小説『幼馴染みは航海士!?』
作者:じゃパーン()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>




  〜〜サンジside〜〜


 ひとまずエニエス・ロビーに殴り込みに行く事は決まったんだが、問題はその方法だな。唯一の手段である海列車は
 さっきこの島を出発したばっかりらしいし、高潮が迫ってきて荒れてる海じゃ船での移動は難しそうだ。

 他に移動方法も無さそうだが、どうしたもんか。


「エニエス・ロビーに行く方法が一つだけある」


 アイスのおっさんが話し始めた。こんな荒れた海をどうやって行くんだ?

「もう一つの海列車を使う。しかし、ソイツは失敗作みたいなもんだ。蒸気機関の暴走のせいでスピードが
 出過ぎる。乗ってても命の保障が出来ん厄介な代物だ」

「それでいいぞ!おれ達をそれに乗せてくれ!」

 ルフィは返事がはえェな。命の保障がないってのにちゃんと考えてんのか?

「麦わらァ!恩に着る!」

「にしし、気にすんなよ。お前等も大事な仲間がいなくなったら嫌だろ?」

 …ルフィは子分達に、前のおれ達を重ねてるのかもしれねェな。確かにあの時誰か頼れる奴がいたら、おれ達も
 同じ様な事をしてたのかもしれねェ。


「おい麦わら、おれも連れてってくれねェか?」

 アイスのおっさんの隣にいた葉巻の男…パウリーだったな。コイツも何かあんのか?

「夕方からずっと気になってる事があってな。知り合いが見当たらねェんだよ。勘違いならいいんだが、もしかしたら
 おれの知ってる奴が政府の一員だったかもしれねェ」

 コイツの知り合いって事は船大工関連か?

「いいぞ。けど死ぬなよ」

「分かってる」

 ルフィは連れてく気みたいだな。船長の意見ならおれも反対しねェ。すると、アイスのおっさんがパウリーを
 心配した様子で見ていた。

「パウリー…」

「気のせいならいいんですが…本当だったらアイツらに説教してきます」

「そうか…頼む。なら出発前に海列車の整備に付き合ってくれ」

「分かりました」

 二人は仮面の奴等に心当たりがあるみてェだな。

「なら麦わら、一時間ほどしたらこの先のレンガ倉庫に来てくれ。急いで整備をする」

「頼んだぞ!アイスのおっさん」

 そうして二人は出て行った。となると、時間までどうするか。


「おいルフィ。お前本当にあの海パン仲間にする気か?」

 マリモがルフィに質問する。おれもどうせなら色気たっぷりのお姉さんがいいんだが。

「あァ、アイツはメリーの事すげー分かってくれてたし、船の事も詳しそうだしよ!何より面白れェんだ!!」

 仲間にする理由が面白そうでいいのか?まァ今更言っても仕方ねェな。


「相手は恐らくラーズと同じ様な技を使ってくると思うわ。私を狙ってきた人も、海パンさんを連行した人達も
 使う技は一緒みたいだし」

 海パンの子分達もそんな事言ってたな。超スピードで動いたり、空を飛んだり、衝撃波飛ばしてきたり、体を
 鉄みたいに硬くしたり、攻撃をペラペラよけたり、か。なんかラーズより技が豊富だなおい。

「でも移動の速さは断然ラーズが速かったぞ!蹴りの衝撃波もラーズの方が威力あったし」

 確かにおれ達はラーズの化け物みてェな戦闘能力を見続けてきたからな。少しは有利に戦えそうだ。

「となると、相手に悪魔の実の能力者がいるかどうかね」

 ナミさんの言うとおりだな。能力者を相手にすると、どんな能力か理解しないと思わぬ攻撃を喰らうからな。

「敵も世界政府の一員だ。何人いるか知らねェが、能力者ぐらいいてもおかしくねェだろ」

 マリモにしては正論だな。こればっかりは今考えたって仕方ねェ。

「となると、私の新しい武器が役に立つかもしれないわ」
 
 ビビちゃんもやる気まんまんだな。おれが必ず守ってやるからね!









