小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>




  〜〜サンジside〜〜


 メリー号についての答えが出ないまま、次の日になった。ルフィやウソップは特に思い入れが強いだろうから
 難しいだろうな。船から出て食料の買出しに出てみると、何やら町が騒がしい。どうしたってんだ?
 その辺の人に話でも聞いてみるか。

「なァ、一体何があったんだ?」

「一大事だよ!アイスバーグさんが何者かに狙われたんだ!」

「なっ!?」

 アイスバーグって言ったら昨日の偉い奴じゃねェか!それが何で狙われてんだ?そーいや昨日査定を待ってる
 間に政府の役人が何やら話してはいたが…

「どうやら自宅にいるとこを狙われたらしい。撃たれて今は意識不明の重体って話だ」
 
 何がどうなってやがる?あのおっさんが狙われる理由なんてあんのか?ひとまず船に戻ってみんなに報告しとくか。




 買出しを終えて、船に戻りみんなに説明をする。

「どういう事なの?」

 ナミさんも分かってないみたいだな。まァおれも事態をほとんど理解してねェし。

「そのお偉いさんがいないと船の修理もマズイのか?」

 このマリモは冷静みたいだな。確かにあのおっさんじゃなくてもこの島ならどうにかなりそうだが…

「アイスバーグさんがそんな状態なら、船の修理なんてしてる場合じゃないんじゃない?」

 ビビちゃんの言う事も一理あるな。今の町の状態はパニック一歩手前みたいなもんだし。


「ひとまず造船所の人間に話を聞いてみたらどうかしら?」

 ロビンちゃんの意見が正しそうだな。おれは賛成として…

「おれも行くよ。この船の船長だからな」

 ルフィは行くみたいだな。けどそれなら昨日から来とけよ。

「私も行くわ。昨日直接会ったし」

 ナミさんもか。ならこれ位で大丈夫だろ。

 こうしておれとルフィ、ナミさんで造船所に向かう事になった。ただ、おれは何となく嫌な予感がしている。



 昨日と同じ様にして造船所に辿り着く。だが、造船所の前には人だかりが出来ていた。みんな考える事は一緒
 なんだろな。こりゃ話を聞くのは難しそうだ。

 辺りを見回して、諦めて帰ろうかと思っていたら、ルフィが何かを見つけたみたいだ。


「おーーいフランキー!」


 ん?ルフィの視線を追っていると…何だあの海パンは!?

「あァ?麦わらの兄ちゃんじゃねーか。どうしたんだ?」

 ルフィは知り合いなのか?

「何かアイスバーグっておっさんが撃たれたってんで、何がどうなってんのか聞きにきたんだ」

「そうか…おれもさっき聞いたばっかりだから詳しい事情は分からねェんだよ。ただ…」

 ただ?この海パンは何か知ってるのか?


「…お前達の船にニコ・ロビンが乗ってるってのは本当か?」


 あん?今回の事件とロビンちゃんに何の関係があるってんだ?

「おう!ロビンなら船にいるぞ!」

「そうか…良かったら少し話をさせてくんねェか?」

「いいぞ!どーせここじゃ話聞けそうにないし」

 いつの間にか海パンを連れて船に戻る事になった。なんかまた分かんねェ事が増えたな。



 海パンを連れて再び船に戻る。

「ん?フランキーじゃねェか。どうしたんだ?」

 ウソップも海パンを知ってんのか。

「少し用事があってな。ニコ・ロビンはどこだ?」

「私ならここだけど?」

 ロビンちゃんが海パンを見た瞬間、顔を顰めた気がしたのは気のせいか?


「少し話がある。いいか?」

「ええ。構わないけど…」

 二人は何やら話しているみたいだな。

「んで、何か情報は手に入ったのか?」

 マリモがこっちを見ながら聞いてくる。

「大した事は何も。とりあえず、アイスバーグのおっさんが狙われる理由が見当たらねェって事ぐらいだな」

「本当に分かってねェんだな」

 んだとこのマリモがァ!


 しばらくして海パンとロビンちゃんの話は終わったみたいだ。何を話してたんだろうな?

「悪かったな邪魔して。それと、今日か明日には”アクア・ラグナ”って高潮がくるぞ。この辺にいたら丸ごと
 波に呑まれるからな。船も移動させる事をオススメするぜ」

 海パンはそれだけ言って船から降りて行った。高潮?何だそりゃ?

