小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

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  〜〜???side〜〜


 おれは指令を受けてニコ・ロビンの所に向かった。本来の任務とは異なるものだが、長官殿からの命令となれば
 仕方ない。こっちの任務も昨日の一件で動きやすくなっているし、何より探し物の所在もほぼ掴めた。

 この町に潜伏する事五年。今日でこの町ともお別れだな。何の情も湧かないが。

 しかし、古代兵器の復活の鍵を握る二人を同時に捕縛出来るとはな。さっさと任務を遂行させるか。



 しばらくしてニコ・ロビンを見つけ、話をしてみたが…想像とは違ったな。世界政府が20年も追い続けていた
 割には力強い意志を感じた。恐らく、今までの追い詰め方が手緩かったのだろう。これだから、おれ達以外の
 CPはアテにならん。賞金首に情など不要だ。

 麦わらの一味の命を使って脅そうともしたが、それにも屈さなかった。これは、少し考えを改める必要があるかもな。

 仕方なく強制的に連行しようとしたら、仲間が出てきやがった。しかもどうやら船長の麦わらみたいだな。
 これは好都合だ。ニコ・ロビンへの見せしめとして、この麦わらには犠牲になって貰うとしよう。
 そうすれば、我々世界政府の脅威を思い知る事になるだろう。何より海賊如きに遅れを取る訳には行かない。

「かかって来い。麦わらのルフィ」

「行くぞ!ゴムゴムの銃ゥ!」

 この麦わらも能力者で、ゴム人間だったな。伸ばした腕の反動を利用しての攻撃か。悪くはない。だが、

「鉄塊(てっかい)」

 おれ達CP9の人間は己の体を極限にまで鍛え上げ、様々な技を使う事が出来る。「鉄塊」は自己の体を鉄の硬度に
 まで高める事が出来る。その程度の攻撃など…

「!?」

 麦わらの攻撃で少し後ろに押された。

「何だアイツの体!?鉄みたいに硬ェぞ!」

 これは驚いた。ほとんどダメージはないと言っても、多少の衝撃は伝わる。流石は億超えの賞金首だけはあるな。

「なら、ゴムゴムのスタンプ!」

「甘い!「剃」」

 消えた様に錯覚させる程の速度で移動し、麦わらの蹴りをかわす。

「!あの技はラーズの!」

 ラーズ?最近まで一味にいた白狐か。先日七武海入りしたと報告にあったが、我々には実に好都合だ。海軍大将と
 ほぼ互角の戦いをする奴がニコ・ロビンの周りにいたら面倒だからな。奴がいたらこの任務の成功は
 無かったかもしれない。直接会った事はないが、奴の噂はよく流れてたからな。
 我々と同じく「六式」を使うらしいが、一度くらいは戦ってみたいものだ。

「さて、次はどうする?」

「なめんな!「剃」!」

「なっ!?」

 麦わらは一瞬で消えた様に移動し、おれの横に迫っていた。コイツも「六式」を使えるのか!?

「ゴムゴムの銃乱打!」

「くっ、「紙絵」」

 拳の乱れ打ちを紙の様にヒラヒラと避ける。しかしかなりの速度だな。一旦後ろに下がり、態勢を整える。

「なかなかやるな。だがそろそろ反撃させて貰う。「嵐脚」」

 蹴りで鎌風を起こし、麦わらに向けて放つ。

「うおっ!」

 驚きながらも麦わらは「剃」を使い回避する。間違いなくコイツも「剃」を使いこなしている。

「おめェラーズと同じ様な技ばっか使うな」


 …成る程。今ので分かった事が幾つかある。まず、白狐は「六式」全てを使える訳ではない。その証拠に麦わらは
 「鉄塊」と「紙絵」に驚いていた。白狐が使えるのは「剃」、「月歩」、「嵐脚」の三つって所だな。
 そして麦わらには「剃」を教えたのか。だからこそ初見のハズの「嵐脚」にも対応出来たのだろう。

「まァいいや。おめェ強そうだし、全力だ!」

 そう言うと麦わらの体から煙が出始めた。何だ?不思議に思っていると、

「なっ!?」

 目の前から麦わらが消えた。馬鹿な!先ほどの「剃」より数段速いだと!?