  〜〜ゾロside〜〜


 こんなに早く世界政府に喧嘩が売れるとはな。おれ達が戻って来れたなら、ラーズもこの船に帰って来やすく
 なるだろうな。その為にも、絶対に負けられねェ。

「そろそろ倉庫に向かいましょう」

 ロビンのヤツ、自分が狙われてたってのに行く気まんまんだな。よっぽどおれ達を信頼してくれてるのか、ラーズの
 意思をきっちり受け継いだか。どっちにしてもいい傾向だな。

「よっしゃー!待ってろよフランキー!」

 ルフィも気合入ってんな。しかし、ルフィとやり合った仮面の奴は気になる。追撃しなかったとは言っても
 今のルフィから逃げ切れるって事はかなりの腕だ。他にも腕の立ちそうなのが何人かいるみてェだし、おれ達も
 気合入れねェとな。

「おいナミ、大丈夫なのか?」

 ラーズがいなくなった事に関しては、コイツが一番ダメージ大きかっただろうからな。

「もう負けてらんないのよ、あんな奴等には。世界政府をぶっ飛ばしに行くわよ!」

 …余計な心配だったか。さっきより全然やる気だな。



 そうして一味のみんなでレンガの倉庫に向かう。入口を開けると、地下に階段が続いていた。
 そのまま階段を下りてみると、確かに海列車らしき物があった。しかし、


「…こりゃまた面白い形してんな」


 おれ達がこの島に来る前に見た海列車とは確かに違うみたいだな。前についてるのは…鮫か?あれにも何か
 意味あんのか?

「すげー!」
「かっこいー!」
「速そー!」

 ルフィとウソップ、チョッパーの三人は目を輝かせて見ている。

「来たか。この”ロケットマン”の整備は先ほど完了した。後は操縦なんだが…」

 そういやこの海列車を操縦しなきゃなんねェんだな。おれ達じゃ不可能だろうし、ケガしてるおっさんに頼むのも
 気が引けるんだが。


「んががが、やっぱりココに来たのかい」


 ん?誰だ?と思って見てみると…シフト駅にいた婆さんじゃねェか。何しに来たんだ?そう考えていると、
 婆さんとおっさんが話し始めた。

「操縦ならアタシの方が慣れてるらよ。アンタはケガしてんだしゆっくりしときな」

「面目ねェ、任せたぜココロさん。しかし何で知ってんだ?」

「フランキーの子分達が町中で麦わら達の名前叫んでたからね。話は大体聞いたよ」

 この婆さんが運転出来るんなら好都合だ。しかし、この婆さんまだ酒飲んでるのか。大丈夫なんだよな?

「助かる。麦わら達を連れて行ってやってくれ」

「任せなよ。フランキーがいなくなったら、トムさんも悲しむだろうからね」

 この婆さんもフランキーと繋がりがあんのか。不思議なもんだな。


「ならみんな乗り込むぞ!」


 言いながらルフィはすでに乗り込んでいた。

「頼んだぞ麦わらァ!!」

 見るとフランキーの子分達が見送りに来ていた。アイツ等もついて行きたそうだったが、他の奴等を庇いながら
 戦える程甘くはねェだろうからな。

「パウリー!アイスバーグさんの分をきっちり返してこいよ!」

「あァ…行ってくる。アイスバーグさんは頼んだぞ」

 この町の船大工達も見送りにやってきていた。
 何だかんだこのパウリーってヤツだけはついてくるみてェだな。そういやコイツは仮面の奴等に心当たりがある様な
 事を言っていたが…後で聞いてみるか。

「さァ用意はいいかい海賊共!」

 婆さんの準備は出来てるみてェだな。おれ達もすぐに列車に乗り込む。


「んががが、ほいじゃ行くよ!暴走海列車”ロケットマン”出航!」


 心地いい汽笛の音と共に、エニエス・ロビーに向けて海列車が動き始めた。



 これからのおれ達をきっちり見届けろよラーズ。テメエが笑って帰って来れる様にしてやるぜ。

-98-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




Portrait.Of.Pirates ワンピースシリーズ NEO-MAXIMUM ユースタス・キャプテン・キッド
新品 \5300
中古 \7400
(参考価格:\12600)