「確かに…風も強くなってきて、気圧も落ちてきてる。あの海パンの言うとおりにしてた方がよさそうね」

 ナミさんが言うなら間違いないな。ひとまず船を安全な場所に移動させて、今日は町の中の宿屋に
 泊まる事になった。この町といい天気といい、荒れそうだな。


「ロビンちゃん、あの海パンは結局何だったんだ?」

「…大した事じゃなかったわ」

 なんか違和感がある様な気がするが…深く聞くのは失礼ってもんだな。


 そして疑問が解決するどころか、更に増えたままになった。









  〜〜ロビンside〜〜


 私達は町の宿をとると、しばらく自由行動をする事になったのだけど…

「どうも嫌なタイミングでこの島に来てしまったかもね」

 さっきの変態さんの話が本当だとすると、私がこの島にいるのは世界政府にとって好都合だわ。恐らくこの島には
 政府の諜報員がいてもおかしくはないし。今までの私だったら逃げ出してたかもしれないわね。

 けど、私は仲間の大切さを知った。一人で悩まなくても、心から信頼出来る仲間がいるって教えられた。
 もう、何かを犠牲にする事はないわ。私は生きる。でないと彼との約束を破ってしまうものね。


「ロビーン!ちょっと肉買ってきていいかー?」

「ならここで待ってるわね」

「急いで買って来るなー!」  
  
 一緒に町に出ていたルフィはお腹が空いたみたい。さっきも食べてた様な気がしたけど今更ね。
 近くの建物に背中を預けて町を眺める。昨日チョッパーと買い物に出た時に聞いたけど、カーニバルの影響で
 まだまだ町には仮面をつけた人達が沢山いるわ。みんなと出掛けたら楽しいでしょうね。

「みんなと、か…」

 静かに呟く。私が自然とこんな考え方をするなんて初めてかもしれないわ。

 そんな事を考えていると、全身を黒いマントで覆って仮面をつけた人がこちらに近寄ってきた。何かしら?






「CP9だ」






「!?」

 私の前に来て、仮面はそれだけ告げた。CP(サイファーポール)…聞いた事があるわ。世界政府直下の諜報機関、
 政府からの指令を受けて影で動く組織。けど、CPは8つの組織までしか存在しないハズじゃ… 

「大人しく私について来て頂きたい、ニコ・ロビン」

 私の居場所は海軍にも知られていたからいつかはと思ってたけど、ここで来るなんて。

「…目的は何?」

 昨日の市長さんの襲撃、そしてさっきの変態さんの話を考えると、何となくは答えは出ていた。

「賞金首を捕まえるのに理由が必要か?」

「それもそうね。でも、私が大人しくついて行くと思う?」

 警戒しながら話を続ける。ここには一人で来たみたいだけど、油断は出来ないわ。得体のしれない9番目の組織。 
 他に手を回しててもおかしくはない。

「ならば…仲間を皆殺しにすれば大人しくなるのか?」

「!?」

 仮面の人から殺気が漏れている。冗談なんかじゃない、本気で殺すつもりだわ。

「お前が大人しく私について来るならば、仲間を見逃してやろう」

「……」 

 世界政府はこういう手段が得意よね。いつだって私の逃げ道を塞ごうとする。私が逃げても、必ず誰かを犠牲に
 して追いつめてくる。今までと同じね。

「さぁ、どうする?」

 仮面の人は話しながら少しずつ近寄って来る。

「…私はもう逃げないわ」

「…何?」

 仮面の人は歩みを止めた。

「私は一人じゃないから。それに…」

 


「ロビン!!誰だそいつ!!」




 勝手に船を降りたらルフィに、ラーズに怒られるものね。


 私達の異変に気付いたルフィは急いで近付いてきた。それを見た仮面の人は一度後ろに下がった。

「何だあの仮面!?知り合いか?」

 私の隣に来て仮面を睨むルフィ。

「いいえ、あの仮面は世界政府の諜報組織の一人みたい」

「世界政府!?って事は前にラーズとかが話してたみたいに、またロビンを狙ってきたのか!?」

 ルフィにしては頭の回転が速いわ。

「どうもそうみたい」

 すると、ルフィは仮面に叫び出した。



「おい仮面!ロビンは渡さねーぞ!おれの船から、これ以上仲間を失ってたまるかァ!!」



 この前ラーズの事があったばかりだから、ルフィも敏感になってるのね。

「…やれやれ、穏便に進めばと思っていたが仕方ない」

 そう言って仮面は戦闘態勢に入ろうとしている。

「ロビン!あの仮面は任せろ!おれがぶっ飛ばしてやる!!」

 自分の為に、誰かが頑張ってくれる事がこんなに嬉しいと思えるなんて…私は変われたのかしら?


 そうしてルフィと仮面の人の戦いが始まった。もうすぐ日が沈もうとしていた。

-95-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ONE PIECE (ワンピース) キャラクター目覚し時計 トニートニーチョッパー おしゃべり・人感センサー機能搭載 8RDA51RH06
新品 \3163
中古 \
(参考価格:\5250)