも足りん!!」

「おれはほとんど何もしてねェけどな」

 まだ燃えてるサンジにゾロは呆れているが、勝ったからいいじゃねェか。


『さぁ二回戦の勝者麦わらチームは誰を指名するのかなー?権利は船長にあるよーー!』


 そーいや大人しいと思ってたルフィは…ずっとメシ食ってたのか。周りに食べた後が沢山落ちてるぞ。


「そんなの決まってんじゃねーか!もちろんラーズを返して貰うぞ!!」


『おおっと先ほど奪われたラーズを指名!これは仲間を大切に思う船長の熱い気持ちの表れだーー!!』


 再び盛り上がる会場。つーか盛り上がってるの全部フォクシー海賊団の奴等じゃねェのか?勝っても負けても
 盛り上がるなんて不思議な奴等だな。

「ラーズー!帰ってこーい!!」

 ラーズに向かってルフィが叫ぶ。

「んじゃ世話になったな不細工割れ頭」

 ラーズがあの割れ頭と何か話した後に戻ってきたが…何であの割れ頭は両手両膝地面について落ち込んでるんだ?
 さっきラーズが何か言ったのか?

 そうして戻って来たラーズ。おれ達もこれで一安心だな。

「ラーズー!」
「兄さん!」

 チョッパーとビビは我先にとラーズにタックルを食らわす。チョッパーなんて鼻水出しながら泣いてるし。

「ただいま」

 ラーズは笑いながら二人を撫でている。なんか微笑ましい光景だな…ラーズがアイマスク着けたままじゃなかったら。


「ラーズ、それ外さねェのか?」

「ん?あぁコレか。意外と着け心地が良くて忘れてた。良かったら着けるか?」

「着けねェよ!…それよりナミをどうにかしろよ。落ち着いたのはいいけど今度はどっか行ったまんまだ」

 まだ戻って来ないナミを指差して話す。

「…少しやり過ぎたかな?まァ任せろ」

 そういってナミの元に向かうラーズ。これでナミも大丈夫だろ。

 さて、残りは三回戦だけか。ルフィならあの割れ頭に負ける事はねェだろ。ん?選手にはセコンドが付くのか?
 ならこのキャプテン・ウソップに任せろ!



 



  〜〜ナミside〜〜


 ラーズ…ラーズ…ラーズ…

「…−い」

「……」

「ナミー」

「……」

「…また唇奪うぞ?」

 …唇?…っは!?そうよ!さっきラーズに……。思い出したらまた恥ずかしくなってきたわ。

「おーい気付いたか?」

「え?…ってラーズ!?何でココにいるの!?」

 いきなり私の隣に居たラーズに驚く。あれ?二回戦は?

「…二回戦ならもう終わったぞ。んでルフィが俺を指名して戻ってきたんだ」

「って事はもう離れなくていいの?」

「あァ。俺がナミの隣を離れる訳無いだろ?」

 ラーズはそう言って笑いながら頭を撫でてくれた。この感触、本物のラーズだ。

「……てて」

「ん?すまん、良く聞こえなかった」

「もっと撫でてって言ったの!」

 言いながら自分でも体温が上がるのが分かる。でも今はラーズに撫でてて欲しい。少しだけしか離れてなかったけど、
 それでも寂しかったんだから!

「何か急に甘え出したな。もしかして俺がいなくて寂しかったのか?」

「!?」

 ラーズに完全にバレてる。でもしょうがないじゃない!

「いいから撫でててよ!」

「はいはい」

 そう言って撫で続けてくれるラーズ。どうしよう、最近ラーズにどんどん依存していってる様な…。
 き、きっと気のせいよね!撫でられると落ち着くだけなんだから!


 しばらく撫でて貰っていると、実況の声が聞こえてきた。


『いよいよ本日の大一番!”コンバット”が間もなく始まるよ〜!今回の対決は船長対決!果たして勝つのは
 ”銀キツネ”のフォクシーか、はたまた”麦わら”のルフィか!みんな注目だぁ〜〜!!』


 もうすぐ最後の勝負が始まるのね。ルフィならきっと大丈夫よ!

「ルフィなら問題ねェだろ。心配する必要はないな」

 ラーズも同じ考えみたいね。でも戦いの場所は相手の船の上みたいだけど大丈夫かしら?どうせ卑怯な罠とか
 沢山準備してそう。ルフィはバカだから引っ掛かりやすいのよね。


 そうしてまずは割れ頭が出て来た。そもそもアイツって何であんなに人気あるのかしら?不思議ね。
 続いてルフィが登場…って何あの頭!?

「ルフィかっこいいーー!!」

 チョッパーが目を輝かせて叫んでいる。

「ウソップの野郎、アフロとは考えたなァ。ブラザーソウルが燃えたぎってるぜ!」

 …サンジ君、ブラザーソウルって何?あれはウソップの仕業なの?

「アイツ等ったら、真面目にやる気あるのかしら?」

 思わず口から言葉を漏らす。

「あら、船長さん素敵じゃない」

 ロビンってあんなのがいいの!?ラーズに猛アタックしてくるのに…謎だわ。

「あっはっはっ!アイツ超アフロじゃねェかよ!似合い過ぎだろ。頑張れルフィーー!!」

 ラーズはルフィのアフロ姿が気に入ったのか、爆笑しながら応援してる…そうよね、ラーズもあんなの大好きだもんね。


「アーイエー!!」

 今のはルフィの返事?アーイエーって何よ!?


「「「アーイエー!!」」」


 ラーズとサンジ君、チョッパーもノリノリで返事してるし。だからアーイエーって何よ!?



『さぁさぁ舞台は整った!勝って栄光を掴むのはどちらのチームなのか!?第三回戦”コンバット”!
 いよいよ決戦のゴングだぁ〜〜!!』


 そうして試合開始のゴングが鳴った。

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