「ゴムゴムのJET銃!」

「ちっ、「鉄塊」!」

 声のした方を向きながら防御の体勢に入ったが、

「!?」

 腹に強烈な衝撃が襲ってきた。このおれの「鉄塊」を崩す程の攻撃が出来るとは…
 衝撃を受けた体が建物まで飛ばされる。まさかここまで強いとはな。おれの誤算だ。

 
 …ここでやり合うのは上策では無いな。まだ正体がバレる訳にも行かないし、このままの姿では勝ち目が薄いかも
 しれん。まずは本来の任務を優先しよう。ニコ・ロビンについては上に報告が必要だな。 
 これ以上ここで騒ぎを大きくする必要もない。

「まだまだァ!ゴムゴムのJETバズーカ!」

 飛んできた麦わらの攻撃を、「月歩」で空に跳び上がり回避する。

「…ここは一旦退かせて貰う。ニコ・ロビンの事は、保留だ」

 敵を目の前にして退却するのは気に入らんが、本来の任務を優先すべきだ。

「待てーー!仮面野郎!」

 …待てよ。退却する前に一つ聞いておくか。





「…麦わら。貴様は自分が全て正しいと思っているのか?自分の行動に信念はあるのか?」





「何の事だよ!?いいから降りてきて勝負しやがれ!」

 コイツも自分の事以外は考えていないな。やはり海賊はどいつもこいつも一緒か。

「このヤロー!卑怯だぞ!」 

 下で麦わらが叫んでいるが、奴との勝負は持ち越しだ。それに、これ以上戦うと血を求めて任務を忘れてしまいそうだ。
 そのまま空を跳ね、麦わらから遠ざかる。



「所詮は海賊。貴様等に大義はない」



 呟きながら集合場所へ向かう。

 おれ達には大義がある。貴様等海賊と違ってな。奴等は古代兵器が悪用された時の事など考えてはいまい。
 奴等は海賊に蹂躙された人間達がどんな結末を迎えるか分かるまい。
 この世界において、海賊を受け入れる人種などほんの僅かだ。海賊がこの世界に存在していい理由などない。

 持て余した力の矛先は、いつの時代でも弱い人間にむけられる。


 
 せいぜい仲良しごっこでも楽しんでおけ。


 
 間もなく次の作戦が始まる。本来の任務である、古代兵器の設計図を入手する為の。
 カクにカリファ、ブルーノも集合しているだろう。おれも急ぐとするか。










  〜〜チョッパーside〜〜


 日も沈んできて、みんなが宿に戻って来たけど、ルフィとロビンの話を聞いて驚いた。町中でロビンが
 世界政府の奴に狙われて、ルフィが追い返したみたいだけど、ルフィはまだ怒ったままだ。
 話を聞いたみんなも怒っている。

「ラーズの次はロビンちゃんか…世界政府ってのもやってくれるな」

 サンジがすげー怒ってる!前みたいに炎出しそうだ。

「許せません!」

 ビビも拳を握って震えている。

「ひとまず落ち着け。今回はロビンも戻って来たんだ。今の内にどうするかを決めるべきだ」

 ゾロは少し落ちついてるみたいだな。

「とりあえず、今は私達もこの島から下手に動けないんだし、一人になるのは危険ね。私達の誰かを餌にして
 ロビンを狙うかもしれないし」

 世界政府ってホント嫌な奴だな。でもナミの言うとおりにした方が良さそうだ。


「あの、少しいい?」


 みんなの話を聞いていたロビンが話し出した。どうしたんだ?

「さっきの仮面が言ってた事が少し気になってるの」

 何を言ってたんだろ?ルフィは何の事かさっぱりみたいな顔してるけど。ロビンは話を続けてる。

「去り際に言ってたの。『ニコ・ロビンの事は保留だ』って」

 んー、それがどうしたんだろうな?

「私にはまるで他にもやる事がある様に聞こえたの。みんなは仮面をつけた人と接触してないのよね?」

 みんなは首を縦に振っている。おれも何もなかったしな。

「だとすると…私達の他にも狙われた人がいるって事?」

「そう考えた方がいいと思うわ。もしかしたら昨日の襲撃も同じ人の犯行かもしれない」

 ロビンの言うとおりなら、アイスバーグって人も世界政府に狙われたのか?

「だとすると…」

 ロビンが何かを言いかけた所で、いきなり宿が騒がしくなった。なんだ!?

 部屋を出てみると、ゴーグルと鎧みたいなのをつけた変な集団がいた。なんだアイツら!?
 よく見たら、あちこちケガしてるみたいだ。包帯巻いてる奴もいるし。


「麦わらはいるかァ!?」


 アイツらルフィの知り合いなのか?

「なんだおめェら?」

 ルフィは知らないみたいだな。

「アンタが麦わらか!?……頼む!力を貸してくれ!!」

 ゴーグル達はルフィを見つけると、いきなり全員土下座してきた。どうなってんだ?

「おいおめェらどうしたってんだよ?」

 ルフィも事情が全然分かってないみたいだ。すると、ゴーグル達の一人が顔を上げた…アイツ泣いてねェか?








「アニキが…フランキーのアニキが政府に連行されちまったんだ!!!」

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