小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>




  〜〜ラーズside〜〜


 いや〜ルフィも成長したなァ。つーかルフィだけじゃなくて、この一味の成長速度が異常だと思うのは俺だけか?
 ガキの頃から鍛錬し続け、海軍でも時間のある限り鍛えてきた俺にたった何ヶ月かで追いつこうとしている。
 元々はかなり差があったハズなのに、その差が縮まりつつある。まァまだまだ負ける気はしないが、
 この速さで成長したらいつか抜かれるかもな。俺だって一応船でも鍛えてるんだが、どうも納得いかない。


「ハァ…ハァ…ノロノロビーム!!」

「だから喰らわねェって!」


 ルフィが割れ頭の攻撃を上手くかわしている。さっきからルフィはギア”2”を切り替えて使ってるみたいだ。
 必要な時に少しの時間だけ使っている。なるほどなァ、アレなら体への負担も少ないし使用時間も格段に伸びる。

 しかし、ギアの切り替えってあんなに速く出来るもんなのか?大体避けれる攻撃と避けれない攻撃を
 どうやって判別してんだ?…もしかしてアイツも少なからず見聞色の覇気を覚えつつあるのか?それで攻撃を
 読んで対応してんのか?う〜む疑問が多い。実際ルフィがやってんだから納得するしかないか。

「ハァ…これならどうだ!?ノロノロビームソード!」

 割れ頭が刀みたいなのを横に振り抜いた。どうもノロノロのヤツが刀状になって伸びてるみたいだ。あんな風に
 使うなんて一応考えてるんだな。

「うおっ!?あぶねー!」

 ルフィはそれすらも避ける。割れ頭の攻撃動作が少し遅いっていっても、絶対にルフィの反応が速過ぎるよな。
 ギアを発動させるまでの時間が短すぎる。普通に見てたらルフィの身体能力が異常としか思えないだろう。

 全く、ムカつくくらいに成長が速いな。思わず笑ってしまう程に。

「ルフィの奴、あんなに強くなってたのか」

 ゾロもルフィの今の強さを理解したのか、少し悔しそうにしている。 

「正直俺も驚いてるよ。あそこまで伸びてるとは思ってなかった」

「その割にはまだまだ余裕そうだな」

「これくらいで負けてたら俺の立場が無くなるからな」

 それにルフィ達はまだ覇気を使えないから自然系には全く太刀打ち出来ないからな。その分を差し引いてもまだ
 負けてられないんだよ。


「ゴムゴムのJETバズーカ!!」

「グアァァァ!!」


 ルフィの成長に驚いていると、いつの間にか割れ頭が海に吹き飛んでいた。


『なっ、なんという圧勝!我等のオヤビンを完膚なきまでに叩きのめしたのは、”麦わら”のルフィーー!!』


 これでおれ達の勝利か。チョッパーやウソップは飛び上がって喜んでいる。



 しばらくしてルフィは戻ってきた。

「ルフィさん凄かったわ!」

「素敵だったわよ」

 ビビとロビンが称賛している。確かにほぼ無傷だしな。

「アーイエー!!」

 両手を上げて叫ぶルフィ…コイツまだアフロ被ってんのか。けっこう気に入ったのか?


「そーいや三回戦の取り引きはどうするんだ?」

 サンジがルフィに尋ねる。そうだ!また忘れてた!!

「ルフィ。その取り引き俺にさせてくれないか?」

 俺はルフィにお願いをする。

「あァいいぞ。人が欲しくて決闘受けた訳じゃねェし」

「サンキュー」

 そして割れ頭の所へ向かう。



「三回戦の取り引きだがな…お前等のシンボルを寄こせ」

「なっ!?おれ達の誇りを奪おうというのか!?」

「そうだ!お前までキツネを名乗るな!」

 これが俺のフォクシーに会いたかった最大の理由だ。この海に同じ様な二つ名を持った奴は要らない!
 しかもよりによってこんな不細工だなんて!

「そ、そんな!じゃあ今度から何て名乗ったらいいんだ!?」

 ガクンと落ち込む割れ頭。

「知るか!とりあえずその割れ頭でも改善しろ!名前なら能力から取って”ノロノロ”フォクシーとでも名乗れ!」

「なんて横暴な…」

「後船首のキツネも外せ!今後、海で「キツネがダサい」なんて噂が流れたらぶちのめしに行くからな!」

「お前は鬼か…」
 
 割れ頭は地面に顔が埋まる程に沈んでいる。これで俺の知る限りキツネの二つ名があるのは俺だけだな。

 そうして一味の元へ戻る。あ〜気持ちよかった。

 さて、次だ次。









  〜〜ロビンside〜〜


 私達は船長さんが島で知り合った人の家に向かっている。決闘を受けた理由を聞いたけど、船長さんらしいわね。
 みんなで歩いていると、ラーズが近付いてきた。どうしたのかしら?

「ロビン、今いいか?」

「ええ。どうしたの?」

 何だか顔つきが真剣に見えるのは気のせいかしら?もう決闘は終わったのに。

「これからこの島で何があっても、俺を信じてくれないか?」

 …いきなりどうしたの?不思議に思っているとラーズが歩みを止めた。私もそれに従う。

「頼む。どんな事が起きても俺を信じるって約束してくれ」

 そう言ってラーズは頭を下げてきた。今から何があるっていうの?

