「それにしても・・・千夏ちゃん随分遅いねぇ・・・」
「そうだな。」
どれだけ、待っても千夏は帰ってこなかった。
だけど、壁に掛けられた時計の針は進んでいなかった。
「結構、待ったんだと思ったんだけどなぁ。」
「ってか、この時計止まってるだろ。
携帯見ろよ。」
「うん・・・・・・って、あれ?」
香苗が不思議そうな声を上げる。
「どうかしたか?」
その時だった。
-主殿!!聞こえるか!?-
頭に声が響いてきた。
「エリー!?」
「え?エリーちゃんがどうしたの?」
「あ、いや、なんでもない。」
-近くに誰かいるのか?-
「香苗がいるけど・・・」
「ねぇ、ちょっとどうしたの?」
「あ、うん、気にしないでくれ。」
-用を端的に話す。主殿がいるところが怪異の手に落ちた。-
え?
-千夏殿の反応もあるが、いまいちはっきりしない。主殿確認できるか?-
千夏が・・・?
「ちょっと、直樹どうしたのよ?」
・・・千夏は1人で自分の教室に向かった。
「エルスは出せないのか?」
-すまない、その周辺に障壁があるらしく我達はその元凶を絶たなければならない。それまでは・・・も・・・え・・・くれ・・・-
それっきり、エリーの声は聞こえなくなった・・・
「エリー!?」
「ちょっと!!本当に大丈夫なの!?」
「あぁ・・・えぇと、今は詳しい説明している暇がない。
一緒についてきてくれないか?」
「・・・わかった。」
香苗は渋々ながらも頷いてくれた。