小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜サンジside〜〜

「オォ…」

 目の前には次の島「ウォーターセブン」が見えてきた。こりゃまたすげェ。

「でっけ〜〜噴水だなァ!」

 ルフィの言う通り、この島の中央部分からは巨大な噴水が勢いよく水を噴き出していた。住宅らしい建物一つでも
 どこか格式のある様な、洒落た雰囲気が漂ってやがるな。

「うはーー!こりゃすげー。まさに産業都市だな!海列車も走るわけだ」

 ウソップが興奮しながら説明している。まァ確かにおれも驚いてるしな。

「この辺りは海列車の駅みたいね。”ブルー駅”って書いてるわ」

 ナミさんが前を指差しながら話す。って事は港はどこなんだ?色んなとこから水が出入りしてるし
 いまいち分かんねェな。ひとまずタバコでも吸おうとしたら島の住人らしきおっさんが話しかけてきた。
 あれは釣りしてんのか?

「君達ー、海賊が堂々と正面にいちゃマズイぞー。向こうの裏町に回りなさい」

「はーい」

 何だか普通に会話したが、この島の人間は海賊が怖くねェのか?おれ達も一応海賊なんだがな。

 
 言われた通りに裏の方に進んで行く。

「町が水浸しだなー。家が海に沈んでるのか?」

「ここは元々沈んだ地盤に造られた町なのよ。家の下の礎を見て」

「本当だ、柱だ」

 チョッパーの疑問をロビンちゃんが解決する。成る程なァ、それで水の都って事か。

 島の景色にそれぞれ驚きながら、島の裏の岬に回り船を停める。



「さて、ひとまずは黄金をある程度換金して、それから船の修理の手配ね」

 ナミさんが島での行動をビシッと決める。なんて凛々しいんだ! 

「修理のあてはあるの?」

「さっきシフト駅でココロさんに紹介状を貰ったから、アイスバーグって人を探しましょう」


「よっしゃ行くぞウソップ!」

「行ってきまーす!」

 ロビンちゃんとナミさんが話している内に、ルフィとウソップは町に向かって走り去って行った。
 あの馬鹿達は団体行動ってもんが出来ねェのか?

「アイツ等は…」

 ナミさんは拳を震わせている。そりゃそうだよな。

「ま、まァあの二人ですから仕方ないですよ。私達でやりましょう!」

 ビビちゃんも成長したなァ。ますます可愛くなっちゃって。

「そうね…ならビビ、サンジ君。ついてきて頂戴」

 ナミさんのご指名!しかもビビちゃんまで一緒だなんて!これはまさか…おれの時代がきたのか!?

「任せてくれい!おれが地獄の果てまでもついていくよ!」

 間違いない!両手に花だ!!


「ならチョッパー、私達も町に行きましょうか」

「おう!ロビンに名前で呼ばれて嬉しいぞコノヤロー!おれ本屋に行きたい!」

「ふふっ、分かったわ」

 ロビンちゃんとチョッパーも出掛けるみたいだ。おれもロビンちゃんに名前で呼んで貰いたいぜ!しかし、
 ロビンちゃんは何だか一段と綺麗になったなァ。表情が柔らかくなった感じがするし。やっぱこりゃ
 ラーズのおかげなんだろうな。

「ならおれは船で寝ておく。全員行くのはマズイだろうしな」

 船にマリモがいるなら問題ないだろ。


 こうしてナミさんとビビちゃんに挟まれて、幸せなデートが始まった。










  〜〜ウソップside〜〜


 ルフィと一緒に町に出てみたが…すげーなこの町は。至る所に水路が走ってる。どうも水路を移動する手段が
 あるみたいだが、今のおれ達なら問題ないしな。

「ウソップー!とりあえずメシ屋探そうぜ!」

「まずは町の真ん中に行ってみるか。美味いもんだって真ん中ならあるだろ」

「よっしゃー!」

 町を駆け巡りながら辺りを見る。何か仮面みたいなのをつけた奴が沢山いるけどありゃ何だ?



