目が覚めた時、視界には見慣れた天井が入ってきた。
「うぅ、痛ぇ・・・」
頭がズキズキする・・・香苗の奴やりすぎなんだよ・・・。
って、
「ここ、居間か・・・」
「そうだ、主は丸半日寝ていたぞ?」
声の方を向くとエリーがいた。
「おはよう、主殿?」
台所から小気味のいいリズムが聞こえてくる。
「エリーか・・・」
俺は少しずつ、昨日のことを思い出しながら起き上がった。
「・・・夢じゃなかったんだな。」
「あぁ。」
「・・・ん?」
エリーは俺の前にいる・・・じゃあ、台所は?
「おい、台所には誰がいるんだ?」
エリーに聞いてみる。
「はい、私ですが?」
と、入ってきたのは真っ白な甲冑に身を包み、エプロンをかけていたエルスだった。
「・・・なんでいるの?」
「私が呼んだからに決まっているだろう。」
・・・もう、頭が追いつかなくなってきた・・・
「ごめん、わかるように説明してくれ。」
エリーの話からまとめると、魔女、もしくは『王』と契約を結んだ物は望めばその場に呼び出すことも可能らしい。
ただ、例外が今生きている人間は飛ばせないらしい。
「つまり、エルスは俺と契約を結んだわけだから、呼べるって事か。」
「そうだ、しかし主殿よいくら『王』だからと言っても私のような『魔女』は呼び出せないから気をつけてくれよ?」
「了解。」
「さて、次は『魔法』だな。」
そう言い、エリーが話そうとした時に
「ただいまー!!」
っと、聞きなれた声が聞こえてきた。
「あ、おねぇちゃんおかえりー!!」
エリーは急に子供口調になり、玄関に駆けていく。
「どういう、事なんだエ・・・」
エルス、と言いかけたがエルスはそこにはいなかった・・・
玄関からは香苗とエリー(幼児退行)の楽しそうな声が聞こえてくる。
「あ、直樹起きてたんだ。」
「おかげさまでな。で、なんでコイツがここにいるんだ?」
すると、携帯にメールが届く。
香苗からだった、どうやら俺が寝ている間に香苗の親が警察に連れて行ったらしいが行方不明届けも何も出されていなかったので、そのまま警察のお世話になるよりも俺の家にいたほうが良さそうだ。とエリーを俺の家で保護することになったらしい。
なぜか、俺の両親も許可していた。
「・・・わかった、大体理解できた。」
香苗たちは楽しそうに台所で会話をしていた。