朝飯も食べ終わり、俺たちは学校へ登校する。
俺の住んでいる町『古四季町』は海に面していることから海外から色々な物が運ばれてくる。
「そういえば、直樹は今週末の『マーケット』どうするの?」
「ん?行かないけど。」
「え〜、面白いものあるかもよ。」
町柄・・・というのだろうか、この町では骨董品を取り扱っている店が多いんだ。
そして月に1回『マーケット』と呼ばれる骨董市も開かれる。
「嫌だよ、香苗1人で行ってくればいいだろ?」
「・・・ケチ。」
「第一、マーケットに行ったところで荷物持ちにさせるんだろ?」
「だって、買いたいものが安いから・・・」
香苗はマーケットにはセール品を買いに行く。
その荷物持ちに俺がいつも連れて行かれるわけだ・・・。
「ま、今回はパスだ。家で寝てるよ。」
「だったら、行こうよ!」
「嫌だ、」
「行こうよ〜。」
まぁ、こんなやり取りが学校まで続いた。
「あれ?先輩?」
購買で買ったパンを食べながらクラスに戻っていると後ろから声をかけられた。
「ん?さふぁらふぁ?」
「先輩、食べてから話してください。」
この女子生徒は1年生の『雨宮 千夏』。
以前にちょっとしたことがあって仲良くなったんだ。
「で、どうしたんだ?」
「い、いえ、ただ後ろ姿を見かけたので。
・・・なんとなくですよ。」
「さいですか・・・」
「・・・そういえば、先輩は今週末空いています?」
「・・・空いてるけど?」
「ホントですか!?」
驚いた、こんな反応もするんだな。
「えっ、と、じゃ、じゃあ、マーケットの日に10時で場所は・・・えぇと、時計台にしましょう!!」
「時計台だな、わかった。」
マーケットの主会場となる骨董品が集まる通りの真ん中には小さな時計台がある。
確か・・・30年くらい前に作られたんだよな。
「はい、それじゃ先輩。」
「おう、じゃあな。」
・・・千夏が去ってから、思わずため息を漏らす。
香苗以外の女の子と出かけるのって考えてみたら初めてかもしれない。