「…今から何が起こるか聞いてもいいの?」

「恐らくは起こる。だけど、今は何も聞かずにいてくれ」

「贅沢なお願いね」

「分かってる。それでも…お願いだ。俺は自分の言葉に責任を持ってるから」

 …ラーズからは嬉しい言葉を沢山貰ってるから、どの言葉に責任を取るのか分からないわ。けど、

「…分かったわ。私はアナタを信用してるし」

「そっか。ありがとな」

 そう言うとラーズは笑っていた。話はこれで終わったのか、ラーズは再び歩き始めた。



 一味のみんなは島の人と話をしていた。そんな中、ラーズだけは輪に加わらずに少し離れて見ていた。その行動を
 不思議に見ていると、ラーズは島の人の家の玄関に向かって歩いていった。ラーズについて行ってみようとして、
 私は一人の人間を発見した……そんな、まさか!!ラーズが言ってたのってこの事なの!?

 ラーズはその人に向かって真っ直ぐ歩いていって声を掛けていた。


「起きて下さ〜い」

「…ぐごー」

「全く…全然変わってないな。起きて下さ〜い!」

「…んァ?」

 その人は立ったまま寝ていた。私の動悸が一気に激しくなる。忘れない、忘れられない顔。昔と変わっていない。

 青いシャツの上から白いベストを羽織り、白いパンツを履いたその人。



「ようやく起きたんですか、クザンさん」


 今は海軍大将、青雉が目の前にいた。








  〜〜ラーズside〜〜

 はぁ〜やっぱりいるのか。海軍のコートも羽織らずに、相変わらずダメだなこの人。

「ラーズー!誰だソイツは!?」

 ルフィがロビンの様子を見て警戒してる。ゾロやサンジもこっちを見て戦闘態勢を取ろうとする。

「ちょっと待っててくれ。俺が話す」
 
 そう言ってルフィ達に下がって貰い、クザンさんと対峙する。

「あらら、ラーズじゃないの。久し振りだな」

「ご無沙汰してます。ところでこんなとこに何しに来たんですか?偶然…って事はないでしょう?」

「相変わらず鋭いな……後ろに座り込んでるのはニコ・ロビンか。改めて見るといい女になったな」

 目的はやっぱりロビンか……ん?改めて?

「クザンさん、どこでロビンに会ったんですか?」

「お前、ますます頭の回転速くなったんじゃないの?」

「そりゃ生き残るのに必死でしたから。後でサカズキさんに文句言っておいて下さい」

「サカズキも似たような事言ってたぞ?お前に逃げられて悔しかったみたいだからな」

「で、いつロビンに会ったんですか?」

「…お前が”火拳”と闘ってたとこを偶然な。その時に」

 …アラバスタの時の手合わせを見られてたとは、油断してたな。


「ラーズ!誰なのこの人!ロビンがこんなに怯えるなんて…」

 ナミがロビンについている。これなら少しは安心出来るな。

「あららら、見事に警戒されてるな」

「そりゃそうでしょ。自分の立場考えて下さいよ」

 この人といいガープさんといい、何でこんなに自由なんだ?俺は頭を掻きながら説明する。

「この人は……海軍本部”大将”青雉だ」


「「「「「「「大将!?」」」」」」」


「た、大将っておめェ。ローグタウンで襲ってきた奴か!?」

 サンジが動揺しながら聞いてくる。

「いや、あそこで会ったのはコイツじゃなかった!」

 そういやルフィは少しだけサカズキさんを見たんだったな。

「ルフィ正解。海軍には三人の大将がいる。世界政府の”最高戦力”と呼ばれる三人の内の一人だ」

「…お前説明してなかったの?」

「いきなりサカズキさんが襲ってきたから説明するの忘れてましたよ。あの人が町破壊したのに俺のせいにしたんですから」

「あら、やっぱそうだったか。ツイてないね」

 サカズキさんの愚痴を言っているとウソップがゾロの影に隠れて叫んだ。

「な、何でそんな偉い奴がこんなとこにいるんだよ!?」

 確かにウソップの言うとおり。さっきから話がずれるんだよな。あっ、そうだ。

「クザンさん、少しお願いがあるんですけど」

「ん?そこの爺さんの事か?」

「さすが。いいですか?」

「まァ人助けも海軍の仕事だからな」



 そう言って爺さんに荷造りをさせて、全員で海岸に向かう。クザンさんは海面に手をつけて一気に周りの海を
 凍らせた。相変わらず便利な能力だな。”ヒエヒエの実”の氷結人間。ルフィ達は驚いていたが、俺は何回も
 見た事あるので気にしない。ロビンがルフィ達に能力の説明をしてるし俺がしなくてもいいか。
 そうして爺さん達と別れて再び話は戻る。




「んで、改めて聞きますけどココに何しに来たんですか?」

「一応今回は非番だ。お前達を捕まえにきた訳じゃない。まァここに来たのには幾つか理由があるんだが」

 ロビンの事だけじゃないのか?だとすると?

「とりあえず用があるのはお前だよ、ラーズ」

「俺に?またサカズキさんが追ってきてるんですか?」

「いや、サカズキは何してるか知らないよ。最近顔合わせてないからな」

「それ以外に何かあるんですか?」

「あァ。聞きたい事があってな」

 …なんだ?すると、クザンさんの顔つきが少し真剣になって話し始めた。そしてソレは俺の予想外の事だった。


















  「お前…”七武海”に入る気はないか?」


  

-84-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




Portrait.Of.Pirates ワンピースシリーズNEO-DX ボア・ハンコック
新品 \13280
中古 \9500
(参考価格:\7140)