 しばらく飛んだり跳ねたりしながら町の真ん中に向かっていると、ルフィの鼻センサーが何かを捕らえた。

「こっちに何かありそうだぞ!」

 おれもルフィについて行くと、そこはどうも酒場みたいだ。ここでメシが食えるのか?


「食い物くれー!」

 ルフィは入りながら叫んでいる。なんて大胆な注文の仕方だ。

「いらっしゃい、いきなり面白い客だな。少し待ってな」

 店主みたいなおっさんがこちらを見る。あの頭は角か?髪か?変な頭してんな。

 カウンターに座り、待つ事にする。

「なァおっさん。この町は祭りでもやってんのか?仮面つけた奴が一杯いたんだが」

 やっぱり気になるからな。

「あァ、今は海列車で渡れる島「サン・ファルド」で連日仮装カーニバルをやってるからな」

 へェ、楽しそうだ。しかし海列車ってのは便利なんだな。偉大なる航路の海路を問題なく進んでいくんだから、
 島同士の交流も深まるし大した列車だぜ。


「はいよ、沢山食ってくれ」

 そして出てきたのは肉、肉、肉。このおっさん…出来るな。

「うまそー!!」

 ルフィは目を輝かせながらガンガン食っている。おれも食べるとするか…ぬおっ、美味い!
 とろける程柔らかいんだが、美味い! 

「これは”水水肉”ってんだ。食べるのは初めてか?」

「うめーー!!」

 ルフィはおっさんの話を全く聞いてないみたいだな。しかしこの肉本当に美味いな。
 そうしてしばらく肉に夢中になっていると、店に誰かが入ってきた。




「アウ!調子ァどうだブルーノ!スーパーか!?」




 何だかやかましい奴だな…って何だアイツの格好!?リーゼントにアロハに海パンだと!?まさかこんな所に
 エネル以上の変態がいるなんて。

「おっさん、誰だあの変態は?」

 なんか知り合いっぽいし聞いてみよう。


「アイツは…」
「そこの長っ鼻!スーパーなおれ様を変態扱いしてんじゃねェ!」

「…おっさん、誰だあの変態は?」

「アイツは…」
「シカトしてんじゃねェ!おれ様は「ウォーターセブン」の裏の顔、その名もフランキーだ!!」


 自分で裏の顔なんて言う奴がいるのか?大体何の裏の顔だよ。するとおっさんが説明してくれた。

「お前等あんまり相手にしない方がいいぞ。ソイツは解体屋だ。副業で賞金稼ぎもやってる」

 解体屋で賞金稼ぎ!?って事はおれ達の船も見つかったらマズイんじゃねェのか!?


「お前面白い奴だなー!」

 肉を頬張りながら興味を持つルフィ…そうだった。コイツはこんな奴だったな。

「おれのスーパーっぷりが分かるなんて、やるじゃねェか兄ちゃん。今週のおれに興味があるのか?」

「何か面白い事出来んのか!?」

「ふっふっふっ、ならちょっと外に出な」

 変態について行くルフィ。本能のままに赴き過ぎだろ!おれも慌ててついて行く。


「見てな麦わら兄ちゃんに長っ鼻」

 そう言って変態は右手を空に向けた。何するんだ?


「ストロング右(ライト)!」


 すると、変態の右拳が空に向かって飛んで行った。何だありゃ!?拳は鎖で繋がってるみたいで、また
 右腕に戻ってきた。

「すげェーー!お前どうなってんだ!?」

 ルフィの目が輝きだした。

「おれは改造人間(サイボーグ)だからな。他にも色々出来るぜ」

 サイボーグ!?今の技術ってそんなに進歩してんのかよ!?

「うひゃー!」

「そんなに気に入ったのか?面白い兄ちゃんだな…よっしゃ!メシでも食うか!食いながらスーパーなおれ様を
 たっぷり教えてやるぜ!」

「よっしゃーー!」

 ルフィと変態はまた店に戻ってワイワイ騒ぎ出した。やれやれ、ルフィに警戒心ってもんはねェんだろうな。



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